牛乳タンパク質とカルシウムの健康効果を:日本酪農科学会が市民セミナー

2009 年 11 月 15 日

Filed under: — admin @ 7:11 PM セミナー報告

牛乳の研究者らによって構成される日本酪農科学会(会長:岐阜大学・金丸教授)
は11月14日(土)、東京都内で市民セミナー「ミルクですこやかな毎日を」
を開いた。

同学会は一昨年から、「牛乳に対する質問に答える場」および
「牛乳について正しく理解をしてもらう場」として、市民向けのセミナーを企画。
今年は全国9ヵ所で開催予定。

今回は、基調講演で、東大大学院・清水誠教授が、
「牛乳の主成分はタンパク質、脂質、糖質。中でもお勧めはタンパク質で、アミノ酸バランスが良く、身体づくりに役立つ。カルシウムの吸収性を高める特性があり、最近は免疫力を高め、生活習慣病を抑制するなどの健康増進作用が報告されている。生体調整機能などの作用が、最近、次々と見い出されている」などと報告。

次に、講話1として、東京女子医大大学院・太田博昭教授が、
「私たちの腰椎の骨密度を測定した調査研究によると、カルシウム摂取量が多いと骨量が高く、カルシウム摂取は主に乳類、とくに牛乳の摂取に影響されている。また朝食を食べる習慣が少ない人は骨量が少なく、骨量と関連するカルシウム、乳類、牛乳摂取量、朝食の欠食は、母子間できわめて類似していた。母親の食生活習慣を是正し、良い習慣を子どもに伝承する必要がある」と述べた。

さらに、講話2として、戸板女子短大・江澤郁子学長は、
「子どもの時代の食生活と運動が大切。ミルクや果実などバランス良く摂取すること。学校給食のない日のカルシウム充足量は必要量の65%しかない、というデータがある。牛乳を飲んでも肥らないし、むしろ体脂肪率が減少する。牛乳を飲むことで、メタボリックシンドロームになるリスクが軽減する」などと話した。

会場では牛乳相談会も開かれ、その後パネルディスカッションが行なわれた。

なお、同学会長の金丸義敬教授(岐阜大学)、清水誠教授(東京大学)には、
弊社増刊号「ミルクの本 その価値を伝えるために 」に、ご執筆いただいております。

家畜排泄物の新技術で平成21年度の研究会が開かれる

2009 年 11 月 13 日

Filed under: — admin @ 2:22 PM セミナー報告

11月12日(木)、13日(金)、茨城県:畜産草地研究所で、
平成21年度家畜糞尿処理利用研究会が開かれ、関係者約130名が集まった。
今年のテーマは、「既存施設の性能向上と、次世代に向けた基礎研究」。

基調講演1では、農水省畜産環境・経営安定室の金澤課長補佐は、
「1)耕種連携、2)ニーズに即した堆肥づくり、3)エネルギーとしての利用
をポイントに、家畜排泄物の利用促進に取り組む方向だ」と述べた。
基調講演2では、畜産環境整備機構の羽賀清典氏が
「アンモニア及び硝酸・亜硝酸性の窒素排出について、現在の暫定基準が
平成22年度の見直しで一律移行(100mg)する可能性もあり、窒素除去技術の
確立が喫緊の課題」と解説した。

技術紹介では、「臭気対策」「搾乳関連排水」「下水道放流の現状」、
「人工湿地等を利用した畜舎汚水処理」など、7題が研究者らから報告された。

「搾乳関連排水」について報告した猫山健司氏(酪農学園大学)は、
「排水処理のコストを左右するのは、糞尿と廃棄乳の混入の有無がポイント」
としたうえで、北海道の草地酪農地帯での3槽越流式沈殿槽による
搾乳関連排水の浄化処理法を紹介。
日々の排水管理をしっかりやることが重要で、
農場規模や経営スタイルに合った適切な排水処理法を検討することが大切
と述べた。

日本最古の木製サイロ

Filed under: — maetomo @ 7:31 AM 未分類

昨日、胆振管内安平町早来に行きました。
そこには「日本最古の木製サイロ」があります。
昭和5年に建設されたもので、産業遺産としての価値の高い、歴史を物語るシンボル的な存在として、平成16年に早来町(当時)の文化財第1号に指定されています。

早来といえば日本チーズの発祥の地。
日本で最初のチーズ工場は1933(昭和8)年に、このサイロのある遠浅地区に酪連(後の雪印乳業)により建設されました。
それから76年経った今、国産チーズが酪農情勢を左右するものになっています。
国産チーズの消費がもっともっと増えるように、このサイロに祈りました。

北海道・半田ファームが酪農家製チーズを熱弁!

2009 年 11 月 12 日

Filed under: — maetomo @ 9:40 AM 未分類
自身のチーズ作りを熱弁する半田司さん

自身のチーズ作りを熱弁する半田司さん

11月11日は「チーズの日」。これにちなんでチーズフェスタ2009が東京・ベルサール原宿で、11月12日まで開催されている。

北海道の酪農家・半田司さんは11日の「チーズフェスタ」イベントで、「酪農家のチーズ作りと国産ナチュラルチーズの魅力について」を講演し、自身のチーズ作りへの思いを熱弁した。

半田さんは十勝管内の大樹町で乳牛を飼養する酪農家。15年前からナチュラルチーズ作りに取り組みはじめ、セミハードタイプを中心に製造・販売を行なっている。最近では地域の食品産業とコラボレートとしたまったく新しいチーズを創造するなど、意欲的に活動している。

半田さんは講演のなかで、「大樹町には酪農家の経営する小規模なチーズ工房、複数の酪農家が出資する中規模なチーズ工房、そして大手乳業の大規模なチーズ工場がある。われわれは小規模で量産できないが、それが魅力でもある。ぜひ市民権を得ていきたい」などとチーズ工房の在り方を語った。
また、「牛乳をたくさん飲んでいただいて、チーズもたくさん食べていただかないと、酪農家の仕事がなくなる」などと、ユーモアを交えつつ牛乳乳製品の消費拡大を訴えた。

リンク:チーズフェスタ2009 公式サイト

【2009東日本デイリーショー】開催結果

2009 年 11 月 11 日

Filed under: — admin @ 2:59 PM 共進会

平成21年10月22日(木)、全農岩手県本部・中央家畜市場にて【2009東日本デイリーショー】が開催された。(主催:東北地区ホルスタイン改良協議会)
審査員:串田 雅樹氏(北海道清水町 酪農家)

☆グランドチャンピオン
 ユリアナ ダーハム S マテイツク ケリー(父:コムスター ストマーテイツクET)
 岩手県葛巻町 中村 優氏
☆リザーブグランドチャンピオン
 ベリーエフ ダーハム ベニ(父:レーガンクエスト エルトン ダーハム ET)
 宮城県丸森町 (有)半澤牧場

☆ジュニアチャンピオン
 セノーフアーム ジヤスパー ベガ(父:ウイルコツクスビユー ジヤスパー ET)
 北海道広尾町 佐藤 孝一氏
☆リザーブジュニアチャンピオン
 ミスビードル アドベント ハツピー(父:KHW カイト アドベント RED ET)
 青森県三沢市 梅津 誠氏

☆インターミディエイトチャンピオン
 フカセフアーム ホープ 301 エイリーン(父:バツドジヨン J K アイゼンハワー ET)
 山形県高畠町 深瀬 幸二氏
☆リザーブインターミディエイトチャンピオン
 グリーンリバー デリア ミステイ ギブソン(父:シルキー ギブソン ET)
 岩手県葛巻町 折元 大樹氏

☆シニアチャンピオン
 ユリアナ ダーハム S マテイツク ケリー(父:コムスター ストマーテイツクET)
 岩手県葛巻町 中村 優氏
☆リザーブシニアチャンピオン
 ベリーエフ ダーハム ベニ(父:レーガンクエスト エルトン ダーハム ET)
 宮城県丸森町 (有)半澤牧場

☆ジャージージュニアチャンピオン
 アサナベ JA ルイス フロステイー ET(父:ジプラツト ベルズ ジエイド ET)
 岡山県真庭市 筒井 大悟氏
☆ジャージーシニアチャンピオン
 サンバレー プライド ビユーテイー プリズム(父:サンバレー インペリアル プライド)
 秋田県にかほ市 土田 雄一氏

☆乳器最高位賞
 スノーヒル ローヤル ロイ(父:ロイレーン ジヨーダン ET)
 岩手県葛巻町 漆真下 孝幸氏

森永酪農販売が「乳牛の健康」でセミナー、開く

2009 年 11 月 9 日

Filed under: — admin @ 6:43 PM 未分類

森永酪農販売株式会社(本社・東京港区)は11月9日(月)、
茨城県内で「森永デーリィシリーズ」発売一周年を記念し、酪農講演会を開いた。
これは、牛を健康に飼うことが新体系「森永デーリィシリーズ」の設計思想である
ことに基づいたもの。

今回のテーマは「乳牛の健康」における微妙ミネラルおよびルーメンアシドーシスの
2つのアプローチで行なわれた。

講演1は、米国ジンプロ社のマイク・ハーサ博士。同博士は、
1)牛の微妙ミネラル要求量は、飼料中の吸収阻害物質、牛のストレス、生産量
など、さまざまな要因の影響を受ける。
2)優れた有機微量ミネラル製品は、ミネラルの利用性を高め、ストレスの制限を
最小に抑え、生産性と牛の健康状態を改善する。
3)乳牛にジンプロパフォーマンスミネラルを給与した多くの試験によって、
乳房と蹄の健全性、繁殖成績、泌乳の向上が確認されている、などと述べた。

講演2では、森永酪農販売の瀬野豊彦・畜産コンサルタントが、
1)問題は栄養学だけでは解けない。反芻動物とルーメン微生物の共生が大事。
2)繊維の化学性と物理性の2つがルーメン微生物に密接に関係している。
3)酪農現場の喫緊の課題は、微量ミネラルの充足とアシドーシスのコントロール。
4)アシドーシスはさまざまな疾病(蹄病、第四胃変位など)の引き金になっている
可能性が高い、などと強調。

質疑応答では、
「微量ミネラルを過剰給与した場合の弊害は?」
答え:銅の蓄積に要注意。特にジャージー種牛では敏感だ。
「有機ミネラルと無機ミネラルの併給は?
答え:「無機と有機の経済的なバランスが大事」
「カリを過剰摂取した際の弊害は?」
答え:乾乳牛には要注意。泌乳牛は乳中に移行する。暑熱ストレス下では
カリが失われていくので補給を。ただし同時にマンガンの給与量にも要注意。
など、と話された。

同講演会は10日(火)岩手県、11日(水)兵庫県でも行なわれる。
また17日から19日は北海道内で、フランス・ラレマンド社のロシェット部長を講師に
同じテーマで講演会が行なわれる。

雪印メグミルク「こどもの国 牧場まつり」開催

Filed under: — @ 12:09 PM 未分類

 毎年恒例の「こどもの国 牧場まつり」が1178日、雪印こどもの国牧場(横浜市青葉区)で開催された。

開催中は天候に恵まれ、2日間で述べ1万1000人の来場者で賑わった。

 今回は雪印メグミルクグループ誕生後、初の開催。雪印製品サンプル配布、試食・即売会のほか、数々のイベントが盛りだくさん行われ、参加型イベントの「食育チーズ教室」「バターづくり教室」「ソフトクリーム早食い大会」「牛の搾しぼり体験」は、すぐに定員となる人気を見せた。

雪印こどもの国牧場限定の特別牛乳「サングリーン」を使っての「バターづくり教室」では、親子ともども一生懸命にペットボトルを振る姿が見られ、大いに楽しんでいた。

また、同社役員も自ら来場客の対応をする姿も見られた。 

スラリー散布時の臭気問題は深刻

2009 年 11 月 6 日

Filed under: — djito @ 6:09 AM 業界情報

北海道TMRセンター連絡協議会は11月5日、札幌市内で定例の研修会を開催し、会員および関係者ら約100名が参加した。
今年の研修テーマは『有機質資源活用におけるTMRセンターの役割』で、基調講演、事例報告、総合討論、リポートなどが行われた。

総合討論では、会場から「環境対策のなかでも臭気対策は重要かつ深刻な課題。お金と手間をかけずにできる方法はないものか?」という質問が。

それに対し、コメンテーターの松中照夫教授(酪農学園大学)は、「“お金と手間を掛けずに”という方法はない。ルーメンと同じようにメタン発酵処理すれば(バイオガスプラントなど)、スラリーの臭気はほぼなくなる。散布方法として、スジ撒き方法、土を切り込んで注入する方法は、臭気対策および養分活用として有効。オランダは、これらで臭気問題を解消した。しかし、いずれもコストなしでは無理」と回答した。

さらに会場からは「これからは臭気対策を解消しなければ、酪農の将来は拓かれない。それなりにコストをかけてでもクリアしなければならない問題だろう」などの意見があがった。

詳しくはDairy Japan12月号(12月1日発売)で。

ほしければ買えばいいじゃん――それじゃつまんない

Filed under: — maetomo @ 5:51 AM 未分類

十勝管内のM牧場には、年代物(40年くらい前か?)のトラクターが、ロールカッターの駆動用に使われています。
実は、このトラクター、離農する人からわけてもらったものだとか。

「かなりひどい状態だった。エンジンはなかなか掛からないし、ようやく走るだけだった。ハンドアクセルも動かなかったし、燃料ポンプの付け根からはジャージャー燃料が漏れるし、ラジエーターもクーラントがザブザブ出てくるし…」
「でも、いい機会だから、自分で修理してみることにした」とMさん。

冬場で仕事がそれほど忙しくないときに、ディーラーに通いつめて、壊れている個所を見ては部品を取り寄せてもらい、ついに蘇らせた。

Mさんは、「お金を出せば何でもできる。ほしければ買えばいいじゃん。それじゃつまんない」と言う。

【関連】
Dairy Japan12月号(12月1日発売)の特集は『うちのDo It Yourself(自分でできる/自分でやろう)』です。
買うのは簡単。でも「自分に合ったモノがほしい」「使えるものは使っちゃおう」など、“こだわり”や“リサイクル感”から、農場には自作・手作りの施設がたくさんあります。
そこで、全国各地の“うち(牧場)のDo It Yourself”を集めました。
お楽しみに!

地域資源の活用に向けて:平成21年度自給飼料利用研究会、開かれる

2009 年 11 月 5 日

Filed under: — admin @ 8:40 PM セミナー報告

11月5日(木)、栃木県の畜産草地研究所で、平成21年度自給飼料利用研究会が
開かれ、全国から150名が参加した。
同研究会は、1983年のフォレージテスト研究会から発展したもので、
今回のテーマは「地域資源の活用と自給飼料増産、利用の拡大と将来展望」。

内容は、2つの基調講演と研究情報からなり、
農政ジャーナリストの増田淳子氏は、「消費者は畜産の実態を知らない。
一方で食品ロスは年間1900万トンあり、うち家庭外からのロスは1130万トンある。
その2割しか飼料化されていない。目指すべきはエコフィード活用のTMRなどだ。
命の教育ができるのは畜産しかない。消費者に情報を伝えて欲しい」と訴えた。

東大農学部の鈴木宣弘教授は、「フードシステムからみた自給飼料増産の展望」
と題し、「国民に支持される酪農技術・経営とは、環境にも、動物にも、景観にも
人にも優しい経営であり、必然的に飼料自給率の高い経営だ」などと述べた。

研究情報では、
北海道農業研究センターの大下友子氏が「イヤーコーンの経済性」、
東北農業研究センターの魚住順氏が「飼料用大豆の不耕起無農薬栽培技術」
三重県中央農業改良普及センターの前橋善浩氏が「飼料用ムギ栽培」
九州・沖縄農業研究センターの境垣内岳雄氏が「飼料用サトウキビ」
について発表した。

同研究会は引き続き6日(金)に、最新技術紹介が5題、発表される予定。

« 前ページへ次ページへ »

Copyright (C) 2005 Dairy Japan Corporation. All Rights Reserved.