動物感染症と国際的リスク管理

2013 年 3 月 19 日

Filed under: — maetomo @ 3:59 PM ニュース

NPO法人 食の安全と安心を科学する会は3月18日、東京大学内で「食の安全と安心フォーラム第6回」を開催した。フォーラムではBSEや口蹄疫、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザなどの現状と課題などが報告された。

このうち、「BSEの現状およびBSE対策の緩和について」を講演した東京大学食の安全研究センター特任教授の小野寺節氏は食品安全員会の資料を基に、「2004年9月生まれ以降、BSE評価対象5カ国では、BSEの発症は確認されていない」として「飼料規制は効果的だった」と説明した。そして、飼料規制が奏功した現在、30カ月齢未満の牛では異常プリオンが検出される可能性はなく、昨年、食品安全委員会がBSE検査対象牛月齢の引き上げ(24カ月から30カ月)の正当性を裏付けた。

また「口蹄疫―世界の発生状況と今後の課題」を講演した東京大学大学院の杉浦勝明教授は、口蹄疫の感染メカニズムや各国での過去の発生状況、清浄化への経緯を説明した後、今後の課題として、「殺処分一辺倒の清浄化プログラムから、ワクチンを用いた防疫プログラムへの見直し」をあげた。

OIEの規定によると、口蹄疫について、ワクチン非接種清浄国に認定されるには、ワクチンを摂取せずに殺処分のみを行ない、最終感染牛の確認から3カ月の期間を設けるか、ワクチンを接種後、ワクチン接種牛を速やかに殺処分し、その後3カ月経過した後に申請できるとしている。このため、過去、世界中で多くの家畜が清浄化のために殺処分されてきた。杉浦教授は、その清浄化プロセスの見直しの時期が来ていると訴えた。

農家の数が足りなくなる! 十勝酪農フォーラム2013

Filed under: — djito @ 8:29 AM ニュース

十勝農協連、十勝乳検連、十勝乳改連は18日、帯広市で「十勝酪農フォーラム2013」を開催した。
十勝管内の酪農家をはじめ、関係機関などから約200名が参加した。

今回のテーマは「十勝酪農における多様な経営形態とその可能性に迫る」とし、さまざまな経営スタイルで規模拡大をはたしてきた以下の酪農家5名をパネリストに招き、原仁氏(十勝農業試験場)のコーディネートのもと、規模拡大に至った経緯、課題、今後の展望などが紹介された。

パネリスト=水崎勝秀氏(中札内村)、(有)山本牧場・山本利浩氏(広尾町)、大槻悟氏(清水町)、(有)ランドハート・菊地利憲氏(浦幌町)、(有)フジサワ・藤沢和美氏(陸別町)

議論に入る前に原氏は、今の酪農情勢と本日の論点として、「担い手の減少が続いている」ことを指摘し、
1 離農で減少した生乳生産量を、残った酪農経営でカバーできるのか?
2 酪農経営が生産量を伸ばすには、どうしたら良いか?
3 新たな担い手を、どのように育成したら良いか?
を探りたいとした。

また、北海道の農家戸数の減少予測として、
2010年:4万4050戸
2015年:3万4821戸
2020年:2万7611戸
2025年:2万2458戸
というシミュレーションを紹介。
「このままでは、10年後には約半数がリタイアすることが予測される。
今後、残った人達が規模を2倍ににしないと、生産を維持できないことになる。
とくにJAなどの地域の牽引役は10年後を見据えて、そのことに備えて、何を、どの順番でやっていくのか準備していただきたい」
と担い手不足の深刻さを語った。

※フォーラムの詳報はDairy Japan 5月号で。

放射性物質汚染と食の安全:東大・食の安全研究センターがシンポジウム

2013 年 3 月 16 日

Filed under: — admin @ 6:10 PM セミナー報告,ニュース

東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全センターは16日、東大構内で「放射性物質と食の安全・被災地の畜産復興を願って」シンポジウムを開き、同センターが平成23年度から展開してきた放射性物質と畜産物の安全に関する調査成果を報告し、あわせて畜産の被害に関する代表的な科学的研究を紹介した。関係者・消費者ら約120名が集まった。

同大学・関崎勉氏(同センター長)が調査全体の概要を話し、同大学・細野ひろみ氏は、放射性物質に対する消費者のリスク認識調査から「被災地の農畜産物を避けたい気持ちと応援したい気持ちがある。被災地の食品に対する価格評価は、フードチェーンなどへの信頼度の影響による」としたうえで、安全を安心につなぐには「信頼」が欠かせないと話した。また最新の調査結果を示し、放射性物質や健康被害、管理状況に関する理解は限定的であり、食の安全安心へのリスクコミュニケーションが重要と示唆した。

福島県畜産課の森口克彦氏は「牛肉の安全性確保と出荷管理の取り組み」を話した。県内における肉用牛飼養管理のチェック体制、生体スクリーニング、と畜後の全頭検査体制などを徹底し、「福島牛」のブランド再生に取り組んでいると報告した。

畜産草地研究所の山本嘉人氏は、家畜飼料の生産と給与や飼養体系について解説した後、飼料用トウモロコシと永年草地について、2011年、12年の2年間におよぶ放射線測定の結果と、その低減技術などを報告した。

同センターは、リーフレット「牛肉と放射性物質のコト」を作成し啓発につとめている。(文責:関東支局)
http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/

分娩牛を見守るための観察室

2013 年 3 月 15 日

Filed under: — maetomo @ 8:35 PM 未分類

写真奥に見えるのが分娩房観察室です

根室管内にあるI牧場は現在、繋ぎ牛舎で酪農を営んでおり、
さらなる繁殖成績の向上を目指し、日頃から牛をよく観察し、
牧場内で一丸となって繁殖に取り組んでいます。

I牧場では、後継者がしっかりと実力をつけてきたこともあり、
今後を考えて乾乳牛舎を新築しました。
さすが今後を考えているだけあり、話を聞くと、
「この乾乳牛舎は、そのままフリーストールの本牛舎にも進化させられる」とのこと。
今は乾乳牛舎として使われていますが、繋ぎからフリーストールへという、
後継者の飼養管理の発展の手助けとなるであろう、
“将来の展望の可能性”の意味も込めたバトンとしての牛舎となっています。

そんな乾乳牛舎には分娩房がきっちりと整備されています。
(写真を撮ったときは分娩牛がいなかったので残念でした…)
そのすぐそばには、乾乳牛舎を建てる際に設計された
「分娩房観察室」がたたずんでいます。
Iさんは、「この観察室があれば、分娩する牛の観察もできるし、
家にいるよりも、牛を常に気にかけていられる」と、
昼夜を問わず、分娩牛を見守ることができる観察室はとても素晴らしい設備です。
きっとIさん達に見守られながら、元気な子牛が誕生していくことでしょう。

フェルミエチーズが人気:千葉市・三越デパートで開催

Filed under: — admin @ 7:28 PM イベント,ニュース

千葉市内の大手デパート「三越」で13日から開かれている
千葉・房総物産展に「千葉フェルミエ(酪農家産)チーズネットワーク」会員の
チーズが展示即売されている。

15日には県内4工房+チーズケーキが並んでいた。
同県の太田和牧場(南房総市)、高秀牧場(いすみ市)、関牧場(同)、
知久牧場(野田市)のチーズなど。
お客さんへの対応は、交代で各牧場が当たる。

この日、自家産チーズを展示販売した知久さん(野田市)は、
「お客様から、商品について生の声を聞けるのが嬉しい。
技術を磨いて、さらに良いチーズをつくっていきたい」としている。

同物産展は18日まで開かれている。
*参照:Dairy Japan2012年7月号付録DVD

優秀検定員28名を表彰

2013 年 3 月 14 日

Filed under: — maetomo @ 4:05 PM ニュース

乳用牛群検定全国協議会は2月、乳用牛群検定の優秀検定員の表彰式を開催した(2月21日=東京、2月25日=福岡、2月28日=札幌)。

同表彰式は、乳用牛群検定全国協議会(鎌田壽彦会長)が平成元年から毎年行なっているもので、長年にわたり第一線で牛群検定の普及推進に携わり、貢献した検定員を、各都道府県の推薦により表彰するもの。本年度の受賞者は以下の28名だった。

 

○受賞者(敬称略)

【北海道】山崎明夫/吉村真範/上居哲也/渋田亨/三木加代子/千葉美智子/由利泰房/飯島章雄/桶屋頼子/朝比奈道雄/遠藤貴広【東北】古里渉/遠藤菜菜/山路栄太郎/五十嵐政文【関東】平野毅/澤口充/熊谷華織/富樫集【北陸】矢沢勝弘【近畿】細見清司/真野真樹子【中四国】馬野善明【九州】坂井章/穴井美智代/岩永愛/吉岡悟/前園克郎

【写真】2月25日福岡県での表彰風景。左:熊本県乳用牛群検定組合 岩永愛氏 奥:熊本県乳用牛群検定組合 穴井美智代氏(写真提供=乳用牛群検定全国協議会)

一般社団化初年度の事業・予算を承認 中酪

2013 年 3 月 13 日

Filed under: — maetomo @ 5:49 PM ニュース

社団法人 中央酪農会議は3月13日、都内で第326回理事会・通常総会を開いた。平成25年度の事業計画・収支予算を承認した。

中央酪農会議は今年4月1日付で一般社団法人へ移行することで、今回承認した事業計画・収支予算は一社化初年度のもの。

一社化に合わせて従来の事業体系を集約し、「公益目的事業(継続事業1)」「公益目的事業(継続事業2)」「牛乳消費推進対策事業」「生乳需要基盤強化対策事業」に振り分けた。

このうち継続事業1は「国内生乳需給調整・生産基盤安定化対策事業」を、継続事業2では「酪農理解促進広報事業」を行なう。

「牛乳消費推進対策事業」は今年度まで3カ年計画で取り組まれてきたMILK JAPANを総括し、再スタートさせる。 既存の子ども向けテレビ番組は廃止し、新たに牛乳の効能などを伝える30秒のインフォマーシャル「おねがいMILK GOD」を露出度の高い番組枠で放映する。放映は全国。 同事業の予算は5億7900万円で、牛乳等向け生乳1kgあたり15銭の拠出金を財源とする。

どうしても過密気味に…

2013 年 3 月 8 日

Filed under: — maetomo @ 6:16 AM 未分類

根室管内・H牧場の乾乳牛舎です。
分娩2カ月前の初妊牛もいます。

牛舎内は換気良く、乾燥しています。
敷料も豊富です。

しかし、「どうしても過密気味になる時期があるんです」とHさんは言います。
増頭、増産、また暑熱で受胎がずれて分娩予定日が集中するなどの理由から、
同じ課題を持っている牧場は多いのではないでしょうか。

そのようなときに、「乾乳期間の短縮(30日乾乳)」はどうでしょうか?
詳しくは、本誌1月号「乾乳期間の短縮のメリットと注意点を整理する」をご覧ください。

また、「30日乾乳」を試した手応え、ご感想などがありましたら、
ぜひお寄せください。

全国優良畜産経営管理技術発表会:中央畜産会が表彰

2013 年 3 月 7 日

Filed under: — admin @ 4:00 AM ニュース

平成24年度の全国優良畜産経営管理技術発表会が6日、都内で開かれた。

これは6名からなる審査員会が中央畜産会などの依頼に基づき、「付加価値の創造」「安定性」「先進性」「普及性」の4つの審査項目で事例選考を行なったもの。12農場が選ばれ、酪農部門では次の農場が表彰された。

福島県:株式会社T・ユニオンデーリイ
広島県:有限会社安瀬平牧場
香川県:有限会社広野牧場(最優秀賞)
長崎県:高原和光氏

被災地域の畜産再生に向けて:中央畜産会がフォーラム開催

2013 年 3 月 6 日

Filed under: — admin @ 6:20 PM セミナー報告,ニュース

中央畜産会は6日、東京都内で地域再生フォーラムを開いた。これは東日本大震災をはじめ、これまで全国各地で蒙った自然災害や原発事故により畜産が直面した課題等を整理し、今後の畜産において復興・再生のプロセスの参考にするもの。3つの基調講演と8つの報告が発表された。

東北大学の中井裕教授は、東日本大震災における畜産の被害状況を整理し、飼料工場の配送体系や乳業界での危機管理体制の取り組み、地域レベルでの停電時の電源確保対策などを紹介し、「地域再生に持続可能な畜産事業を構築することが必要で、地域内連携、耕畜連携、農協や畜産関連ネットワークとつながることが大切」とした。

福島県の酪農家、三瓶恵子さんは「T・から始める酪農」と題し、原発事故によって避難し、農場を移転せざるを得なくなった経緯と現在の状況を話した。同氏夫妻は移転に当たり弟夫婦と共同で株式会社「T・ユニオンデーリイ」を設立、被災から3年目に入る今、「常に前に向かっていくことを大切にしたい」と述べた。同牧場の「T」は以前の住所、自分や弟夫婦の名前の頭文字とのこと。

日本獣医生命科学大学の小澤壮行教授は、過去の自然災害等から復興した事例の特徴として「地域・後継者・従業員・同業者等が一体となった展開、“モノからヒトへのシフト”を強調したい」と述べた。さらに、復興関係資金の助成事業・制度資金の有効利用における行政の力、法人化・共同化による負担軽減とスケールメリットの発揮の3点をあげた。さらに普段からのライフライン整備、正しい情報取得と発信が大事とした。

雲仙普賢岳の噴火により被災した長崎県・雲仙生乳生産組合の高原和光氏は、共同で農用地を集積し、酪農を再開したプロセスを報告した。同氏は、補助事業等の利用で牛舎・施設・採草地を整備し、被災前には経産牛75頭だったが、現在は同100頭、育成牛50頭と、和牛・乳雄・F1肥育230頭へと経営を拡大している。再建に当たっては積極的な姿勢が大事、と述べた。

また、中越地震からの畜産の復興、口蹄疫による被災からの復興、鳥インフルエンザからの復興、風評被害への対応などが話された。(文責:関東支局)

 

 

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