放射性物質汚染と食の安全:東大・食の安全研究センターがシンポジウム

2013 年 3 月 16 日

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東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全センターは16日、東大構内で「放射性物質と食の安全・被災地の畜産復興を願って」シンポジウムを開き、同センターが平成23年度から展開してきた放射性物質と畜産物の安全に関する調査成果を報告し、あわせて畜産の被害に関する代表的な科学的研究を紹介した。関係者・消費者ら約120名が集まった。

同大学・関崎勉氏(同センター長)が調査全体の概要を話し、同大学・細野ひろみ氏は、放射性物質に対する消費者のリスク認識調査から「被災地の農畜産物を避けたい気持ちと応援したい気持ちがある。被災地の食品に対する価格評価は、フードチェーンなどへの信頼度の影響による」としたうえで、安全を安心につなぐには「信頼」が欠かせないと話した。また最新の調査結果を示し、放射性物質や健康被害、管理状況に関する理解は限定的であり、食の安全安心へのリスクコミュニケーションが重要と示唆した。

福島県畜産課の森口克彦氏は「牛肉の安全性確保と出荷管理の取り組み」を話した。県内における肉用牛飼養管理のチェック体制、生体スクリーニング、と畜後の全頭検査体制などを徹底し、「福島牛」のブランド再生に取り組んでいると報告した。

畜産草地研究所の山本嘉人氏は、家畜飼料の生産と給与や飼養体系について解説した後、飼料用トウモロコシと永年草地について、2011年、12年の2年間におよぶ放射線測定の結果と、その低減技術などを報告した。

同センターは、リーフレット「牛肉と放射性物質のコト」を作成し啓発につとめている。(文責:関東支局)
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