畜産の国際化の進展と対応:家畜改良センター茨城牧場らがセミナー

2013 年 3 月 1 日

Filed under: — admin @ 7:44 PM セミナー報告,ニュース

家畜改良センター茨城牧場、畜産環境整備機構などは1日、茨城県内で平成24年度畜産技術セミナー「農業における国際化の進展と対応について」を開いた。畜産農家や関係者ら約50名が集まった。

講演1は「畜産をめぐる情勢について」と題し、政権交代後の平成24年度補正予算および25年度の畜産・酪農関係予算概要を、農水省関東農政局畜産課の三ツ木嘉之農政調査官が説明した。補正予算による生乳需要基盤強化対策事業は、需要創出は日本酪農乳業協会、利用促進は中央酪農会議が事業実施主体となる。25年度には酪農生産基盤回復緊急支援事業、加工原料乳確保緊急対策事業等が新規に予算化された。

また今年6月末には、パーラー排水液など家畜排水からの硝酸性窒素等の暫定基準値(900ミリグラム/L)の改定時期を迎え、その引き下げも予想されることから、畜産整備機構の羽賀清典参与と長峰孝文主任研究員が「硝酸性窒素等家畜環境問題の対応とメタン発酵消化液の利用等」と題して講演した。バイオマス利用等による再生可能エネルギーの固定買取制度、メタン消化液の野菜への施肥利用などが話された。

講演2は「TPP問題」について、畜産関係102団体で構成される日本の畜産ネットワーク事務局でもある中央畜産会:伊佐地誠参与が話した。今までの当該問題に対する政治や関係者らの議論を整理したうえで、政府・自民党内の直近の動きや、日本に対する米国の要求内容を概説した。
「国民生活へ急激な影響や畜産業や関連業種、農業関連の雇用減少(例:牛乳乳製品の生産量減少率56%、農水省試算)などの観点から懸念する。“聖域”が一つでも取れれば参加とも受け取れる今回の日米声明で、その聖域の中に畜産物が含まれる可能性は低く、交渉参加に反対する」とした。(文責:関東支局)

 

菊地氏・安宅氏・小椋氏に宇都宮賞

Filed under: — djito @ 5:31 PM ニュース

宇都宮仙太郎翁顕彰会(北良治理事長)は3月1日、札幌市内で「第45回 宇都宮賞表彰式」を開催した。宇都宮賞は、北海道酪農の父である宇都宮仙太郎翁の業績を顕彰し、かつ継承されることを念願し、翁の命日にあたる3月1日に功績者を表彰するもの。今回の表彰者およびその功績は以下のとおり。

●酪農経営の部―菊地利憲氏(浦幌町)
同氏は昭和41年に就農以来、乳検データ等を活用した個体能力の把握や徹底した飼養管理に取り組み、平成3年には町内初の牛群1万kgを達成するほか、翌年には町内2頭目のエクセレント牛を誕生させるなど、地域酪農のリーダーとして生産性の高い経営を展開してきた。しかし、地区内の後継者不足や農地の余剰、労働過重等の問題が深刻化し、また将来的に個人経営での営農は困難と考え、志を同じくする近隣酪農家4戸とともに共同経営による効率的で生産性の高い経営を目指すこととし、平成15年に町内初の法人ランドハートを設立し、その代表取締役として重責を担っている。設立後も、良質な粗飼料生産に心がけ、土壌の物理性・化学性の改善を図り、収量の増加を図っている。また、法人設立前から手がけてきた乳牛改良にも力を入れ、法人設立後、すでに4頭のエクセレント牛を輩出している。こうした取り組みにより、現在の年間出荷乳量は6000tを超え、町全体の16%を占めるなど、地域酪農振興に果たしている役割は大きい。

●酪農指導の部―安宅一夫氏(北広島市)
同氏は昭和46年に帯広畜産大学大学院を修了後、酪農学園大学に奉職し、41年間にわたり、高品質牛乳の生産および高泌乳牛の飼養管理技術の研究、普及活動に取り組んだ。奉職以来、一貫してサイレージの研究をメインテーマとして、北海道における酪農は自給粗飼料生産が基礎であり、牧草の調製利用は、サイレージ調製に有利性があるとして、良質サイレージ調製技術を現場に定着させた功績は絶大である。平成16年には「サイレージ調製に関する研究」の成果に対して、日本草地学会賞を受賞し、その後も継続的な研究により、あらゆる機会を通じて、生産者や現場指導者、酪農関連業界などに広く普及、啓発し、良質粗飼料の確保による酪農経営の安定に大きな役割を果たした。また、酪農学園大学学長や短期大学部学長を歴任するなかで、次代の酪農後継者の育成に強い意欲と指導性を発揮し、多くの経営者を輩出するほか、アジア酪農交流会の会長として、酪農の国際化に貢献するなど、北海道酪農の発展に大きく貢献した。

●酪農改良の部―小椋義則氏(枝幸町)
同氏は昭和53年に名寄農業高校を卒業後、父の経営する酪農に従事したが、昭和57年に公社リース事業を利用して独立することを決意し、現在地に入植した。入植時より、初妊牛30頭を導入し経営をスタートし、農業改良普及員や試験研究機関の指導・助言を忠実に実践した結果、昭和63年には入植時に導入した初妊牛が宗谷管内最高乳量を記録するなど、管内でもトップクラスの成績を得た。乳牛改良面では、独立当初から地域の核となる血液を導入し、さらには改良速度を速める未経産牛由来の受精卵移植を積極的に実践するほか、海外受精卵の導入事業に積極的に取り組んだ。こうした取り組みにより、乳牛改良の柱となる牛群が確保され、平成19年度に2頭をはじめとして、平成23年度までの4年間に合計7頭の検定済種雄牛を造成し、日本の遺伝的能力のトップレベルとなる集団をリードするファミリーを築き上げた。また、現在までに2万kgを超えるスーパーカウを3頭輩出するなど、乳牛改良に対する成果は特筆すべきものがある。

酪農現場での取り組みと成果を報告 北酪検「検定員中央研修会」

Filed under: — admin @ 9:06 AM ニュース

北海道酪農検定検査協会と乳用牛群検定全国協議会は28日、札幌市内で「平成24年度 検定員中央研修会」を開催し、全道から検定員をはじめ、検定組合および検定事業関係者など約350名が参加した。
以下の4名が講演した。

根室農業改良普及センターの吉田忠主査は「乳検データを活用して! FAC活動・肢蹄改善活動」と題し、家畜人工授精師に乳牛の健康知識を習得してもらい、牛体をモニターして乳成分と照らし合わせることで問題の原因究明、改善につなげた取り組みについて報告した。また、肢蹄の健康な牛は全体の半分しかいないこと、肢蹄の悪い牛は選び喰いしていること、改善に向けてのチェック・ポイントなどを報告した。

JA道東あさひ・上春別支所の検定農家である橋本昭雄氏は「我が家の酪農経営と乳検」と題し、「牛が喜んで食べるエサを作る」ための取り組みとして、コーンサイレージを活用した粗飼料体系、輪作体系による草地更新、雑草防除の徹底による植生維持、サイレージ発酵品質の向上などを報告した。また、「牛が食べやすい環境を作る」ための取り組みとして、牛をよく見て対話すること、乾物摂取量を向上させて無理なく乳を搾ること、カウコンフォートを向上させてストレスを低減することなどを報告した。そして、それらの取り組みの結果が、乳検成績の数字となって表れると語った。

農水省家畜改良推進課長補佐の外山高士氏は「乳用牛改良をめぐる情勢について」と題し、最近の乳用牛改良をめぐる情勢、後代検定事業をめぐる情勢、平成25年度予算の概要を報告した。経産牛1頭当たりの年間乳量は、年約75kg(H元-H23)で伸び続けているが、その中身が変化し、以前は、飼養環境の改善による効果が大きかったが、近年は、ほとんどが乳用牛の遺伝的な改良によるものであることなどを解説した。

トータルハードマネージメントサービス・代表の黒崎尚敏獣医師は「臨床獣医師の立場から…/哺育、繁殖、周産期における5つのキーワード」と題し、哺育育成の5つのC(Colostrum:初乳、Calories:カロリー、Cleanliness:清潔、Comfort:安楽性、Consistency:一貫性)、繁殖パフォーマンス向上5つのポイント(乾乳および周産期の管理、発情発見、初回授精、再授精、繁殖管理の道具立て)、周産期危険因子ビッグ5(飼槽スペース、フリーストール表面、フリーストールサイズ、分娩房への移動、観察方法)を解説した。

時間をズラして少しでも働きやすく

Filed under: — maetomo @ 5:00 AM 未分類

十勝管内のΩ牧場では従業員の確保に悩んだ時期があったといいます。
ハローワークへ求人を出したとしても、酪農のキツいイメージがあるのに加えて、
朝の仕事開始時間が早いこともあり、なかなか応募がなかったそうです。

そこで、Ωさんは、「それなら朝の開始時間を少し遅くしたら…」と考え、
求人に掲載する朝の搾乳開始時間を、従来より1時間遅い6時からにしたそうです。
そうしたところ、以前より多くの応募がくるようになったと教えてくれました。

朝の搾乳開始時間を変えたため、はじめのうちは牛に影響はあったものの、
夕方の搾乳も1時間遅らせたことで、牛もそれに順応してくれたといいます。
しかし、搾乳時間を変えるためには、集乳の時間も考慮すべきで、
そこは農協に掛け合い、午後の集乳に変更してもらうことができたそうです。

Ωさんは「タイミングが良かったから時間を変えれた。運が良かった」と、
そのときに応募してくれた従業員と、今も息を合わせて牛を飼っています。

Copyright (C) 2005 Dairy Japan Corporation. All Rights Reserved.