暑熱対策、TPP問題など、喫緊の課題を研修

2011 年 2 月 28 日

Filed under: — djito @ 9:37 PM ニュース

北海道酪農検定検査協会および乳用牛群検定全国協議会主催の「平成22年度 検定員中央研修会」が28日に札幌市内で開催され、全道から「乳検」関係者360名が参加した。
今年は以下の四つの講演が行われた。

「去年の暑熱から学ぶ」=田中義春氏(北海道・技術普及課・総括普及指導員)
「技術や作業は人主体ではなく、牛主体でなければならない」と前置きし、暑熱ストレスの見分け方とその影響、現場で可能な技術的対応、乳検成績での判断などを解説。
「改善は一度に全部をやろうとしないこと。酪農技術は連結していることから、一つを徹底的に改善すれば良い成果が表れ、次の課題もまた自然と出てくる」と述べた。
※田中義春氏は弊社刊書籍「牛の習性を理解して 技術で分娩前後をのりきる」でお馴染み。

「私の酪農経営と乳検」=松下雅幸氏(鶴居村・検定農家)
改善の取り組みは、乳牛改良、良質粗飼料生産、飼養管理。
衛生的乳質を目指して、パドックの整備、敷料管理、PLテスターで早期発見している様子、また乳牛のモニタリングとして、けん部および肋の張り、反芻、乳房の張り、糞、ボディコンディション、蹄、歩様などを常に確認していることを紹介した。

「乳用牛改良を巡る情勢等について」=葛谷好弘氏(農水省・畜産振興課・課長補佐)
乳用牛への黒毛和種の交配割合が高まっていること、輸入精液の約7割はNTPトップ40より能力が低いものである状況などを紹介。
「平成12年頃までは、国内種雄牛由来と海外種雄牛由来の雌牛の遺伝的能力は同程度であったが、輸入精液が増加し始めた同年を境に、海外種雄牛由来の雌牛の遺伝的改良量が大幅に低下した」と注意を促した。

「どうする酪農?」=鈴木宣弘氏(東京大学大学院・教授)
TPP参加の弊害について詳しく解説し、「冷静に国民的な議論をすれば、拙速な対応は回避できるはずであり、今ここで、酪農家や関係者が(将来不安で)やる気をなくすようなことがあってはならない。事態の正常化に努め、より強い農業づくりにつなげてほしい」と述べた。

畜産衛生について考える:茨城県でセミナー開催

2011 年 2 月 25 日

Filed under: — admin @ 7:25 PM セミナー報告

2月25日、茨城県内で「平成22年度畜産技術セミナー」が開かれた。
主催は、筑西市畜産振興協議会などで、今回のテーマは「畜産衛生」。

同協議会の杉山会長が
「韓国の口蹄疫や国内の鶏インフルエンザなどで、畜産農家は不安が絶えない」
と挨拶した後、
1:畜産をめぐる情勢について」(家畜改良センター茨城牧場・分部場長)
2:家畜衛生について考える」(動物衛生研究所・津田知幸部長)
3:茨城牧場の防疫体制について(同センター・斉藤課長)、が講演した。

セミナーでは、家畜排せつ物の施設整備は今後、補助から融資に転換すること、
家畜衛生については、昨年の口蹄疫の発生を踏まえ、
国・地域・農場での「バイオセキュリティ対策の要点」が解説された。

同牧場は豚を研究している農場だが、酪農も、
1)伝染病の検査体制(衛生検査とワクチン)、
2)農場フェンスや扉の施錠、出入口の石灰帯、車両消毒、
3)公道に面する草地の虎ロープ張りや立て看板
4)踏み込み消毒槽 
5)家畜導入時の対策、などは必要と解説した。(文責:DJ関東)

農水大臣賞に近藤獣医師

Filed under: — admin @ 1:55 PM 未分類

受賞者:左から近藤氏、櫻井氏、池満氏、神野氏

受賞者:左から近藤氏、櫻井氏、池満氏、神野氏

農水大臣賞を受賞した近藤氏

農水大臣賞を受賞した近藤氏


 2月23、24日東京で、第37回家畜診療等技術全国研究集会(主催:NOSAI全国)が開催され、全国よりNOSAI獣医師や大学教授、学生などが集まった。

 初日は、それぞれが行なった研究の発表、2日目には、末吉益雄氏(宮崎大学)「今後の口蹄疫の地域・国家防疫対策(案)について」、大和田孝二氏(NOSAI連宮崎)「宮崎県における口蹄疫の発生概要・課題および防疫対策(案)について」の2つの講演と表彰が行なわれた。

 農水大臣賞には、近藤寧子氏(ちばNOSAI連東部家畜診療所)の「牛群検定における育成牛の発育状況の検討」が選ばれ、佐々木伸雄審査委員長(東大)は「骨格やルーメンの発達など、育成期の重要性を示しており、今後の更なる研究を期待する」と評価した。
以下、その他の受賞者

 吉田賞には、
◇「家畜群疾病情報分析管理事業(乳牛繁殖管理)における当診療所の実状、およびそれを利用した2戸の経営不良農家への生産性改善効果」
櫻井直人氏(北海道・根室地区NOSAI中春別家畜診療所)

 奨励賞には、
◇「直腸検査において触知される第三胃の変位と拡張」
池満康介氏(北海道・NOSAIオホーツク湧別支所遠軽家畜診療所)
◇「豚の直腸検査を用いた繁殖障害の治療効果」
神野雅子氏(NOSAIえひめ松山家畜診療所)

 経営局長賞には、
◇「IFA抗体検査および定量PCRの評価に基づく豚サーコウイルス2型(PCV2)ワクチンの効率的なワクチネーションプログラムの決定」
山本昇氏(NOSAI連宮崎リスク管理指導センター)
◇「泌乳牛における小型ピロプラズマおよびヘモプラズマ混合感染症例と同居牛の進潤調査」
兼子千穂氏(岩手県・NOSAI磐井西磐井家畜診療センター)
◇「黒毛和種の皮膚無力症の1例」
小笠原剛士氏(NOSAI鳥取)
◇「2卵移植と新型移植機を導入したF1雌牛飼育農場における受精卵移植成績」
原誠氏(ちばNOSAI連北部家畜診療所)
◇「難治性の関節炎に関節切開術を行った黒毛和種牛の3例」
佐藤聡子氏(鹿児島県・NOSAIそお)

2011-2月評価トピックス(国内種雄牛版)を発表

Filed under: — admin @ 9:51 AM ニュース

家畜改良センターは22日、乳用牛遺伝的能力評価2011-2月の評価結果(国内種雄牛分)を発表した。

1位は総合指数+3298のエンドレス ジアンビ、
2位は同+3183のオージェーフアーム ハート ランカスター ET、
3位は同+2852のヘンカシーン ゴールド ドリーム、
以下順位は同センターリリース、またはこちらをご参照ください。

また、今回新たに9頭の新規種雄牛が登場し、そのうち3位のヘンカシーン ゴールド ドリームをはじめ、
7位ストレチア マウイ チルドレン ET、
9位フオレスト フエアリー エムトト オーマン ET、
10位フオレストフエアリー ブリツツ ゴールデン ET、
14位フオレスト フエアリー ジユラー ウイナー ET、
15位オムラ スイーテイー アレンジ ET、
26位YKT クリスピー フリーダム ET、
35位フリージアEJ クラウンET、の8頭の新規種雄牛が40位以内にランクインした。

なお、本評価結果をもとに、インターブルが算出を行う国際評価値については、4月5日に公表予定。

(独)家畜改良センターHPはこちら

良質サイレージの「におい」

Filed under: — maetomo @ 6:16 AM 未分類

良質サイレージの「におい」(香味)は、どんな「におい」ですか?
教科書的には、「快甘酸臭・芳香」とあります。

良質サイレージづくりを追求しているS氏に聞いたら、
『良いサイレージは、ほとんど「におい」がない。かすかに原料草の「香り」がする程度』
と言っていました。
実際、S氏とともに良質サイレージづくりに取り組んだ牧場のみなさんも、同意見です。

ところで「におい」には、「匂い」「臭い」の2種類の漢字があります。
Wikipediaでは、
『良いそれの場合「匂い」とし、悪いそれの場合は「臭い」とする。
とくに良いにおいの場合は「かおり」「かほり」「香り」と、別の言葉を当てることも行われる』
とあります。

そのことからも、良質サイレージは、「かすかな良い香り」という表現が適切なのかもしれませんね。

コントラとTMRセンターの連携を:平成22年度全国コントラ情報連絡会義で

2011 年 2 月 24 日

Filed under: — admin @ 10:46 PM セミナー報告

2月24日、東京都内で平成22年度全国コントラクター情報連絡会議が開かれ、
関係者ら約150名が集まった(主催:日本草地畜産種子協会)。

主催者挨拶で、信國・同協会会長は、TPP問題に触れ、
反対運動に対する反論が画一的なことを懸念しているとしたうえで、
「最近のコントラは地域の実情を反映し、多様化している。将来的には、
コントラ組織が畑のデータを、農家にフィードバックすることが理想」と述べた。

会議では、オコッペフィードサービス(TMRセンター)の近藤三男氏(北海道)が、
約10年間のコントラ運営(8戸+2法人)の経過から、
北海道では粗飼料品質が乳量を左右するとし、
これからの課題として、1)機械の更新、2)その場合の資金調達、をあげた。
コントラとTMRセンターの連携では、
道内の共通課題として、財政基盤の脆弱さ、人材確保、にあると報告した。

農事組合法人「八万石」(千葉県:水田農家4戸で構成)は、
平成22年度21.4haの稲WCSの収穫・調製を受託(15戸の畜産農家に販売)。
水田農家は、米価下落や高齢化、後継者難で、WCS用圃場の面積は増加、
しかし米作農家はWCS畑にずさんな管理な人が多いのが悩み、などと述べた。

新潟県の藤田毅氏(フジタファーム)は、酪農+水田+乳製品の6次産業の中での
自給飼料へのこだわり(土地利用調整と耕畜連携)、飼料作物生産の外注化など
を報告し、畜産が地域のキーマンになる、と報告した。

錦江ファーム(鹿児島県)は、地域連携による稲WCS+TMRセンターを報告し、
「本物の日本産の和牛を作り上げるためには、耕畜連携が絶対条件」と強調した。

なお、コントラクターは平成21年度:525組織(北海道176、都府県349)、
平均受託面積は北海道933ha、都府県44haとなった。(文責:DJ関東)

「繁殖性」「長寿性」を改善しないと収益を上げることはむずかしい

2011 年 2 月 23 日

Filed under: — djito @ 8:51 PM セミナー報告

北海道アルバータ酪農科学技術交流協会は23日、酪農学園大学で海外農業技術セミナーを開催した。

講師は、カナダ・ケベック州にあるクラックホルム・ホルスタイン牧場主のデイビッド・クラック氏。
同氏は優秀なブリーダーとして知られ、またアルタ・ケベック州マネージャーとしても活躍している。

同氏は、乳牛の遺伝改良の方向性、アルタ社の種雄牛の紹介、同牧場の優良雌牛の紹介という3部構成で講演した。

乳牛の遺伝改良の方向性では、乳量や体型(乳房、肢蹄など)はめざましく改良されたが、繁殖性、牛群滞在期間は低下しており、「この二つを改善しないかぎり収益を上げることはむずかしい」と指摘。
そのためには、自分の農場に合った遺伝プログラムと目標を定め、従来の生産能力形質、機能的体型形質に加え、健康+生存形質を重視すべきであるとして、DPR(娘牛の妊娠率)、HL(牛群寿命)、PL(生産寿命)、MCE(分娩難易度)などの遺伝評価の活用について解説した。

詳報はDairy Japan 4月号で。

牛白血病、マイコプラズマ性乳房炎、サルモネラ…北海道しゃくなげ会

2011 年 2 月 18 日

Filed under: — djito @ 6:11 PM ニュース

北海道しゃくなげ会(伊藤篤会長)は18日、札幌市内で「第43回北海道しゃくなげ会/総会・研修会」を開催した(事務局=日本全薬工業)。
今年の研修会テーマは昨年に続き「感染症を考える(パート2)」。
基調講演は、
「牛白血病の感染防御対策」(北海道大学・今内覚氏)
講演は、
「北海道におけるマイコプラズマ性乳房炎の現状と防除対策」(北海道NOSAI連合会・草場信之氏)
「牛サルモネラ症の発症要因と発生防止対策」(北海道畜産試験場・仙名和浩氏)
「石狩管内の動物病院におけるMRSA感染の実態とその対策」(まえたに動物病院・前谷茂樹氏)
「黒毛和種ロボット哺乳牛群に対する疾病予防戦略」(中空知NOSAI・村上賢司氏)
「繁殖和牛農家における牛呼吸器病症候群の発生と対策」(オホーツクNOSAI・井上麻里氏)

今内氏は、牛白血病は血液および乳汁で伝播することを解説し、本病は国家レベルでの取り組みがなく、国家補償(淘汰補償)もなく、廃用認定のハードルも高いと指摘。
さらに、メガファームにおける清浄化に向けた取り組み事例を紹介し、清浄化には「まずは陽転率を抑えること、新たな感染牛をつくらないことから」を強調した。

草場氏は、北海道におけるマイコプラズマ性乳房炎の年間発生率は0.3%くらいだが、発見されたときは深刻な事態になっていると話し、
防除対策として、感染牛の摘発(全頭検査、その後のモニタリング検査)、感染牛の対策(隔離、淘汰、治療、経過観察)、搾乳衛生遵守(清拭、ポストディッピング、バックフラッシュ)を解説した。
さらに、初産分娩後が引き金(新規侵入)であることが往々にして見られること、感染牛を完全隔離せずに他の病畜や分娩牛がいるホスピタルペンに入れると同居牛が感染することを紹介し、
対策を一言でいうと「マイコの感染スピードと人間の知恵の勝負である」と語った。

カラマツ力(パワー)

Filed under: — maetomo @ 6:00 AM 未分類

カラマツ牛舎で知られるリゲルファーム(遠軽町生田原)です。
266ベッドのフリーストール牛舎で、その美しいトラスには目を奪われます。

カラマツは超丈夫で、腐りにくい木だそうです。
そのカラマツ牛舎は、夏は涼しく、冬は暖かいそうです。
確かに、木のぬくもりを感じました。
しかも、牛舎内の空気が乾いています。
同牧場は、乾乳牛舎も哺育牛舎も堆肥舎も、カラマツです。

ちなみに同牧場では、ガレガ(マメ科牧草)サイレージ、ひまわりサイレージを利用しています。
とても嗜好性が良いそうです。

「農場HACCP推進農場の指定」実施

2011 年 2 月 14 日

Filed under: — admin @ 9:50 AM ニュース

 (社)中央畜産会(会長:小里貞利氏)は、このたび「農場HACCP推進農場の指定」を実施するとした。
 安全な畜産物が求められているなか、畜産農場における衛生管理と防疫体制の整備により、衛生管理技術の向上が重要視され、安全な品質の畜産物を生産することが最大の課題とされている。

 そこで今回、(社)中央畜産会の農場では、HACCPの普及促進の観点で衛生管理基準をクリアし、HACCP手法の基本を理解し実際に取り組んでいる農場のうち、一定の基準を満たす農場に対して「農場HACCP推進農場」として指定し、農場HACCPへの理解醸成と認証への取組(農場HACCP認証農場の認証取得)を促進することとした。

 認証は、「畜産農場における飼養衛生管理向上の取組認証基準(農場HACCP基準)」の要件を満たしているか、書類審査と現地審査によって行われる。審査員の条件は、過去に農場指導員研修を受けたことがあり、農場指導経験が3年以上ある人とされている。認証機関の決定や今後の流れに関しては、決まりしだい同会HPで公表される。

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