イノベーションによる食と農の展開に期待:農水省・針原大臣官房総括審議官

2011 年 2 月 10 日

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2月10日、農水省大臣官房の針原寿朗大臣官房統括審議官は、
東京工業大学で開かれた「食の未来創成寄附講座」開設記念の講演会で、

「イノベーションによる今後の食料・農業の展開方向」と題し、
日本の食料・農業の現状を統計数字で示した後、

1:食料・農業をフィールドとする新たな可能性として、
平成23年度に5万kl以上の国産バイオ燃料の生産・利用の目標、
農業水利施設の利用による小水力発電、
福祉への活用(有業者が多いと一人当たり医療費が低い傾向がある)、
多面的機能(例:やすらぎ機能の評価額は2兆4000億円/年)
などがある。

2:さらにイノベーションによる農業再生の展開方向として、
農の豊富な資源は、他産業の持つ革新的な技術と融合することで、
新産業を創出し、農の活性化の可能性がある(例;6次産業化)。

3:イノベーションとは「新しく結合すること」であり、
1)農の多面的機能などの財価、2)生産方法、3)販路、
4)原材料、5)組織 の5つが融合することで、
食の未来創成が期待できる、などと話した。

同寄附講座は、大学創立130年を記念し、食品業界の株式会社ぐるなびが
同大学が集積してきた先端技術を、食の領域にまで広げ、
食資源の有効活用を図ることを目的にしたもの。

なお多面的機能の例として「自然資源経済論入門」(中央経済社:2010)では
「配賦不能投入財が牧草地と牛の場合、
放牧という農法では、牛乳と景観が生み出されるが、
畜舎で飼う場合は、牛乳は生産されるが、景観は生み出されない」
としています(注:舎飼いの否定ではありません)。(文責:DJ関東)

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