アニマルウェルフェアの取り組みは自由貿易から守ることにもつながる

2010 年 11 月 7 日

Filed under: — djito @ 8:25 AM ニュース

農業施設学会、日本家畜管理学会、応用動物行動学会の三学会合同シンポジウム「畜産におけるアニマルウェルフェアの実際」が11月5日、北海道江別市の酪農学園大学で開催された。

講演会として、
「畜産におけるアニマルウェルフェアに関する国内外の状況」佐藤衆介教授(東北大)
「管理者に対する牛の恐怖の軽減」小迫孝実科長(畜草研)
「生産獣医療の中でのアニマルウェルフェアの位置づけ」岡田啓司准教授(岩手大)
「正常行動の発現を保障する飼育環境」竹田謙一准教授(信州大)
「快適牛舎における施設構造」高橋圭二教授(酪農学園大)
が行われた。

総合討論では、近藤誠司教授(北海道大)が座長を務め、アニマルウェルフェアの国際的な普及、繋ぎ飼いについてなどが話し合われた。
国際的な普及については、OIEが現在、各国の意見を聞きながら国際基準をまとめており、2011?2012年に肉牛とブロイラーについて発表される予定。
その国際基準よりレベルが低ければ、レベルの高い国から酪農・畜産製品の輸入を迫られる可能性が出てくることも考えられ、「ハイレベルにすることが日本の畜産を守ることにつながる」などの意見が出た。

繋ぎ飼いについては、「最近の繋ぎは自由度が非常に高い。それを拘束ととらえられると困る」「あくまで五つの自由から総合評価される」などの意見が出た。

「五つの自由」とは、
1 飢えと渇きからの自由
2 疾病や怪我からの自由
3 不快環境からの自由
4 正常行動を発現する自由
5 恐怖や苦悩からの自由
で、アニマルウェルフェアは、それらの総合評価で判断される。

なお日本では、3月に畜産技術協会が「アニマルウェルフェアに対応した乳用牛の飼養管理指針」をまとめたが(Dairy Japan 8月号参照)、さらに来春には「乳用牛アニマルウェルフェア総合評価法」がまとめられる。
この評価法は酪農家自身が客観的にチェックできるもので、「五つの自由」を軸とし、「施設」「管理」「動物」の三つのベースから評価するもの。

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