北海道家畜管理研究会のシンポジウムが12月3日、札幌市で開催された。
今回のテーマは「乳牛の能力を発揮させる最新給餌技術」。
同研究会会長の柏村文郎氏(帯広畜産大学)は初めに、「自給飼料の拡大については盛んに取り上げられているが、給餌技術まで踏み込んでの議論は少ない。給餌技術がまずければ、どのような飼料を作っても牛の口にきちんと入らない。給餌技術は、古くて新しい話題だ」とテーマの背景を説明した。
続いて、高橋圭二氏(酪農学園大学)を座長として、以下の4名が話題提供を行なった。
●「キャリロボを使った搾乳と最新の自動給餌技術―チャレンジマン20―」
猪瀬一郎氏(オリオン機械)・北原慎一郎氏(北原電牧)
猪瀬氏は、キャリロボの導入効果として、搾乳頭数が増えても搾乳作業時間が短縮することや、省力に加えて安全性も高まることなどを紹介した。また、牛体情報モニタリングシステムであるチャレンジマン20の導入効果として、生乳1kgを生産するために必要な濃厚飼料の量が20%減ること、ボディコンディションが適正になること、残飼が減ることなどを紹介した。
北原氏は、チャレンジマン20導入によって、毎日の乳量変化にきめ細かく対応し飼料代を節約できること、100頭規模でもきめ細かな個体管理が可能となることなどを紹介した。またチャレンジマン20は、牛舎の真上から眺めて各個体の現状を把握するようにデザインしたビジュアル・システムであることなどを紹介した。
●「ロボット導入効果を最大とする給餌方法論」
小池美登里氏(コーンズ・エージー)
小池氏は、乳牛が搾乳ロボットに自発的に訪問するためには、PMRとフリーカウトラフィックが非常に有効であることを解説した。
PMRとは部分的混合飼料(Partly Mixed Ration)で、飼槽のTMRの栄養濃度を下げて、不足する栄養はロボット内で給餌する方法。これにより乳牛は搾乳ロボットに魅力を感じ、頻繁に訪問するようになる。
フリーカウトラフィックとは、乳牛が飼槽やロボットにいつでも訪問できる環境を作るもので、通路幅も広めにする。すると牛群内で弱い牛も、頻繁に訪問することができる。
●「フリーストール牛舎での乳牛の採食行動と飼槽管理」
森田茂氏(酪農学園大学)
森田氏は、乳牛の採食行動、採食可能な範囲、飼槽高と飼槽管理などの研究成果を解説。
今後の飼料給与の洗練化には、牛乳の採食パターン、給餌の自動化、飼槽での残飼の移動の把握、部分的混合飼料などが深く関与し、さらに研究課題となることなどを解説した。
《ホームページ》
北海道家畜管理研究会=http://www.horalm.org/
オリオン機械=http://www.orionkikai.co.jp/
北原電牧=http://www.kitaharadenboku.com/
コーンズ・エージー=http://www.cornesag.com/jp/
酪農学園大学=http://www.rakuno.ac.jp/