土づくり推進フォーラム講演会、開催

2010 年 7 月 31 日

Filed under: — admin @ 8:44 AM セミナー報告

7月30日、東京都内で「土づくり推進フォーラム」が開かれ、
全国から約250名が参加した。これは、全国土壌協会、
全国エコファーマー化推進準備委員会などが共催したもの。

内容は、
1 農村基本法と環境保全型農業等の推進 農水省:環境対策室 松尾課長
2 ポリシリカ鉄凝集剤使用による水田土壌改善 東北大学 伊藤教授
3 窒素肥効評価法による適切な堆肥施用支援システム 三重県 井上研究員
4 土壌診断等生産管理の徹底で安全でおいしい白菜栽培 茨城白菜栽培組合
5 農園内耕畜連携による土づくりによるメロン・トマト栽培 茨城県 新堀農園

農水省の松尾課長は、「環境保全型農業・有機農業」、「地球環境問題への貢献」、
「生産資材(肥料)の確保等、生産面での不安要因への対応」の3点をキーワードに
今年度以降の施策などを解説したうえで、

「今後は、全国一律の手法ではなく、地域ごとの土づくり、環境対策に舵を切り、
それを農水省が支援していく体制になる」などと述べた。

畜産農家の自信と誇りがボロボロに

2010 年 5 月 31 日

Filed under: — djito @ 10:45 PM セミナー報告

酪農学園大学が企画した緊急シンポジウム「口蹄疫」で、実家が宮崎県の和牛肥育農家で獣医師を目指している綿屋健太さん(獣医学科2年生)は、地元の生の声を伝えたいとして参加して、涙をこらえながら以下のようにコメントした。

「口蹄疫により、どれだけ農家が苦しんでいるか、仲間の農家から直接聞いた話をさせていただきます。畜産農家の多くは設備投資などをしています。子牛を競りに出したり、肥育牛を出荷した際の収入を借入金の返済に充て、その残りが農家の収入になります。しかし口蹄疫の影響によって5月の競りは中止となり、価格も下がったままで、かなりひどい経営状況となっています。そのため、家畜共済保険に加入していない都城市のある農家は獣医師への診療代を支払うことができず、来月まで待ってほしいとお願いしたと言っていました。川南町で直接被害に遭った30歳代の農家は、自分の牧場の牛がいなくなり、以前の状態に立て直すことはむずかしいと判断し、他県に移って他の職を探すと言っていました」

「直接的な被害以外にも、さまざまな形で被害を受けています。ある農家は、人が集まり感染が広がることを恐れ、祖父の葬式の規模を小さいものとしました。都城市の20歳代の農家は、今のままでは将来が不安だから婚約を取り止めました。僕らと同世代の農家が本当に苦しんでいます」

「農家は、365日どんなに辛くても、儲からなくても、休まず家畜と向き合っています。なぜ、そういうことができるかというと、自分たちがやっている仕事に誇りと自信を持っているからです。宮崎県に関しては、2007年に全国和牛能力共進会で日本一という評価が与えられて、人たちが作った牛に本当に誇りを持って、どんなに辛くても、儲からなくてもやってこられました。それが今、ボロボロに崩れています。何にすがったら良いのかわからない状況なのです。でも、みなさんが、この口蹄疫、ひいては日本の畜産や酪農業について真剣に考えていけば、状況は必ず良くなると信じています」

酪農学園大学が緊急シンポジウム「口蹄疫」を開催

Filed under: — djito @ 10:43 PM セミナー報告

酪農学園大学(北海道江別市/谷山弘行学長)は5月31日、緊急シンポジウム「口蹄疫」を開催した。
口蹄疫とはどんな病気なのか、どのように対処すべきなのかなど、正しい知識を持ってもらうために、学生および一般市民向けに緊急企画したもので、4名の専門家の講演およびパネルディスカッションが行われた。

桐澤力雄教授(同大学獣医学部)は「口蹄疫とは」と題して、口蹄疫ウイルスの特徴、感染した牛や豚の症状などを紹介し、口蹄疫が最も恐れられている理由として、伝播が極めて早いこと、家畜としての生産性が低下すること、畜産物の輸出ができなくなること、新生牛・豚ではときに高い死亡率を示すことなどを解説した。

永幡肇教授(同大学獣医学部)は「口蹄疫と家畜衛生」と題し、口蹄疫の発生分布、感染と防疫、農場・地域・国の課題などを紹介し、農場段階の防疫として、病原体を入れない・広げない・持ち出さないための対策、バイオセキュリティの重要性などを解説した。

西英機主幹(北海道農政部)は「宮崎での口蹄疫発生の現状と北海道の取組」と題し、宮崎県での発生状況、対策の内容、北海道から派遣した職員からの現場報告などを紹介し、農場段階における防疫体制の強化、道民や国内外からの来道者への協力依頼などに取り組んでいる内容を報告した。

須藤純一特任教授(同大学)は「口蹄疫の畜産経営、地域経済への影響」と題し、宮崎県畜産の概要、個別経営への影響、地域経済への影響、肉用牛生産における北海道と宮崎県の強い関係、今後の経営再建に向けてなどを紹介し、処分が遅れるほど経営ロスとなる経費がかさみ深刻となることを解説した。

パネルディスカッションでは、「10年前に口蹄疫が起こったときは、川上調査として稲ワラ・麦ワラを全国調査した。しかし今回は、川上調査が行われているという情報がない。初発の農家にどこから口蹄疫ウイルスが侵入したのかを追求すれば、もっと全国的にも対応が図れるのではないか」などの質問や意見が出た。

酪農乳業の発展の歴史を後世に伝える雪印乳業史料館

2010 年 5 月 28 日

Filed under: — djito @ 11:29 AM セミナー報告

雪印メグミルク(株)は27日、酪農乳業専門紙誌向けに「雪印乳業史料館セミナー」を開催した。
同史料館は、雪印乳業の前身である北海道製酪販売組合50周年を記念して設けられ、昭和52年にオープン。来場者数は去年までに延べ336万人を数えている。
雪印乳業と日本ミルクコミュニティの経営統合を機に、今年3月、館内の展示をリニューアルして報道関係者向け内覧会を開催したが、酪農乳業専門紙誌からの「より詳しく知りたい」との要望を受け、このたびの開催に至った。

壇辻雅博副本部長(雪印乳業・北海道本部)は挨拶で、「史料館の使命は、酪農乳業の発展の歴史を後世に正しく継承し、来場者に酪農乳業への理解を深めてもらうことにある。それは当社クループの目指す消費者重視と酪農生産への貢献につながるもの」と語った。

館内には北海道酪農乳業の黎明期から同社グループの誕生まで、歴史を物語る貴重な資料や写真、製造機械・器具の実物などが展示されている。

※写真
詳細にわたり、わかりやすく解説してくれた宿野部幸孝館長(雪印乳業史料館)

雪印乳業史料館
 札幌市東区苗穂町6-1-1
 TEL 011-704-2329(電話受付9:00-17:00)
 見学は予約制。土・日・祝祭日は休み

農乳協が「牛乳乳製品の新規需要開拓の調査」を発表

2010 年 4 月 27 日

Filed under: — admin @ 9:39 PM セミナー報告

社団法人全国農協乳業協会は4月27日、「牛乳・乳製品の新規需要開拓のための調査・分析・試行」の最終報告書(概要版)を発表した。これは株式会社日本総合研究所に委託し、まとめたもの。

報告に先立ち、「成熟化社会の「食」の新規需要創造」と題し、同研究所の大澤信一主任研究員が講演。「日本国内の消費構造は少子高齢化の進行とともに、完全な成熟化のステージに入っている。この趨勢は、今後ますます明確な形で消費市場に現れてくる」としたうえで、今後は新しい価値を提案できる商品・サービスの開発が重要であり、1)農業生産、流通・加工、商品提案のバリューチェーンでの市場開拓、2)さまざまなシーンの中での新しい価値提案、の2つがあるとした。

「新規需要開拓のための調査・分析・試行」では同研究所の4人の研究員らが、「牛乳の効能の見直しやプラスアルファとなる付加価値が訴求できれば消費意欲につながる可能性は十分にある」という基本姿勢で、調査・分析を報告した。

これらの調査結果から、
1:よりセグメントされたターゲットや市場における潜在市場が存在しており、そこにアプローチできていない。適切な、きめ細かいアプローチにより新たな需要を創出することが可能。
2:牛乳乳製品自体のもつ栄養などの優位性が高いため、代替商品メーカーほどプロモーションに注力してこなかったことは否めず、市場が「本物」を求めている以上、業界としてそれに応えることが必要などとし、
「危機感をもって取り組むことが重要」と示唆した。

酪農版戸別所得補償制度については、もっと基本的な議論が必要

2010 年 3 月 25 日

Filed under: — djito @ 10:24 AM セミナー報告

(社)北海道酪農協会(会長/金川幹司氏)は24日、札幌市内で「酪農の新たな所得政策の考え方」と題したシンポジウムを開催し、全道から酪農家および関係者が参加した。
倉重泰彦氏(農水省・畜産部・牛乳乳製品課長)と前田浩史氏(中央酪農会議・事務局長)が講師として招かれ、活発な意見交換も行われた。 (more…)

加工原料乳限度数量が185万tになった背景とは

Filed under: — djito @ 10:22 AM セミナー報告

(社)北海道酪農協会(会長/金川幹司氏)は24日、札幌市内で「酪農の新たな所得政策の考え方」と題したシンポジウムを開催し、全道から酪農家および関係者が参加した。
倉重泰彦氏(農水省・畜産部・牛乳乳製品課長)と前田浩史氏(中央酪農会議・事務局長)が講師として招かれ、活発な意見交換も行われた。 (more…)

「サシバエ対策」と「農場防疫対策」でセミナー:千葉県で

2010 年 3 月 16 日

Filed under: — admin @ 10:01 PM セミナー報告

安全安心な国産牛乳をつくる会(千葉県)は3月16日、
千葉市内でセミナーを開いた。
講師は「酪農現場における防疫対策と実践例」(バイエル薬品・岩田隆氏)と
「ハエ・サシバエの対策」(ノバルティアニマルヘルス・井上喜之氏)。

防疫対策では「洗浄が一番大切な作業である」としたうえで、
哺乳子牛のハッチでの消毒手順などを例示後、まとめとして
「水洗の徹底」、「スペクトルの広い消毒薬の使用」、「消毒後の乾燥」、「害虫駆除」
などが解説された。

サシバエ対策では、その生態などを解説したうえで、
幼虫対策では薬剤が最も効果的だが、同時に堆肥(発生源)のコントロールが
重要と述べられた。また、サシバエは飛翔能力が高いので、
地域での対策が効果的と提案された。

会場からは、防疫対策による「費用対効果」がよく分からない、
そこが酪農における防疫対策が広がりにくい理由の一つではないか、
などの発言が出た。

自給飼料活用型TMRセンターの情報交換会、開かれる

2010 年 3 月 2 日

Filed under: — admin @ 5:50 PM セミナー報告

3月2日(火)、東京都内で、
「平成21年度自給飼料活用型TMRセンターに関する情報交換会」が開かれ、
関係者ら約320名が集まった(共催:畜産草地研究所、全酪連)。

これは、飼料畑・水田などを利用した自給飼料と食品製造副産物を利用した
TMRセンターの更なる展開に向け、現状を把握し情報を共有しようというもの。

基調講演で、吉田宮雄氏(長野県畜産試験場長)は、
わが国での約30年にわたるTMR飼養技術の研究を振り返るとともに、
「今後、発酵TMRへの期待は大きく、低コストで効果の高い技術の開発を望む」
とし、「粗飼料源として稲WCSなど、柔軟性と粗剛性を合わせ持つ自給飼料を
組み込むことで、TMR攪拌条件の違いによる混合調整の難しさを少なくできる。
技術者は、TMRが農家の飼養管理にうまくとけこんでいるかどうか、
観察できる力を養うことが必要」などと述べた。

行政サイドからは、相田剛伸課長補佐(農水省草地整備推進室)が、
平成15年に34だったTMRセンターが同20年には85まで伸びたことを踏まえ、
「改正食品リサイクル法は、再生利用で飼料化を優先することを明確化している。
平成22年度は、地域資源活用型エコフィード増産推進事業などを整備し、
食品残渣や飼料作物などを原料とするTMR生産を支援する」などと述べた。

その後、事例紹介では全国から4事例が発表された。
情報交換会は、3日(水)に技術紹介と、パネルディスカッションが行われる。

飼料イネの研究と普及に関する情報交換会、開かれる

2010 年 3 月 1 日

Filed under: — admin @ 5:41 PM セミナー報告

3月1日(月)、東京都内で、「飼料イネの研究と普及に関する情報交換会」が
開かれ、全国から関係者ら約330名が参加した(共催:畜草研、全国農業改良普及支援協会)。

これは、水田を機軸とした耕畜連携により飼料生産を推進し、
イネWCSだけでなく、国産穀類としての飼料米の利用拡大と、その副産物である
稲ワラの流通など、新たな技術体系の確立をめざしたもの。

基調講演で、小林信一教授(日本大学生物資源科学部)は、
水田における飼料作の重要性を示唆し、
「土地利用型畜産の発展のためには、今後、水田の飼料作利用が重要。
飼料用米、飼料用イネWCS利用などの飼料作物を、食用米と同じく
恒久的に農地政策に位置づけることが肝心。
さらに、優良な農地(約460万ha)を面として維持すること。
長期的な視点で、地域ぐるみの飼料作と家畜飼育の関係を構築すること」
などと述べた。

行政からの報告では、小林博幸室長(農水省草地整備推進室)が、
飼料用米(平成21年度見込み:4129ha、飼料用イネWCS(同1万306ha)の
取り組みなどを例示し、イネWCSの産地の取り組みを強化する施策など
について説明した。

技術報告では、イネソフトグレインサイレージ・圧ペンモミの調製給与技術
(福島県)、飼料イネ・飼料ムギの二毛作体系(畜草研)、
飼料イネロールベールサイレージの広域流通技術(同)が紹介された。

同情報交換会は2日(火)にも開かれ、全国4ヵ所から関連事例が紹介される。

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