酪農学園大学が緊急シンポジウム「口蹄疫」を開催

2010 年 5 月 31 日

Filed under: — djito @ 10:43 PM セミナー報告

酪農学園大学(北海道江別市/谷山弘行学長)は5月31日、緊急シンポジウム「口蹄疫」を開催した。
口蹄疫とはどんな病気なのか、どのように対処すべきなのかなど、正しい知識を持ってもらうために、学生および一般市民向けに緊急企画したもので、4名の専門家の講演およびパネルディスカッションが行われた。

桐澤力雄教授(同大学獣医学部)は「口蹄疫とは」と題して、口蹄疫ウイルスの特徴、感染した牛や豚の症状などを紹介し、口蹄疫が最も恐れられている理由として、伝播が極めて早いこと、家畜としての生産性が低下すること、畜産物の輸出ができなくなること、新生牛・豚ではときに高い死亡率を示すことなどを解説した。

永幡肇教授(同大学獣医学部)は「口蹄疫と家畜衛生」と題し、口蹄疫の発生分布、感染と防疫、農場・地域・国の課題などを紹介し、農場段階の防疫として、病原体を入れない・広げない・持ち出さないための対策、バイオセキュリティの重要性などを解説した。

西英機主幹(北海道農政部)は「宮崎での口蹄疫発生の現状と北海道の取組」と題し、宮崎県での発生状況、対策の内容、北海道から派遣した職員からの現場報告などを紹介し、農場段階における防疫体制の強化、道民や国内外からの来道者への協力依頼などに取り組んでいる内容を報告した。

須藤純一特任教授(同大学)は「口蹄疫の畜産経営、地域経済への影響」と題し、宮崎県畜産の概要、個別経営への影響、地域経済への影響、肉用牛生産における北海道と宮崎県の強い関係、今後の経営再建に向けてなどを紹介し、処分が遅れるほど経営ロスとなる経費がかさみ深刻となることを解説した。

パネルディスカッションでは、「10年前に口蹄疫が起こったときは、川上調査として稲ワラ・麦ワラを全国調査した。しかし今回は、川上調査が行われているという情報がない。初発の農家にどこから口蹄疫ウイルスが侵入したのかを追求すれば、もっと全国的にも対応が図れるのではないか」などの質問や意見が出た。

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