上田敏光氏・瀧澤義一氏・木村博文氏に宇都宮賞

2019 年 3 月 2 日

Filed under: — djito @ 8:48 AM ニュース

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既報(DJニュース1月11日)のとおり、宇都宮仙太郎翁顕彰会は3月1日、札幌市内で「第51回 宇都宮賞表彰式」を開催した。
宇都宮賞は、北海道酪農の父である宇都宮仙太郎翁の業績を顕彰し、かつ継承されることを念願し、翁の命日にあたる3月1日に功績者を表彰するもの。
受賞者は表彰後、それぞれ挨拶し感謝を述べた。

【酪農経営の部】上田敏光氏(美瑛町)
経営改善に悩んでいた時期に、地域の仲間から多くの指導をいただいたことから今の自分があり、上田牧場がある。後継者の育成を目的に地域の仲間と設立した「上川酪農を考える会」では、10名の後継者を海外視察研修に派遣できた。これからも後継者には広く高い視野に立ってもらい、酪農仲間を増やし、上川酪農の原動力になり、そして北海道酪農に貢献してほしいと期待している。

【酪農指導の部】瀧澤義一氏(鶴居村)
このたびの受賞理由のなかに、北海道の生乳をしっかりと販売してきたことがある。ホクレン販売事業の評価をいただき、職員の代表として私が賞をいただいたと受け止めている。酪農経営安定化に理解をいただいている乳業各社にもお礼を述べたい。酪農仲間に貢献をしたいという思いで、団体職に就いてきた。今後も今まで以上に貢献していきたい。

【乳牛改良の部】木村博文氏(大樹町)
朝晩の搾乳が楽しくなる牛群にしたいという思いで改良に取り組んできた。先輩から「共進会は心を豊かにする。ミルクは経済を豊かにする」と教えられ実践してきた。同じ方向を向いてきてくれた家族、家族経営をバックアップしてくれている地元農協に感謝している。全道の牛飼い仲間により、乳牛改良に対するモチベーションを長期間維持してこられたことに感謝している。

薬剤のみで繁殖は改善できない 北酪検「検定員中央研修会」その3

2019 年 3 月 1 日

Filed under: — djito @ 4:31 PM セミナー報告

s-繁殖研修会1

北海道酪農検定検査協会は3月1日、札幌市で「繁殖性等向上対策研修会」を開催した。
全道の検定農家、検定組合や関係者など180名が参加した。

最初に、きくち酪農コンサルティング(株)の菊地実氏が、「酪農経営と周産期の管理について、様々な観点から、とくに低カルとケトーシスについて」と題して講演した。
まず酪農産業の方向性(規模拡大、労働効率など)に触れ、「規模拡大のブレーキ要因として、当面は低カルとケトーシス、中期的には粗飼料の品質と量、初産牛の体格があげられる」と述べ、低カルの予防法を管理・施設・栄養などの観点から解説した。
低カル気味の牛は目や背の毛並みに違和感が表れたり、反芻が弱かったり、脇が空いていたり、背を舐めたりする、ケトーシス気味の牛は搾乳後に疲れてすぐ寝るなど、牛を観て判断する方法なども紹介。「病気になる前に見つけなければならない。そのカギは牛にある」と語った。

s-繁殖研修会2

次の講演は、NOSAIオホーツク 佐呂間家畜診療所 ・獣医師の大脇茂雄氏が、「発情発見からの繁殖改善」と題し、経営対策農場が繁殖改善で立ち直った事例を紹介した。
妊娠率を上げるため発情発見率の改善に着手し、自然発情の発見への誘導、カウコンフォート(牛が満足し、日常が平常化し、微弱な発情も見つけやすくなる)の改善を、繁殖検診ごとによく話し合い、実行してもらった。
その結果、発情発見率は34%から60%に、受胎率は29%から34%に、妊娠率は11%から18%に、リニアスコアは4.2から2.4に、管理乳量は24.2kgから31.1kgに向上した。「これは施設や設備の投資なし。畜主の成長(意識と行動)によって改善されたもの」と述べた。
また、「薬剤のみでは繁殖は改善できない。獣医師の仕事は薬剤投与ではなく、繁殖を改善させること」と語り、自然発情の発見による授精の重要性を強調した。

強保ち合いで95.1万円 ホクレン家畜市場 2月の初妊牛相場

Filed under: — djito @ 6:16 AM 業界情報

2019-02-28

ホクレン家畜市場・初妊牛相場の2月集計(速報)がホクレン酪農部家畜販売課より発表された。

2月については、都府県を中心に春分娩資源の手当需要が活発化し、価格は95万1000円(前月比6000円高・前年比5万8000円安)と強保ち合いで推移した。

3月については、引き続き春産み需要の継続が見込まれることから、相場は保ち合いで推移することが予想される。

分娩移行期の管理は「一連の流れで」  北酪検「検定員中央研修会」その3

2019 年 2 月 28 日

Filed under: — djito @ 5:16 PM セミナー報告

中央研修会3

研修プログラムの三番目は、カナダ アルバータ大学 乳牛栄養学・教授の大場真人氏が、「分娩移行期の管理」と題して講演。北米の酪農(アメリカ vs. カナダ)を紹介した後、乾乳牛の飼養管理、フレッシュ牛の栄養管理について、最新知見を紹介した。

分娩移行期の管理では、何を目的にするのか(代謝機能、ルーメン環境、その中間など)によって推奨方法が変わるという理由をデータを紹介して、以下の3種類の管理方法の違いを解説した。

●乾乳期に低エネルギー/分娩後に高エネルギー
●乾乳期に低エネルギー/クロースアップに中エネルギー/分娩後に高エネルギー
●乾乳期に低エネルギー/分娩後フレッシュに中エネルギー/その後に高エネルギー

酪農現場では、自分に合ったやり方を模索する必要があるが、いずれにしても、分娩移行期の管理は「一連の流れ」としてとらえ、急な変化は避けるべきであると述べた。

またBHB(ケトン体)データの使い方として、その農場の分娩移行期の管理で、どの部分に問題があるのかがわかることを紹介した。

そして分娩移行期の栄養管理のゴール(目標)を、以下のように要約した。
1 代謝障害のリスクを低める。
2 乾物摂取量、乳量を順調に高める。
3 ピーク乳量を最大にする。
4 ボディコンディション・スコア低下を最小限にする。
5 繁殖成績を高める。

この「牛群管理ソフト」は重宝  北酪検「検定員中央研修会」その2

Filed under: — djito @ 5:13 PM セミナー報告

中央研修会2

研修プログラムの二番目は、釧路市阿寒で乳牛600頭以上(搾乳牛約330頭)を飼養する(有)阿寒グリーンヒルファーム 取締役・鈴木悠也氏が、「私の酪農経営」と題して講演した。
同農場は年間生乳生産量約3400t、平均乳量1万kg超、平均体細胞数は6.4万。

省力化や作業の効率化の取り組みとして、大型作業機の導入、自動給飼器(自走式)の導入、発情発見機の導入、ストール清掃機(自走式)導入を紹介した。

さらに、「頭数が多すぎて牛群を把握できない。治療経過や授精記録をわかりやすく記録・閲覧したい」ことから、各種の「牛群/繁殖管理ソフト」を比較した結果、「牛群検定WebシステムDL」を選んだ理由を解説。
同システムの活用法として、「今日すべきことが一覧表示される」「個体の経済性が一目で判断でき、淘汰予定牛を簡単に追跡できる」「異常牛が早期発見できる」「モバイル版で情報を従業員と手軽に共有できる」などを紹介した。

また、SNS(Facebook、twitter)発信で、酪農をもっと知ってもらい、「働いてみたい」と思われる会社作りに活用しているなどの取り組みも紹介した。

人も牛も命がけで子どもを産む 北酪検「検定員中央研修会」その1

Filed under: — djito @ 5:09 PM セミナー報告

中央研修会1

北海道酪農検定検査協会は2月28日、札幌市で「検定員中央研修会」を開催した。
全道の検定農家、検定組合や関係者など380名が参加した。

研修プログラムの最初は、十勝管内士幌町の育成預託専門農場、遠藤牧場(350頭規模)の遠藤裕子さんが、「女性目線から見る育成牛の管理」と題して講演した。
「近年、酪農場の規模拡大が進んでいるがゆえに、子牛が健康で健やかに育つ飼養環境を今一度考えていただきたい」と前置きし、遠藤牧場の施設と飼養管理などを紹介した。

施設では、明るさ、換気、安楽性・安全性、作業性(350頭を一人で管理できる)について紹介。
飼養管理では、飼槽を空にしない、空腹にさせない、人が変わると牛も変わることなどを紹介した。

また同じ月齢でも、驚くほどサイズが違う子牛が預託に来ることから、小さい牛では治療を繰り返し、手間をかけてようやく受胎した事例を、かかった費用などを交えて紹介した。
そして、「人も牛も命がけで子どもを産む。将来を担う命を大切にしてほしい」と語った。

優良登録委員/地区連登録担当者13名を表彰 北海道ホル農協

2019 年 2 月 27 日

Filed under: — djito @ 7:16 PM ニュース

優良登録員表彰式

北海道ホルスタイン農協および日本ホルスタイン登録協会北海道支局は2月27日、札幌市内で「第44回 優良登録委員表彰式/第8回地区連合会登録担当者表彰式」を開催した。
同農協および同協会支局は、北海道内で長年にわたり登録業務に精励し、地域の酪農振興、乳牛改良、登録事業の普及推進と指導に貢献している登録委員を毎年表彰している。

今年度の表彰者は以下の13名(敬称略)。
〈石狩〉山本康朗(NOSAIみなみ)
〈空知〉塩越直矢(NOSAI道央)
〈上川〉阿部直幸(上川生産連)
〈十勝〉長井勉(JA十勝池田町)
〈釧路〉小山内克尚(JA摩周湖)
〈釧路〉小澤裕司(NOSAI道東)
〈根室〉高橋剛(JA道東あさひ)
〈根室〉伊藤智幸(JA道東あさひ)
〈網走〉曽我部義幸(JAつべつ)
〈網走〉島田英雄(HSブリーディングサポート)
〈留萌〉武良雅史(NOSAI道央)
〈留萌〉池上誠(NOSAI道央)
〈地区連〉小竹秀樹(日高生産連)

搾乳ロボット入口前は“ハッピー・スペース”に 北酪検「検定情報活用研修会」

Filed under: — djito @ 6:49 PM セミナー報告

s-酪検協会講習会1

北海道酪農検定検査協会は2月27日、札幌市で「検定情報活用研修会」を開催した。全道の検定組合員や関係者など270名が参加した。
今年のテーマは「ロボット搾乳牛舎と牛群管理」。講師はカナダで牛群管理や牛舎設計、労働効率などのコンサルティングを手掛けるジャック・ローデンバーグ氏(DairyLogix社)。

第1部の「乳牛が快適で、管理しやすい搾乳牛舎のデザイン」では、牛舎設計の優先順序は、1 カウコンフォート、2 労働効率、3 コスト/価値、4 規模拡大可能性であることを前置きし、搾乳ロボット牛舎設計の知見を解説した。

フリー・トラフィック成功のカギは「搾乳ロボット入口前を楽しい広場(ハッピー・スペース)にすること」であり、搾乳ロボット入口前を「一方通行で逃げ場のないペン(コミットメント・ペン)」にすることは好ましくなく、ガイド・トラフィックでもできるだけコミットメント・ペンでの時間を短くして、行動の選択ができるようにすることが望ましいと述べた。

また、乳牛にとって魅力的な搾乳ストールであること、搾乳ロボット内では牛体に何も当たらないように調整すること、フェッチ・カウ(搾乳ロボットに誘導しなければない乳牛)のためのフェッチ・ペンの設計、初産牛を搾乳ロボットに馴致させる方法、産褥牛や足痛牛のためのペンの設計、蹄浴槽(フットバス)の場所、事務所の設計(搾乳ロボット前と飼槽がよく見える)などを詳しく解説した。

なお、北海道乳検は現在(1月末時点)、ロボット搾乳の検定農場は217戸(搾乳ロボット457台)で、増加を続けている。

オルテック ONE アイディア・フォーラム開催

2019 年 2 月 22 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 2:49 PM セミナー開催案内,セミナー開催告知,ニュース

オルテック・ジャパン合同会社は4月に都内でシンポジウムを開催する。

今回はオルテックインク社の新社長・CEOであるマーク・ライオンズ博士に加え、同社のバイス・プレジデントであり、反芻動物向け栄養ソリューションマネジメントグループの責任者であるマシュー・スミス氏が来日する。また東京大学大学院農学生命科学研究科の杉浦勝明教授と株式会社フリーデン相談役および一般財団法人日本GAP協会理事の澤田一彦氏が招かれ講演が行なわれる。

【開催概要】
日時:4月23日 14:00~18:00 
(その後懇親会を開催、20時ごろ終了の予定)

13:00 開場・受付開始
14:00 開会
14:00~14:10 オルテック・ジャパン合同会社代表、中山圭氏より挨拶
14:10~15:00 オルテックインク 社長、マーク・ライオンズ氏による講演
15:00~15:45 株式会社フリーデン相談役 / 一般財団法人日本GAP協会理事澤田一彦氏による講演
 休憩
16:00~16:45 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 杉浦勝明氏による講演
16:45~17:30 オルテックインク バイス・プレジデント、 マシュー・スミス氏による講演
17:30~17:50 閉会の挨拶
18:00~20:00 懇親会

会場: 品川インターシティホール (〒108-0075東京都港区港南2丁目15-2) 
会費:懇親会まで無料

【申し込み方法】
申し込み書(近く配布開始)のFAXまたは電話 にて、オルテック ONE アイディア・フォーラム参加希望と明記のうえ、下記を伝える。
※連絡事項=社名・団体名、氏名、参加人数、参加者名、連絡先(電話またはメールアドレス)、懇親会参加の有無

【問い合わせ】
オルテック・ジャパン合同会社 担当:森田
TEL 092-718-2288 FAX 092-781-6355
e-mail:mmorita@alltech.com

下痢にSAYONARA(さよなら) 全酪連セミナー

2019 年 2 月 21 日

Filed under: — djito @ 6:29 PM セミナー報告

全酪連セミナー

全国酪農業協同組合連合会(全酪連)は2月18~21日、全国3会場(東京、熊本、札幌)で「全酪連セミナー2019」を開催した。
また22日は札幌市で技術者を対象とした「全酪連ワークショップ2019」を開催する。

今回のセミナーのテーマは「哺育管理と腸の健康~下痢に“SAYOARA”~」で、講師はカナダ・ゲルフ大学 動物バイオサイエンス学部 助教授のマイク・スティール博士。同博士は、近年の哺育子牛の栄養研究において目覚ましい研究成果を発表して注目されている新進気鋭の研究者。

「北米では、子牛の斃死率10%と50%以上の罹患率は下痢と関係していて、子牛の19%が移行免疫不全、24%が生後1カ月以内に下痢をしている、という統計がある。実際は、下痢はそれよりも多いと思われる」と同博士は前置きし、以下の5章に分けて、哺乳子牛の健康管理における最新知見を解説した。

第1章:初乳の給与
第2章:哺乳
第3章:離乳
第4章:下痢
第5章:自動哺乳

第1章では以下を要約とした。
●子牛の生物学と栄養学には、われわれがまだ理解していない、いくつかの基本的な概念がある。
●受動免疫において、カテーテルと哺乳ボトル給与の差はない。
●初乳の給与が生後6時間以降では、受動免疫と腸の細菌に影響を及ぼし得る。
●初乳のパスチャライズが正しく管理されれば、子牛の腸の健康度を改善するかもしれない。
●初乳から常乳への急激な移行は腸の発達を阻害し得る。
●生後早期における高水準哺乳は可能である。

※詳報はDairy Japan 4月号で

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