分娩移行期の管理は「一連の流れで」  北酪検「検定員中央研修会」その3

2019 年 2 月 28 日

Filed under: — djito @ 5:16 PM セミナー報告

中央研修会3

研修プログラムの三番目は、カナダ アルバータ大学 乳牛栄養学・教授の大場真人氏が、「分娩移行期の管理」と題して講演。北米の酪農(アメリカ vs. カナダ)を紹介した後、乾乳牛の飼養管理、フレッシュ牛の栄養管理について、最新知見を紹介した。

分娩移行期の管理では、何を目的にするのか(代謝機能、ルーメン環境、その中間など)によって推奨方法が変わるという理由をデータを紹介して、以下の3種類の管理方法の違いを解説した。

●乾乳期に低エネルギー/分娩後に高エネルギー
●乾乳期に低エネルギー/クロースアップに中エネルギー/分娩後に高エネルギー
●乾乳期に低エネルギー/分娩後フレッシュに中エネルギー/その後に高エネルギー

酪農現場では、自分に合ったやり方を模索する必要があるが、いずれにしても、分娩移行期の管理は「一連の流れ」としてとらえ、急な変化は避けるべきであると述べた。

またBHB(ケトン体)データの使い方として、その農場の分娩移行期の管理で、どの部分に問題があるのかがわかることを紹介した。

そして分娩移行期の栄養管理のゴール(目標)を、以下のように要約した。
1 代謝障害のリスクを低める。
2 乾物摂取量、乳量を順調に高める。
3 ピーク乳量を最大にする。
4 ボディコンディション・スコア低下を最小限にする。
5 繁殖成績を高める。

この「牛群管理ソフト」は重宝  北酪検「検定員中央研修会」その2

Filed under: — djito @ 5:13 PM セミナー報告

中央研修会2

研修プログラムの二番目は、釧路市阿寒で乳牛600頭以上(搾乳牛約330頭)を飼養する(有)阿寒グリーンヒルファーム 取締役・鈴木悠也氏が、「私の酪農経営」と題して講演した。
同農場は年間生乳生産量約3400t、平均乳量1万kg超、平均体細胞数は6.4万。

省力化や作業の効率化の取り組みとして、大型作業機の導入、自動給飼器(自走式)の導入、発情発見機の導入、ストール清掃機(自走式)導入を紹介した。

さらに、「頭数が多すぎて牛群を把握できない。治療経過や授精記録をわかりやすく記録・閲覧したい」ことから、各種の「牛群/繁殖管理ソフト」を比較した結果、「牛群検定WebシステムDL」を選んだ理由を解説。
同システムの活用法として、「今日すべきことが一覧表示される」「個体の経済性が一目で判断でき、淘汰予定牛を簡単に追跡できる」「異常牛が早期発見できる」「モバイル版で情報を従業員と手軽に共有できる」などを紹介した。

また、SNS(Facebook、twitter)発信で、酪農をもっと知ってもらい、「働いてみたい」と思われる会社作りに活用しているなどの取り組みも紹介した。

人も牛も命がけで子どもを産む 北酪検「検定員中央研修会」その1

Filed under: — djito @ 5:09 PM セミナー報告

中央研修会1

北海道酪農検定検査協会は2月28日、札幌市で「検定員中央研修会」を開催した。
全道の検定農家、検定組合や関係者など380名が参加した。

研修プログラムの最初は、十勝管内士幌町の育成預託専門農場、遠藤牧場(350頭規模)の遠藤裕子さんが、「女性目線から見る育成牛の管理」と題して講演した。
「近年、酪農場の規模拡大が進んでいるがゆえに、子牛が健康で健やかに育つ飼養環境を今一度考えていただきたい」と前置きし、遠藤牧場の施設と飼養管理などを紹介した。

施設では、明るさ、換気、安楽性・安全性、作業性(350頭を一人で管理できる)について紹介。
飼養管理では、飼槽を空にしない、空腹にさせない、人が変わると牛も変わることなどを紹介した。

また同じ月齢でも、驚くほどサイズが違う子牛が預託に来ることから、小さい牛では治療を繰り返し、手間をかけてようやく受胎した事例を、かかった費用などを交えて紹介した。
そして、「人も牛も命がけで子どもを産む。将来を担う命を大切にしてほしい」と語った。

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