アミノ酸バランスを整え乳量・乳成分アップを 味の素アニマル・ニュートリション

2015 年 6 月 18 日

Filed under: — djito @ 10:36 PM セミナー報告

味の素セミナー

味の素アニマル・ニュートリション・グループ(株)は6月16・18日、東京と帯広で「乳牛アミノ酸栄養セミナー」を開催した。
酪農家はじめ、乳牛栄誉・飼料の研究者、コンサルタント、企業など約200名が参加した。
3名の講師により、生産性を最適化するための最新乳牛栄養学に基づいたアミノ酸飼料設計が解説され、また同社が4月に新発売した乳牛用リジン製剤「AjiPro-L」の紹介、同商品の現場での試験結果が報告された。

●飼料効率が最適化
RP フィード・コンポーネント社(米国)のパトリック・フレンチ博士は「乳牛におけるアミノ酸栄養の充足」と題して、アミノ酸バランスを整えることの必要性、リジンとメチオニンの要求量とそれ基づいた飼料設計などを解説した。
アミノ酸バランスを整えることは飼料・栄養の利用効率の最適化につながることを説明。
また、乾乳後期に代謝可能リジンの給与量を増加すると、分娩後の乳量、乳蛋白質、乳脂肪の増加が期待できること、その費用対効果は満足できることのデータを紹介した。

●確かな性能の製品を
味の素ハートランド(株)の新里出獣医師は「AjiPro-L~データが証明する確かな性能~」と題して、同商品の性能と給与効果を紹介した。
確かな性能のバイパスリジン製品を泌乳初期からピーク期に給与すると乳生産改善効果が安定して得られること、乳蛋白質率の改善にはメチオニンも重要であるが乳量の増加効果はリジンによりもたらされることなどを解説。
そして、アミノ酸の不足は成績の低下を招き、過剰はムダなコストになるゆえに、確かな性能の製品を使うことが鍵となること、また製品は単価ではなく、代謝可能リジン1g当たりのコストに注視すべきであると語った。

●現場で有効性を検証
(株)ゆうべつ牛群管理サービスの安富一郎獣医師は「臨床現場でのバイパスリジン製剤AjiPro-Lの有効性の検討」と題し、北海道の牧場で、同商品を泌乳牛群の飼料に加える(60g・120g添加)、置き換える(加熱大豆300gを同商品40gに)、乾乳後期群に給与する、という三つの試験結果を紹介した。
搾乳牛群においては、同商品を添加したら乳量が増加したこと、置き換えによって飼料コストが1日1頭当たり7円低下したこと、アミノ酸バランスを整えたMPでは多少の減量を行なっても泌乳量は変わらないことなどを紹介。
乾乳後期群においては、分娩後3週目頃から泌乳立ち上がりの改善効果が出ていることなどを紹介した。

※より詳しくはDairy Japan 8月号にて

香取市WCS生産者・コントラクター・利用者交流会

2015 年 5 月 19 日

Filed under: — AsanoHiroko @ 2:03 PM セミナー報告

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 香取市耕畜連携農業推進協議会は5月19日、香取市山田公民館ホールでWCS生産者・コントラクター・利用者交流会を開催した。
 同協議会は千葉県香取市の畜産農家、耕種農家が共同で立ち上げたもので、今回の交流会には地域の酪農家、耕種農家をはじめ関係者ら100名以上が参加した。

 雪印メグミルク(株)社外取締役・日和佐信子氏を招いて講演が行われ、同氏は「消費者が国内農業に期待すること〜飼料用稲WCSの果たす役割〜」と題し、「消費者が抱える食品への数々の不安材料に対して生産者、メーカーがどう対応していくか、健康志向の傾向が強くなっているが、生産者、メーカーは様々な消費者の期待に応える必要性、食糧自給強化の重要性、生産現場と消費者間の正確な情報伝達などから課題である」とした。
 その他に同協議会より香取市内の稲WCSの生産状況や需給状況、作付状況などの報告がなされた。

 午後からは会場を移し、地域の農産物をPR・直売している風土村にて、稲WCSを給与した牛肉の会食なども行わた。

牛が嫌なものをなくすことに投資せよ GEAオリオンが酪農文化セミナー

2015 年 5 月 15 日

Filed under: — djito @ 6:18 PM セミナー報告

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GEAオリオンファームテクノロジーズ(株)は、福岡県、埼玉県、北海道で「酪農文化セミナー」を開催。
本日(5月15日)、帯広会場で行なわたセミナーを取材した。

講師はオーストリアで蹄と繁殖を専門とするコンサルタント獣医師のマイケル・フレック氏で、乳牛の三大疾病である「跛行、繁殖障害、乳房炎の予防」をテーマとした。
同氏は、「乳牛は歩行・採食・横臥がセットであり、それらを“乳牛の生産システム”としてトータル管理しなければならない」と前置きし、「その生産システムをうまく回すためには、乳牛が嫌がる部分を改善するための投資をすべきである」と語った。

●観察ができなければ酪農はうまくいかない
乳牛の生産システムを良好に維持するためには、「乳牛の観察が第一であり、それができないと酪農はうまくいかない」と同氏は断言。
そして、年間の跛行発生率を10%以内とするためには、乳牛の後肢を常に観察し、両肢が平行を崩し始めたら「助けてくれ」というサインであり、その都度、早いうちに削蹄すべきであることを強調した。
さらに、分娩前6~8週間のうちに全頭(未経産も)を削蹄すること、通路の衝撃をなくすことなどを推奨した。
また、体細胞数10万以下を維持するためには、乾乳2週間前および分娩後にPLテスターで乳房炎感染チェックすること、分娩前6~8週間のうちに全頭を毛刈り、尾毛刈り、乳房毛刈りすることを推奨した。

※詳報はDairy Japan 7月号で。

搾乳時間を短縮すると出荷乳量が増える コーンズ・エージーが乳房炎セミナー

2015 年 5 月 12 日

Filed under: — djito @ 5:09 PM セミナー報告

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(株)コーンズ・エージーフューチャーカウジャパン(株)およびアルファテクノロジー社(米国)と共催で、北海道と栃木県で「新技術を利用した乳房炎管理セミナー」を開催中。12日の帯広会場を取材した。
講師は「ザ・乳房ドクター」として著名なアンドリュー・ジョンソン博士(米国/獣医師)。
同博士は「どの牧場も、その大小にかかわらず、体細胞数20万未満のバルク乳を生産することができる。要は、取り組みの姿勢だ」と前置きし、乳房炎の三大原因(乳房炎トライアングル)である牛・搾乳機器・人における最新知見と事例を紹介した。

●まず肢の汚れを見よ!
「牛に耳を傾けよ! 牛達は常に真実を語っている」というのが同博士の哲学の一つ。
そこで、まず牛の肢に注目して、牛の肢が汚れていたら清潔環境に問題があり、乳房炎感染リスクが高いと認識することが重要だとした。
糞が落ちているストール数を5%以下にすべきであると目標を示した。
ポリパイプ製のブリスケットロケーター(ボード)は牛にとって心地良く、前後・高さの位置調節が可能であり、お勧めであるとのこと。

●搾乳時間は短いほど良い
搾乳時間は短いほど良く、搾乳時間を早めるための要因として、適切な乳頭刺激、過搾乳しないことをあげた。
ちなみに同博士の顧客牧場では、乳流量1.1kg/分になったら1秒後に自動離脱するように設定している。
そうすることで、日乳量41kgの牛群での1回当たりの搾乳時間は3.8?4.3分になったとのこと。
残乳は4分房合わせて500ml未満であれば問題ない。

●ユニット装着は90~180秒後に
最新の研究よって大きく変更された搾乳手順として、前搾りからユニット装着までのラグタイムは90~180秒であることを詳しく解説。
そうすることで搾乳時間が早まり、出荷乳量が増えることを示した。
さらに、搾乳手順の一貫性を向上させ、優れた成果をもたらす新アイテムとして、乳頭洗浄システムの「ティートスクラバー」を紹介。
プレディッピングや乾燥の必要がなく、作業負担を軽減し、好結果をもたらすことなどを特長としてあげた。
また、フューチャーカウの「ティートスクラバー」と競合品の違いを指摘し、あらゆる点でフューチャーカウシステムに軍配が上がるとした。

※詳報はDairy Japan 7月号で。

飼料用米生産・利用拡大シンポジウム

2015 年 4 月 15 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 4:30 PM セミナー報告,ニュース

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4月15〜16日、農水省において飼料用米生産・利用拡大シンポジウムが開催された。680名以上にもなる多数の関係者が参加した。
本シンポジウムは、米の需給バランス調整の策として飼料用としての利用拡大を高めていく飼料用米の可能性を追求し、課題を解決していくためのものであり、JA全農・谷清司営農販売企画部長は、講演の冒頭で「主食以外の利用拡大で平成27年60万tの飼料用米生産の受け入れに向け取り組んでいるなかで、畜産における利用拡大を目指しインフラ調整にも取り組んでいく」とした。

「オルテック アジアパシフィック レクチャーツアー2015」開催

2015 年 3 月 6 日

Filed under: — admin @ 3:27 PM セミナー報告,ニュース

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オルテック社は3月6日、都内で「アジアパシフィック レクチャーツアー2015」を開催した。
午前の部では、オルテック社の堀米永一氏、倉内亜弥子氏が「無機、有機ミネラルの基本的知識」と題した講演を行ない、ミネラルの機能や重要性に関して解説した。
その後、養鶏、養豚の2グループに分けられ、それぞれの分野の技術マネージャーであるアズィズ・サクラニー氏とアート・フリオ氏が、現場において、ミネラル給与が家畜にもたらす作用や、その生産物に与える有用性などを報告した。
午後の部では、同社の日本・韓国・フィリピンのリージョナルマネージャーであるセルジュ・コーネイリ氏の開会の挨拶で始まり、理化学研究所の有田誠博士が「炎症と健康:オメガ3脂肪酸の抗炎症性作用」について講演した。DHAなどのオメガ3脂肪酸が体内で活性代謝物に変えられ、抗炎症性作用をもたらす効果に関する研究結果が報告された。

米国大豆の今:アメリカ大豆協会

2014 年 11 月 19 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 3:00 PM セミナー報告,ニュース

11月17~18日都内で、アメリカ大豆協会による「第30回米国大豆バイヤーズ・アウトルック・コンファレンス」が開催された。18日は、油・飼料業界関係者らを対象に、「米国大豆生産者からの約束」デイビット・ポッペンス氏(アメリカ大豆協会ディレクター)、「大豆と健康」マーク・メッシーナ氏(ロマリンダ大学公衆衛生学部栄養学科非常勤准教授、ニュートリションマスターズ社社長)、「大豆ミールの品質における熱処理の影響とその評価方法」橋澤義憲氏(アメリカ大豆輸出協会 AUマーケティングマネージャー)、「世界の油糧種子、油、油かす類のマーケット概要」トーマス・ミルケ氏(Oil World社専務理事)、「2014年度産米国大豆の品質報告(一般大豆)」セス・ネイブ氏(ミネソタ大学作物学植物遺伝学部准教授)の五つの報告があった。

報告によると、2014年の米国産大豆生産量は1億700万tで、2013年より17%増加した。品質としては、2014年産の大豆は蛋白質が低めだが、油分は平均的であるとした。世界での大豆生産量は今後さらに上昇、そのほかの油糧種子については縮小するとのこと。また大豆ミールにおいては中国が最大の消費国となっており、今後も中国での大豆ミールの消費は伸びるであろうとした。

低脂肪で使いやすくなったDDGS

2014 年 11 月 13 日

Filed under: — djito @ 6:55 AM セミナー報告

穀物協会セミナー

アメリカ穀物協会(浜本哲郎代表)は11月12日、北海道帯広市で「米国での酪農の飼養管理とDDGSの利用に関するセミナー」を開催した(十勝農協連共催)。飼料・栄養の技術者、関係機関や企業など約50名が参加した。

最初に、アメリカ穀物協会の米持千里氏が、「トウモロコシDDGSの飼料原料としての利用」と題して、トウモロコシDDGSの利用状況、製造工程、栄養成分などについて講演した。
従来のDDGSは粗脂肪含量が10%以上だったが、最近は約7%が主流になり、ユーザーからは「使いやすくなった」という声が多いことなどを報告した。

次に、米国サウスダコタ州立大学・酪農科学科のアルバロ・ガルシア教授が、「乳牛用飼料としてのDDGS」と題して、DDGSの飼料特性を解説した。
DDGSは、エネルギー、ルーメン内非分解性蛋白質、ミネラルの良い供給源であること、アミノ酸バランスとしてリジン/メチオニン比を3に調整する必要があること、NDFは30~40%であること、リノール酸を主体とする不飽和脂肪酸の割合が高いこと、近年は粗脂肪含量が低くなったことなどを解説した。

続いて、北海道/畜産・飼料調査所、御影庵主宰の阿部亮博士が、「北海道のTMRセンターとDDGS」と題して、DDGSを活用していくうえでのポイントを解説した。
北海道十勝の粗飼料にDDGSを20%添加給与した場合を示し、低脂肪DDGSであれば、乾物中の粗脂肪含量は3%程度で、ルーメン微生物の活性や増殖を阻害することが懸念されるレベルにはならないとした。
ただし、アメリカの試験のほとんどが、アルファルファとトウモロコシサイレージの粗飼料構造を基盤としていることから、北海道十勝の自給飼料構成で実際に飼養試験を行ない、その効果を検証する必要があると提言した。

チーズ生産者の集まり:チーズ情報交換会

2014 年 10 月 31 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 12:00 PM セミナー報告,ニュース

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中央酪農会議(以下、中酪)は、10月30日都内で、「チーズ情報交換会」を開催した。チーズ情報交換会は生乳生産者牛乳乳製品需要拡大事業の一環として、ナチュラルチーズの生産者を対象としたもので、国産ナチュラルチーズの生産振興を図ることをもって国内酪農の発展に資するものとしている。

本情報交換会では、フランスより来日したチーズ製造責任者のイブ・マンソン氏より「安定した品質でチーズ製造・販売を行うために」と題した講演が行なわれた。

また、国内各地域での取り組みの報告として、(一財)蔵王酪農センターの宮沢秀夫さん(宮城県)、(有)那須高原今牧場チーズ工房の高橋雄幸さん(栃木県)、手作りチーズ工房知久牧場の知久久利子さん(千葉県)、玉名牧場チーズ工房の矢野希実さん(熊本県)、(農)新得共働学舎の宮嶋望氏さん(北海道)、以上5名からそれぞれの取り組みが紹介された。

乳房炎の発生要因を探る、日本乳房炎研究会

2014 年 10 月 14 日

Filed under: — admin @ 5:00 PM セミナー報告,ニュース

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日本乳房炎研究会(事務局:動物衛生研究所北海道支所 林 智人)は10月10日、東京で「第19回学術集会」を開催し、獣医師や大学、団体、企業、業界関係者など、全国より約150名が参加した。

開会に先立ち、同会の麻生久会長は、「昨年にも負けないくらいの盛況な会になることを期待している。乳房炎は酪農において損失が大きく、早期発見早期治療が呼びかけられているが、有効な診断法や治療法が確立されていない現状である。本会の果たすべき役割ならびに本会への期待へ応える活発な議論をしてもらいたい」と挨拶した。

午前の部では、一般口演が行なわれ、14名の研究者がそれぞれの研究成果を発表した。昨年、優秀な発表に対して贈られる、「日本乳房炎研究会・高居百合子学術賞」を設立し、今回も同様に表彰が行なわれた。
今回の受賞者は、磯部直樹氏(広島大学大学院生物圏科学研究科)の「周産期乳牛における乳房炎が繁殖機能に及ぼす影響」だった。

午後の部では、「乳房炎の発生要因を探る―栄養と乳房炎―」とテーマにシンポジウムが行なわれ、櫛引史郎氏(畜産草地研究所)の「生産病と栄養」、中村正斗氏(北海道農業研究センター)の「乾乳期間短縮による泌乳平準化とストレス軽減効果」の2題が講演された。

その後、総合討論が行なわれ、講演をもとに、今後の乳房炎研究の発展性についての議論が活発に行なわれた。その際、酪農家の乳房炎に対する心構えやその経済性について、櫛引氏は「乳房炎は経済損失がとても大きい。その他にも蹄病や不受胎牛の扱いなどを酪農家に提案していく。そして、酪農家にもこれらについて自力で考えてもらいたい」とした。また、中村氏は「栄養管理を含め、飼養管理は重要事項。その基本を再認識してもらい、再度徹底する必要がある」と話した。

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