菊地氏・安宅氏・小椋氏に宇都宮賞

2013 年 3 月 1 日

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宇都宮仙太郎翁顕彰会(北良治理事長)は3月1日、札幌市内で「第45回 宇都宮賞表彰式」を開催した。宇都宮賞は、北海道酪農の父である宇都宮仙太郎翁の業績を顕彰し、かつ継承されることを念願し、翁の命日にあたる3月1日に功績者を表彰するもの。今回の表彰者およびその功績は以下のとおり。

●酪農経営の部―菊地利憲氏(浦幌町)
同氏は昭和41年に就農以来、乳検データ等を活用した個体能力の把握や徹底した飼養管理に取り組み、平成3年には町内初の牛群1万kgを達成するほか、翌年には町内2頭目のエクセレント牛を誕生させるなど、地域酪農のリーダーとして生産性の高い経営を展開してきた。しかし、地区内の後継者不足や農地の余剰、労働過重等の問題が深刻化し、また将来的に個人経営での営農は困難と考え、志を同じくする近隣酪農家4戸とともに共同経営による効率的で生産性の高い経営を目指すこととし、平成15年に町内初の法人ランドハートを設立し、その代表取締役として重責を担っている。設立後も、良質な粗飼料生産に心がけ、土壌の物理性・化学性の改善を図り、収量の増加を図っている。また、法人設立前から手がけてきた乳牛改良にも力を入れ、法人設立後、すでに4頭のエクセレント牛を輩出している。こうした取り組みにより、現在の年間出荷乳量は6000tを超え、町全体の16%を占めるなど、地域酪農振興に果たしている役割は大きい。

●酪農指導の部―安宅一夫氏(北広島市)
同氏は昭和46年に帯広畜産大学大学院を修了後、酪農学園大学に奉職し、41年間にわたり、高品質牛乳の生産および高泌乳牛の飼養管理技術の研究、普及活動に取り組んだ。奉職以来、一貫してサイレージの研究をメインテーマとして、北海道における酪農は自給粗飼料生産が基礎であり、牧草の調製利用は、サイレージ調製に有利性があるとして、良質サイレージ調製技術を現場に定着させた功績は絶大である。平成16年には「サイレージ調製に関する研究」の成果に対して、日本草地学会賞を受賞し、その後も継続的な研究により、あらゆる機会を通じて、生産者や現場指導者、酪農関連業界などに広く普及、啓発し、良質粗飼料の確保による酪農経営の安定に大きな役割を果たした。また、酪農学園大学学長や短期大学部学長を歴任するなかで、次代の酪農後継者の育成に強い意欲と指導性を発揮し、多くの経営者を輩出するほか、アジア酪農交流会の会長として、酪農の国際化に貢献するなど、北海道酪農の発展に大きく貢献した。

●酪農改良の部―小椋義則氏(枝幸町)
同氏は昭和53年に名寄農業高校を卒業後、父の経営する酪農に従事したが、昭和57年に公社リース事業を利用して独立することを決意し、現在地に入植した。入植時より、初妊牛30頭を導入し経営をスタートし、農業改良普及員や試験研究機関の指導・助言を忠実に実践した結果、昭和63年には入植時に導入した初妊牛が宗谷管内最高乳量を記録するなど、管内でもトップクラスの成績を得た。乳牛改良面では、独立当初から地域の核となる血液を導入し、さらには改良速度を速める未経産牛由来の受精卵移植を積極的に実践するほか、海外受精卵の導入事業に積極的に取り組んだ。こうした取り組みにより、乳牛改良の柱となる牛群が確保され、平成19年度に2頭をはじめとして、平成23年度までの4年間に合計7頭の検定済種雄牛を造成し、日本の遺伝的能力のトップレベルとなる集団をリードするファミリーを築き上げた。また、現在までに2万kgを超えるスーパーカウを3頭輩出するなど、乳牛改良に対する成果は特筆すべきものがある。

酪農現場での取り組みと成果を報告 北酪検「検定員中央研修会」

Filed under: — admin @ 9:06 AM ニュース

北海道酪農検定検査協会と乳用牛群検定全国協議会は28日、札幌市内で「平成24年度 検定員中央研修会」を開催し、全道から検定員をはじめ、検定組合および検定事業関係者など約350名が参加した。
以下の4名が講演した。

根室農業改良普及センターの吉田忠主査は「乳検データを活用して! FAC活動・肢蹄改善活動」と題し、家畜人工授精師に乳牛の健康知識を習得してもらい、牛体をモニターして乳成分と照らし合わせることで問題の原因究明、改善につなげた取り組みについて報告した。また、肢蹄の健康な牛は全体の半分しかいないこと、肢蹄の悪い牛は選び喰いしていること、改善に向けてのチェック・ポイントなどを報告した。

JA道東あさひ・上春別支所の検定農家である橋本昭雄氏は「我が家の酪農経営と乳検」と題し、「牛が喜んで食べるエサを作る」ための取り組みとして、コーンサイレージを活用した粗飼料体系、輪作体系による草地更新、雑草防除の徹底による植生維持、サイレージ発酵品質の向上などを報告した。また、「牛が食べやすい環境を作る」ための取り組みとして、牛をよく見て対話すること、乾物摂取量を向上させて無理なく乳を搾ること、カウコンフォートを向上させてストレスを低減することなどを報告した。そして、それらの取り組みの結果が、乳検成績の数字となって表れると語った。

農水省家畜改良推進課長補佐の外山高士氏は「乳用牛改良をめぐる情勢について」と題し、最近の乳用牛改良をめぐる情勢、後代検定事業をめぐる情勢、平成25年度予算の概要を報告した。経産牛1頭当たりの年間乳量は、年約75kg(H元-H23)で伸び続けているが、その中身が変化し、以前は、飼養環境の改善による効果が大きかったが、近年は、ほとんどが乳用牛の遺伝的な改良によるものであることなどを解説した。

トータルハードマネージメントサービス・代表の黒崎尚敏獣医師は「臨床獣医師の立場から…/哺育、繁殖、周産期における5つのキーワード」と題し、哺育育成の5つのC(Colostrum:初乳、Calories:カロリー、Cleanliness:清潔、Comfort:安楽性、Consistency:一貫性)、繁殖パフォーマンス向上5つのポイント(乾乳および周産期の管理、発情発見、初回授精、再授精、繁殖管理の道具立て)、周産期危険因子ビッグ5(飼槽スペース、フリーストール表面、フリーストールサイズ、分娩房への移動、観察方法)を解説した。

道内の優秀検定員11名を表彰 乳検全国協議会

2013 年 2 月 28 日

Filed under: — djito @ 1:14 PM ニュース

乳用牛群検定全国協議会は28日、札幌市内で「平成24度 優秀検定員表彰式」を行なった。
今年度の表彰者は、全国で28名のうち、北海道では以下の11名(敬称略、カッコ内は所属)。

山崎明夫(そらち南地区乳検組合)、吉村真範(ふらの乳検組合)、上居哲也(日高町乳検組合)、渋田亨(大樹町農協)、三木加代子(芽室町乳検組合)、千葉美智子(標茶町乳検組合)、由利泰房(道東あさひ農協)、飯島章雄(計根別乳検組合)、桶屋頼子(網走市乳検組合)、朝比奈道雄(斜里町乳検組合)、遠藤貴広(北宗谷農協)

昨年の全道平均乳量は前年比+127kgで9026kg、1万1000kg以上牧場は202戸

Filed under: — djito @ 11:16 AM ニュース

北海道酪農検定検査協会は28日、昨年1-12月の年間検定成績(経産牛1頭当たり成績、速報)を発表した。
検定戸数は4671戸で、平均実頭数は74.2頭。

全道平均の乳量は9026kgで、前年(8899kg)より127kg(1.4%)増えた。
同平均の乳脂肪率は4.10%、乳蛋白率は3.31%、無脂固形分率は8.80%、体細胞数は22万、リニアスコアは2.7だった。
同平均の分娩間隔は431日で、前年(433日)より2日縮んだ。

乳量階層別戸数比率は、1万1000kg以上は202戸(前年比+4戸)、1万kg代は638戸(同比+38戸)、9000kg代は1184戸(同比+78戸)、8000kg代は1271戸(同比-12戸)、7000kg代は888戸(同比-81戸)、6000kg代は354戸(同比-108戸)、6000kg未満は134戸(同比-45戸)。

検定組合別の乳量トップは富良野市で1万1125kg(検定農家数16戸)、次いで妹背牛町が1万569kg(同1戸)、中札内村が1万505kg(同24戸)、北広島市が1万463kg(2戸)、東山が1万161kg(4戸)、豊頃町が1万84kg(43戸)、斜里町が1万66kg(14戸)、清里町が1万9kg(14戸)。

OPU・IVF・ETによる子牛の効率的な生産など話題提供:NIAS/NILGS合同シンポ

2013 年 2 月 26 日

Filed under: — admin @ 7:32 PM セミナー報告,ニュース

農研機構畜産草地研究所(NILGS)と農業生物資源研究所(NIAS)は26日、茨城県内で「動物生殖技術研究の現状と今後の展望」シンポジウムを開き、全国から関係者ら約130名が参加した。
これは、家畜生殖細胞・幹細胞技術の可能性を探り、家畜生殖技術研究の新しい価値観を作っていこうとするもの。

3つの基調講演と、セッション1で先端技術の研究成果報告5題、セッション2で実用化に近づいた研究成果4題が提供され、質疑応答と総合討論が行なわれた。

酪農分野(牛)では、家畜改良センターの今井敬氏(生産技術専門役)が、経腟採卵(OPU)と対外受精(IVF)を利用した胚生産技術(OPU・IVF)の現状、さらには受胎率が高く、産子の生時体重も通常の産子と差がない胚選別培養法の研究成果などを報告した。
これらの実用化により、子牛の生産性が向上し、家畜改良につながるとともに現場でのIVF利用の促進が期待される、とした。(文責:関東支局)

CNCPS最新版、飼料設計の新しいものさしに

2013 年 2 月 15 日

Filed under: — admin @ 8:06 PM セミナー報告,ニュース

(株)丹波屋(本社/札幌市)は2月15日、帯広で「酪農セミナー2013」を初めて開催した。飼料設計に携わる普及員やコンサルタント、酪農家など関係者ら100名超が、北海道をはじめ全国から参加した。

本セミナーでは、最新のCNCPSであるver.6.1を搭載した飼料計算ソフト「AMTS」を開発したトーマス・タルーキー博士(Agricultural Modeling&Training Systems, LLC:AMTS社)がCNCPS 6.1のバイオロジーやCPMとの生産評価の違いなど、進化していく乳牛の栄養理論について解説した。

「AMTS」とは上記の通り、CNCPSの最新版であるver.6.1を搭載した新しい飼料計算ソフトである。従来のものにルーメン内分解速度や通過速度などを加味した調整を加えられたもので、ソフトの予測と現場の実際との誤差が少なくなっている。

セミナーは、午前と午後の2部構成で行なわれ、午前は「進化を続けるCNCPS―乳牛の栄養計算におけるその意味合い―」と題し、従来のCNCPSとver.6.1との調整点などを踏まえて飼料計算例などを紹介した。午後は、「CNCPS 6.1バイオロジーでの栄養設計の実践」と題し、同氏が共同経営する牧場における実践例などを踏まえ、AMTSを用いた飼料設計をはじめ、いかなる方法で牧場を発展させたかを紹介した。

稲WCS、飼料米などを中心に研究成果を発表:千葉県、県農林水産会議ら

2013 年 2 月 14 日

Filed under: — admin @ 10:30 PM セミナー報告,ニュース

千葉県および千葉県農林水産会議は14日、平成24年度試験研究成果発表会(酪農・肉牛)を開いた。飼料稲WCSおよび飼料米を用いた試験報告など、成果発表4題、情報提供4題が話された。

成果発表では、泌乳牛への籾ソフトグレインサイレージ給与効果が示された。これは、破砕籾をTMR原料として給与した試験区は、配合飼料給与の対照区と、乳生産や疾病発症などに差がなく、籾ソフトグレインサイレージが有用であることを示したもの。

情報提供では、和牛子牛の育成用発酵TMR給与試験結果が報告された(関東4県および畜草研の共同研究)。粉砕玄米を含む国産粗飼料割合の高い飼料を育成期、肥育期に給与したもので、これら自給飼料主体の発酵TMR給与で高い発育を得ることが可能と示された。

また、酪農家製アイスクリーム、ナチュラルチーズの消費動向を分析した情報提供が行われた。さらに県草地協会主催で、水田農家が参加した稲発酵粗飼料生産利用研修会が併せて開かれた。(文責:関東支局)

西川賞に栗栖津名樹さん(北海道)、梶原隆幹さん(福岡県)

Filed under: — maetomo @ 9:33 PM ニュース

西川賞を受賞した梶原隆幹さん(左)と栗栖津名樹さん(右)。中央は日本家畜人工授精師協会・平尾和義会長

 

一般社団法人 日本家畜人工授精師協会は2月14日、都内で第41回家畜人工授精優良発表全国大会を開催した。大会テーマは「牛の繁殖成績を向上させよう!」で、全国の家畜授精師・獣医師ら10名が研究成果を発表した。最優秀賞である西川賞には、北海道・道東あさひ農協の栗栖津名樹さん、福岡県・ふくおか県酪農協の梶原隆幹さんが選ばれた。 (more…)

供給目標数量は694万t(101.3%)

2013 年 2 月 12 日

Filed under: — maetomo @ 5:39 PM ニュース

中央酪農会議は2月8日、理事会を開き、平成25年度生乳計画生産対策の概要について決定した。中央酪農会議は今年度、生乳生産基盤の安定・強化を図るため3年間は減産しない中期計画生産を策定しており、25年度は2年目となる。 (more…)

牛乳消費の構造変化調査を公表:日本酪農乳業協会(J・milk)

2013 年 2 月 7 日

Filed under: — admin @ 8:45 AM ニュース

日本乳業協会は6日、牛乳消費に関するコフォート調査結果を公表した。

それによると、
「わが国の年齢別牛乳消費量とその経年変化では、 1980 年代に若年齢層と高年齢層の牛乳消費量が逆転し、最近ではその傾向がさらに強まっており、また、加齢による牛乳消費量の変化が戦前・戦中生まれと戦後生まれでは全く異なっていること」が明らかとなった。

さらに「牛乳の消費行動に影響を与える3つの社会的効果(年齢効果、時代効果、世代効果)が定量的に推計され、その中で、2003から07 年の間の牛乳消費量の変化に、年齢効果、世代効果、さらには経済的要因では説明できない何等かの重要な環境変化があったことが明らかとなった」としている。

そして今後の10 年間で、一人当たりの平均家庭内牛乳消費量は約9%減少すると予測した。

詳しくは、同協会ホームページで;Jミルク http://www.j-milk.jp

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