快適性に配慮した飼養管理で、技術セミナー:茨城県で開催

2010 年 2 月 18 日

Filed under: — admin @ 8:28 PM セミナー報告

2月18日(木)、茨城県内で、平成21年度畜産技術セミナーが開かれた。
これは、筑西市畜産振興協議会、畜産技術協会、家畜改良センター茨城牧場の
共催によるもの。テーマは「アニマルウェルフェア(家畜の快適性)」。

セミナーでは、農水省関東農政局畜産課の蛯名広志氏が、
畜産の現況について解説し、
「コントラクターやTMRセンターの育成、エコフィードの活用など、
限られた予算の中でポイントを絞って国産飼料に立脚した畜産の確立を目指し、
そのためには現場の声を反映させていきたい」などと述べた。

東北大学大学院の佐藤衆介教授は、
「アニマルウェルフェアはこれからの畜産の正しい方向であり、
各人が家畜の快適性に配慮した飼養管理を実行することが基本。
動物愛護とは違い、主体は動物であり、生きている間の幸せを科学的に
配慮することが大切」などと解説した。

なお、アニマルウェルフェアに対応した乳用牛の飼養管理指針は
今年度中に最終案が出るスケジュールとなっている。

感染症を考える――「北海道しゃくなげ会」開催

Filed under: — djito @ 6:00 PM セミナー報告

日本全薬工業(株)が事務局を務める第42回北海道しゃくなげ会(会長/菅野一敏氏)が2月18日、札幌市内で開催された。
北海道しゃくなげ会は、今年から「感染症を考える」をテーマとした複数年にわたる研修を予定している。

その第1回目に当たる今回は、犬丸茂樹氏(動物衛生研究所)による特別講演「新しい感染症を防除技術の開発をめざして」が、田島誉士氏(北海道大学大学院獣医学研究科)による基調講演「生体防御と病原体」が行われた。
また、現場事例の講演として、西川晃豊氏(釧路地区NOSAI)による「病態生理から考える乳牛の甚急性大腸菌性乳房炎の治療方針」などが行われた。

総合司会を務めた田島誉士氏は、「感染する側、される側は、いわば、いたちごっこの関係にある。したがって、日進月歩で対応策が考えられており、最新の知見を理解しておくことは大切である」と述べた。

1人1時間当たり何リットル搾っていますか?

2010 年 2 月 6 日

Filed under: — djito @ 11:18 AM セミナー報告

石狩乳検協会地区別研修会が2月5日、石狩管内北広島市で開催された。
今回は、菊地実氏(きくち酪農コンサルティング)が「発見・発掘/石狩の酪農力」と題して講演した。

講演のテーマである「発見・発掘」とは、「経営規模や経営形態にかかわらず、各農場には大きな可能性がある。それを発見・発掘しよう」というメッセージが込められているもの。

菊地氏は、「これからの酪農経営は、農場の効率の善し悪しが経営を左右する。規模の大小にかかわらず、1人がいくら生乳を搾ったか=1人で乳牛何頭を管理したか=1人1時間当たり何リットルの生乳を生産したか、という効率を分析したほうがいい」
「繋ぎ飼いの場合は1人1時間当たり60から120リットル、放し飼いの場合は80から160リットルと、それぞれ2倍の違いがあるのが現実だ。また、放し飼いでも、繋ぎ飼いよりも効率が悪い場合もたくさんある」
と、効率を考えることの必要性を解説した。

また、「ロスを少なくするために」として、以下に分けて、それぞれ詳しく解説した。
【乳のロス】
1 搾ったけれど乳房炎に入らない
2 食ったエサが乳になっていない
3 乳房の中の乳を合理的に搾っていない
【牛のロス】
1 死んでしまった
2 死んだも同然

全酪連「酪農セミナー2010」開催中

2010 年 2 月 3 日

Filed under: — djito @ 6:53 PM セミナー報告

全国酪農業協同組合連合会(全酪連)の「酪農セミナー2010」が2月2日、札幌市で開催された。
その後、仙台市、熊本市、名古屋市、岡山市、東京で開催される。

今回は「母牛と子牛の移行期‐乳牛の生涯における3つの移行期‐」と題して、米国イリノイ大学のジェームズ・ドラックレイ教授が講演。

乳牛の生涯における3つの重大な移行期とは、
○誕生(胎児から子牛へ)
○離乳(反芻前状態から反芻動物へ)
○周産期/移行期(妊娠から泌乳へ)

胎児、出生、子牛、乾乳、分娩を、乳牛の生涯にとって重大な時期としてとらえ、しかも母牛・子牛双方への影響を考慮した、最新の栄養・飼養管理を解説している。

酪農教育ファーム「平成21年度認証研修会」開催される

2010 年 1 月 22 日

Filed under: — admin @ 2:11 PM セミナー報告,業界情報

(社)中央酪農会議による平成21年度酪農教育ファーム「認証研修会」が1月21・22日に開催され、全国の認証牧場約60名が参加した。

21日は、オリエンテーションで「酪農教育ファーム認証牧場における安全・衛生の基準」として千葉県農業共済組合連合会・家畜部・保険課課長・長谷川隆氏、同・南部家畜診療所係長・溝本明子氏が、体験活動をするうえで注意すべき安全・衛生のポイントなどを、事例を交えながら紹介。
また、酪農教育ファーム認証実践事例として、青森県のABITANIYAジャージーファーム・安原栄蔵氏と五所川原市立一野坪小学校・鳥谷部宮子教諭の体験事例が紹介された。

22日は、「子どもたちとのコミュニケーションを学ぶ」と題して、ファシリテーター青木将幸氏(青木ファシリテーション事務所代表)を招き、酪農体験学習における子供たちとのコミュニケーション手法について学ぶために、アイスブレイクなどの参加型手法や、体験学習のビデオ映像を見ながら改善点を一緒に探り出すワークショップなどが行われた。

酪農は開放系なので、意識の高揚が大切:バイオセキュリティセミナーで

2009 年 12 月 22 日

Filed under: — admin @ 8:47 PM セミナー報告

12月20日(日)、国産安全安心な生乳をつくる会(千葉県)主催の
バイオセキュリティ・セミナーが千葉市内で行われた。

参加者は35名で、講師は養豚業界のコンサルタント獣医師:呉克昌氏。
午前11時から午後3時まで講義し、その後、酪農場に移動し、バーンミーティング。

バイオセキュリティは「生物学的安全保障」。
家畜の健康、生産物の衛生的品質管理、
人の健康などを総合的に管理する一連の衛生管理手法。
乳牛の疾病予防のため、牛舎への病原体の侵入と持ち出しを防ぎ、
さらに牛舎内各施設間での伝播の可能性を低くする一方で、
生産物としての乳中への病原体の汚染を防ぐこと(新版「酪農用語解説」より)。

講師は、バーンミーティング後、
1)気持のよい農場と感心した。飼料タンクの移動と
農場入口の衛生状態向上でバイオセキュリティのレベルは向上するだろう。
2)そのうえで、今後の重要ポイントとして;
1.地域、グループとしてのバイオセキュリティの仕組み作りが重要なこと。
2.子牛分娩、預託育成牧場、そして牧場に戻るというCow Flowは好ましくなく
改善が必要なこと。もし、そのフローが必要なら、しっかりとしたグループ作りと
バイオセキュリティの仕組み作りが重要。
3.上記の牛の移動に使用する車両のバイオセキュリティが非常に重要。

などとし、酪農は開放系な管理なので、業界全体の意識高揚が大切とコメントした。
(写真は、本文と関係ありません)

酪農教育で子どもたちが変わった!

2009 年 12 月 7 日

Filed under: — djito @ 6:00 AM セミナー報告

「牧場が持つ多様な教育力を、子どもたちの豊かな学びに活かす」を主題とし、小・中学校教員を対象とした「教育セミナー」が12月5日に札幌市で開催された。
主催は中央酪農会議と日本教育新聞社、後援は農水省、文科省、農畜産振興機構、道教委、全国小学校長会。

開会で中央酪農会議・専務理事の門谷廣茂氏は、「酪農の教育的効果は多々なるものがある。認証を受けて活動をしている酪農教育ファームは現在、全国に300軒弱あり、年間約70万人が体験学習をしている」と話した。

基調講演では、広島大学大学院教授の角屋重樹氏が、「牧場が持つ多様な教育力を、子どもたちの豊かな学びに活かす」と題して、牧場の教育的効果、日本型の酪農教育方法のあり方などについて述べた。

実践発表では、札幌市立北光小学校教諭の高橋明子氏が、酪農教育を実際に取り入れた様子、それにより子どもたちがどのように変化したかなどを述べた。
また、恵庭市で酪農教育ファーム活動をしている村上牧場・村上隆彦氏が、酪農教育ファーム側の実情を本音で紹介し、前札幌市立山鼻南小学校の田山修三氏が、体験学習する側の注意点などを紹介した。

なお、高橋明子氏は、複数回にわたり牧場を訪問することで、子どもたちにとって牧場が「楽しみな場所・行きたい場所」に変わったと述べ、ある子どもの感想文を紹介した(以下)。

「私は牛が好きで、牛に感謝しています。牛乳をしぼるのに牛の命を縮めているし、肉を食べるためには牛を殺さなくちゃいけない。それはとてもつらいことです。でもだれかがそうしないと人間は生きていけません。人間が牛の命をうばうのだから、その命をすべてむだにしないことが牛への優しさだと思います。らくのうの勉強から、人間は人間だけの力で生きているのではないということに気付きました。」

酪農教育ファームのHP=http://www.dairy.co.jp/edf/

「多様さ」をまとめるコーディネーターが重要:平成21年度エコフィード全国シンポジウムで

2009 年 12 月 3 日

Filed under: — admin @ 6:35 PM セミナー報告

12月3日(木)、茨城県つくば市で、「エコフィードをきっかけに」と題して、
平成21年度エコフィード全国シンポジウムが開かれた(主催:畜草研、配合飼料供給安定機構)。
全国から340名の関係者らが集まり、現状把握と課題克服の道筋などを検討した。

基調講演で、阿部亮氏(畜産・飼料研究所、前日大教授)は、「これからのエコフィードと日本の課題」と題し、エコフィード事業の推進母体と形態は非常に多様。この多様さが畜産農家の規模や生産方式の多様さとリンクし、より多くの畜産農家がエコフィードを利用できる形がつくられつつある。目標を飼料ベストミックスにおき、輸入飼料への依存度を下げ、自給飼料と食品副産物を混合したTMRに置き換えていくなど、飼養技術の開発が必要」などと語った。

講演は、「エコフィードを利用したTMR製造利用マニュアル」(新潟大学・今井明夫客員教授)、「エコフィード利用豚肉の嗜好性と消費者イメージ」(畜草研・佐々木啓介氏)、「エコフィード給与豚肉の特性と評価技術」(宮崎大学・入江正和教授)、「発酵リキッドフィーディングの展開」(畜草研・川島知之氏)、「圃場残渣の飼料利用に向けた課題」(名古屋大学・淡路和則教授)の5題。

今井教授らは「エコフィードを上手に利活用していくには、たくさんの農家や関連業者間で、その排出元から利用農家まで顔の見える関係の構築と、そのためのコーディネーターが重要」などと述べた。

最後に、パネルディスカッション「エコフィードをきっかけに」が開かれた。パネラーは、米持千里氏(日本科学飼料協会)、増田淳子氏(ジャーナリスト)、吉田宮雄氏(長野県畜産試験場)、宇宿圭太氏(茨城県・瑞穂農場)、川上寛幸氏(関紀産業)、歌丸恵理氏(農水省生産局)。

牛乳タンパク質とカルシウムの健康効果を:日本酪農科学会が市民セミナー

2009 年 11 月 15 日

Filed under: — admin @ 7:11 PM セミナー報告

牛乳の研究者らによって構成される日本酪農科学会(会長:岐阜大学・金丸教授)
は11月14日(土)、東京都内で市民セミナー「ミルクですこやかな毎日を」
を開いた。

同学会は一昨年から、「牛乳に対する質問に答える場」および
「牛乳について正しく理解をしてもらう場」として、市民向けのセミナーを企画。
今年は全国9ヵ所で開催予定。

今回は、基調講演で、東大大学院・清水誠教授が、
「牛乳の主成分はタンパク質、脂質、糖質。中でもお勧めはタンパク質で、アミノ酸バランスが良く、身体づくりに役立つ。カルシウムの吸収性を高める特性があり、最近は免疫力を高め、生活習慣病を抑制するなどの健康増進作用が報告されている。生体調整機能などの作用が、最近、次々と見い出されている」などと報告。

次に、講話1として、東京女子医大大学院・太田博昭教授が、
「私たちの腰椎の骨密度を測定した調査研究によると、カルシウム摂取量が多いと骨量が高く、カルシウム摂取は主に乳類、とくに牛乳の摂取に影響されている。また朝食を食べる習慣が少ない人は骨量が少なく、骨量と関連するカルシウム、乳類、牛乳摂取量、朝食の欠食は、母子間できわめて類似していた。母親の食生活習慣を是正し、良い習慣を子どもに伝承する必要がある」と述べた。

さらに、講話2として、戸板女子短大・江澤郁子学長は、
「子どもの時代の食生活と運動が大切。ミルクや果実などバランス良く摂取すること。学校給食のない日のカルシウム充足量は必要量の65%しかない、というデータがある。牛乳を飲んでも肥らないし、むしろ体脂肪率が減少する。牛乳を飲むことで、メタボリックシンドロームになるリスクが軽減する」などと話した。

会場では牛乳相談会も開かれ、その後パネルディスカッションが行なわれた。

なお、同学会長の金丸義敬教授(岐阜大学)、清水誠教授(東京大学)には、
弊社増刊号「ミルクの本 その価値を伝えるために 」に、ご執筆いただいております。

家畜排泄物の新技術で平成21年度の研究会が開かれる

2009 年 11 月 13 日

Filed under: — admin @ 2:22 PM セミナー報告

11月12日(木)、13日(金)、茨城県:畜産草地研究所で、
平成21年度家畜糞尿処理利用研究会が開かれ、関係者約130名が集まった。
今年のテーマは、「既存施設の性能向上と、次世代に向けた基礎研究」。

基調講演1では、農水省畜産環境・経営安定室の金澤課長補佐は、
「1)耕種連携、2)ニーズに即した堆肥づくり、3)エネルギーとしての利用
をポイントに、家畜排泄物の利用促進に取り組む方向だ」と述べた。
基調講演2では、畜産環境整備機構の羽賀清典氏が
「アンモニア及び硝酸・亜硝酸性の窒素排出について、現在の暫定基準が
平成22年度の見直しで一律移行(100mg)する可能性もあり、窒素除去技術の
確立が喫緊の課題」と解説した。

技術紹介では、「臭気対策」「搾乳関連排水」「下水道放流の現状」、
「人工湿地等を利用した畜舎汚水処理」など、7題が研究者らから報告された。

「搾乳関連排水」について報告した猫山健司氏(酪農学園大学)は、
「排水処理のコストを左右するのは、糞尿と廃棄乳の混入の有無がポイント」
としたうえで、北海道の草地酪農地帯での3槽越流式沈殿槽による
搾乳関連排水の浄化処理法を紹介。
日々の排水管理をしっかりやることが重要で、
農場規模や経営スタイルに合った適切な排水処理法を検討することが大切
と述べた。

« 前ページへ次ページへ »

Copyright (C) 2005 Dairy Japan Corporation. All Rights Reserved.