ウイリアムマイナー 秋の集中トレーニング講座 開催

2011 年 11 月 19 日

Filed under: — djito @ 7:57 PM セミナー報告

ウイリアムマイナー農業研究所(伊藤紘一代表)主催の「秋の集中トレーニング講座」が、東京(13-16日)と帯広(18-21日)の2カ所で開催。
今回の講師は、動物行動学、栄養学、動物福祉と施設の専門家であるカナダ・ブリティッシュコロンビア大学教授のマリナ・カィザリンク氏と、獣医師であり、研究者、コンサルタント、牧場オーナーを経て、現在はオレゴン州で2万4000頭搾乳牧場のマネージャーを勤めるウォルター・グターボック氏。

帯広スクールの講義初日、カィザリンク氏は「乳牛の福祉:酪農産業が直面するキーとなる問題」「今後10年間の乳用子牛の施設と管理に関する課題と機会」の二つを講演。
動物福祉には畜産科学を適応すること、それは生産者にとって現実的なものでなければならないこと、また子牛を2頭ペアで哺育すると成育が高まることなどを解説した。

グターボック氏は「酪農マネージャーとして学んだ獣医学」「酪農場における生産性のモニタリング」の二つを講演。
より儲かる牧場になるためには基本以上のことをやらなければならないこと、コスト評価のなかではIOFC(コスト差引後所得:円/頭/日)を見ることが最も重要であることなどを解説した。

なお、ウイリアムマイナー農業研究所は今年いっぱいで閉鎖することから、毎年開催されていた集中トレーニング講座は今回が最後となる。

「北海道酪農技術セミナー2011」に全国から370名が参加

2011 年 11 月 4 日

Filed under: — djito @ 8:17 PM セミナー報告

「北海道酪農技術セミナー2011」が3・4日、北海道富良野市で開催され、酪農家をはじめ、飼料・動物薬品・飼料添加物・酪農機械・資材などを供給する企業、獣医師、農協職員、普及員など、全国から370名を超える参加者が集まった。

事務局を努めた武中慎治氏(メイプルズクレストコンサルティングサービス)は開会にあたり、「当セミナーの目的は、酪農のさまざまな分野の最新技術情報を提供し、かつ、すべての関係者が分け隔てなく話し合い、親睦を深めること」と挨拶。
また、「自分自身が北米でこのようなセミナーに数多く参加して、たくさんのことを勉強させてもらった経験があり、日本でもこうしたセミナーを開催したいと思っていた。そのことを各先生に相談したところ、全面的に協力いただき、こうして開催できた」と語った。

セミナー初日は、大場真人氏(カナダ・アルバータ大学)が「アシドーシス研究の最前線」と題して特別講演。
その後、セッション1「繁殖」(コーディネーター:鈴木保宜氏・あかばね動物クリニック)で3題の講演と総合討論、晩は懇親会が行われた。
翌日は、セッション2「栄養」(同:安富一郎氏・ゆうべつ牛群管理サービス)で2題の講演と総合討論、セッション3「哺育・育成」(同:黒崎尚敏氏・トータルハードマネージメントサービス)で2題の講演と総合討論、セッション4「疾病」(同:松井基純氏・帯広畜産大学)で3題の講演と総合討論が行われた。

参加者の酪農家は、「いろいろな分野の人たちが一堂に会しての、日本初の北米タイプのセミナーに参加して、とても勉強になった。ぜひ来年も開催してほしい」と当セミナーの継続開催を望んでいた。

「雌雄判別精液の受胎率向上」などを報告:畜産草地研究所主催の研究会で

2011 年 10 月 24 日

Filed under: — admin @ 8:42 PM セミナー報告

10月24日(月)、都内で「牛における人工授精の現状と今後の研究課題」をテーマに
研究会が開かれた(主催:畜産草地研究所)。全国から約130名が集まった。

開催挨拶で同研究所の松本光人所長は、
「人工授精は畜産で最も進んだバイオテクノロジー、イノベーションの成功例だが、
近年、初回授精受胎率は低下傾向にある。
それらを克服すべき今後の研究展開を議論したい」と述べた。

講演は、農水省畜産振興課の大藪武史氏が、乳牛における新たな改良増殖目標は、
1:10年後のイメージとして、遺伝子レベル解析で改良を進め、
2:チーズ向けのブラウンスイスや高脂肪率のジャージーなど多品種の改良の支援
3:泌乳持続性の高い、蹄や乳器の良い牛で生涯生産性を高める、
などを目標にした改良を推進させる、と解説した。

受胎率に関し、酪農学園大学の堂地修氏は北海道内の2つの地域の調査から、
頭数規模による平均初回授精受胎率の差は見られず、
繁殖における重要管理チェックシートなどの活用で、農家・技術者双方による、
各地域における酪農体系に適合した技術体制の充実が必要、と報告した。

北海道家畜人工授精師協会副会長の石塚隆司氏は、
発情兆候が明確でない牛が多くなり、適期授精が難しくなったことを踏まえ、
1:農場側は積極的早期授精を選択せざるを得ない状況にあり、
2:繁殖における農家、獣医師、授精師とのコミュニケーションが大切だ、
などと話した。

雌雄判別精液の利用では、リプロ・ETサポート(群馬県)の砂川政広氏は
カテーテルの深部注入により、経産牛でも受胎率50%超の事例を報告し、
判別精液の利用により、3年後の更新牛確保が予測できるので、
和牛や受精卵移植などの副次的生産部門を強化できる、などと報告。

関連して信州大学の濱野光市氏は、判別精液の技術を解説し、
今後の課題として、現在のフローサイトメーター法に替わり得る
判別精液の大量生産技術の開発が必要とした。

参加者からは「国の繁殖目標の柱がしっかりしないと、家畜改良ができない」
「受胎率低下の要因は、精液自体にも問題があるのではないか」などの声が出た。

同研究会は、25日(火)にも行われ、歩数計を用いた事例、機能性サプリメントを
活用した栄養管理による繁殖の向上、新規凍結法による繁殖向上技術の開発
などが報告される予定。(文責:関東支局)

飼料米粉砕はTDN換算で農濃飼料の30%代替可能を示唆:千葉県の研修会で

2011 年 7 月 29 日

Filed under: — admin @ 9:44 PM セミナー報告

7月29日、(社)千葉県農業協会は、平成23年度自給飼料推進会議を開き、
県内の肉用牛農家・酪農家らが研修を行なった。

「飼料用米の牛への給与について」と題し、畜産草地研究所の野中和久氏は、
各地の研究を紹介し、飼料用米の加工方法よるルーメン性状の変化などを解説し、
品質が最も良いのは、破砕+加水+糖蜜+乳酸菌のソフトグレインサイレージで、
泌乳中・後期牛での試験では、TDN換算で農濃飼料の30%代替可能と示唆した。
ただし、飼料米(モミ)は残留農薬の制約があり、刈り取り期には注意が必要。

また肉用牛への飼料米給与では全期間を通じて、
蒸気圧ペンおよび粉砕加工で、乾物換算で同じく濃濃飼料の30%代替可能とし、
今後の課題は、輸送、コストとの兼合い、製品のトレーサビリティ、鳥獣害対策、
などで、牛への給与には、さらなる増産が必要、と話した。

千葉県畜産総合研究センター・乳牛肉牛研究室の石崎重信室長も、
稲ソフトグレインサイレージは配合飼料の一部代替が可能とし、
育成牛への米ソフトグレインサイレージ給与、乾乳期のBCS研究の途中成果を紹介。

参加の肉用牛農家は「来週から飼料稲の刈り取りが始まるが、
放射線物質を測ってから調製しないと・・」などと話していた。

こんな手間と気苦労を、酪農・畜産農家や稲わら業者は、
いつまでしなければならないのだろうか。
(文責:DJ関東)

関東しゃくなげ会、2年ぶりに開催

2011 年 6 月 17 日

Filed under: — admin @ 7:01 PM セミナー報告

6月17日、東京・上野精養軒で「関東しゃくなげ会 第32回研修会」が開催された。
昨年は口蹄疫発生のため中止となったしゃくなげ会研修会だが、今回は「産業動物獣医療の最新情報」をテーマに3講演行われ、全国から大勢の獣医療関係者が参加した。

平 健介氏(麻布大学獣医学部 講師)は「家畜コクシジウム病の臨床実務における検査法の一例」と題し、コクシジウム病予防効果の判定のため、検査キットを用いた糞便中のオーシスト数を調べる検査法を紹介した。
また、矢光 潤氏(ちばNOSAI連 北部家畜診療所 所長)は、「豚の感染症対策?養豚密集地域におけるPCVADとPRRSV対策?」をテーマに、サーコウイルスの千葉県内における発生事例を紹介した。
ウイルスの特徴と対策に関して、百渓 英一氏((独)農業・食品産業技術総合研究機構 上席研究員)が発表した「ヨーネ病の制圧と国際情勢」では、ヨーネ病の発生状況に触れ、アメリカにおける大規模農場(500頭以上)の95%が感染農場であるという驚くべきデータを示した。さらに、ヨーネ病と、人のクローン病との関連や、外国での汚染された畜産品からの感染の可能性、また日本における輸入食品のチェック体制の甘さに警鐘を鳴らした。

効果的・経済的な乳房炎治療のために/ZENOAQ 酪農セミナー

2011 年 6 月 11 日

Filed under: — djito @ 6:37 PM セミナー報告

ZENOAQ 日本全薬工業(株)は10・11日、熊本市と北海道江別市(酪農学園大学)で、「乳房炎コントロールの新たなる段階」と題した酪農セミナーを開催した。
酪農家、獣医師、研究者、関係者、獣医学部の学生など多数が参加した。

講師は、米国ウィスコンシン大学農学部教授であり、全米乳房炎協議会(NMC)会長も務めているパメラ L. レッグ博士。
通訳は、エムズ・デーリィ・ラボ代表の三好志朗獣医師。

レッグ教授は、当セミナーの目的は「乳房炎の治療効果を向上させるための乳房炎コントロールの原則を再検討し、その方法について議論すること」とし、乳房炎原因菌の特徴と傾向、効果的な治療に必要な知識(牛の要因・原因菌間の相違・治療期間など)、農場で菌を培養する「オンファームカルチャー」の有効性などを解説した。
詳報はDairy Japan 8月号で。

写真:会場からの質問に答えるレッグ教授と通訳の三好獣医師

緊急シンポジウム「放射線物質の食品への影響」、開く

2011 年 4 月 18 日

Filed under: — admin @ 8:04 PM セミナー報告

農研機構・食品総合研究所は、18日、茨城県つくば市内で、
緊急シンポジウム:放射線物質の食品影響と今後の対応、を開いた。
参加者は約1000名。
同研究所の林所長は、同シンポジウムの趣旨を、
「食の研究は、物理学とは正反対の研究で進んできたが、
安全・安心などに対する科学的な知識が不可欠」と挨拶した。

講演では、「放射線の基礎知識を学ぶ」として、
小林康彦氏(日本原子力研究開発機構)が、
1:放射線・放射能は自然界にあり(牛乳中にも自然放射能がある)、
2:簡単に検出でき、菌ではないので感染せず、
3:安全かどうかは放射線物質の量(細胞が傷付く度合い)に拠り、
4:冷戦時代の核実験時代を私達は経験している、
5:最も深刻な影響は、社会経済的な影響や不安ストレスである
など、と解説した。

また「食品を通じた放射線の健康影響」と題し、
滝澤行雄氏(秋田大学名誉教授)は、
1:暫定基準の策定は、国際的な機関の勧告を基にしており、
2:日本はECなどに比べ、非常に厳しい規制値となっている、
3:汚染の低減方法として、活性炭とゼオライトの利用(水)や
4:土壌改良により作物への移行係数率の低下が可能で、
5:牛乳の場合、放射能の多くが脱脂乳に移り、バターへの移行は1から4%(原子力環境整備センター、1994)
6:食品安全委員会の緊急とりまとめの数字は、かなり安全側に立っている、
と解説した。

シンポジウムでは、上記の2演者の他、
堀口逸子氏(順天堂大学医学部)をコーディネーターに、
川本伸一氏(食品総合研究所)、等々力節子氏(同)が、会場からの質疑に答えた。(文責:DJ関東)

畜産衛生について考える:茨城県でセミナー開催

2011 年 2 月 25 日

Filed under: — admin @ 7:25 PM セミナー報告

2月25日、茨城県内で「平成22年度畜産技術セミナー」が開かれた。
主催は、筑西市畜産振興協議会などで、今回のテーマは「畜産衛生」。

同協議会の杉山会長が
「韓国の口蹄疫や国内の鶏インフルエンザなどで、畜産農家は不安が絶えない」
と挨拶した後、
1:畜産をめぐる情勢について」(家畜改良センター茨城牧場・分部場長)
2:家畜衛生について考える」(動物衛生研究所・津田知幸部長)
3:茨城牧場の防疫体制について(同センター・斉藤課長)、が講演した。

セミナーでは、家畜排せつ物の施設整備は今後、補助から融資に転換すること、
家畜衛生については、昨年の口蹄疫の発生を踏まえ、
国・地域・農場での「バイオセキュリティ対策の要点」が解説された。

同牧場は豚を研究している農場だが、酪農も、
1)伝染病の検査体制(衛生検査とワクチン)、
2)農場フェンスや扉の施錠、出入口の石灰帯、車両消毒、
3)公道に面する草地の虎ロープ張りや立て看板
4)踏み込み消毒槽 
5)家畜導入時の対策、などは必要と解説した。(文責:DJ関東)

コントラとTMRセンターの連携を:平成22年度全国コントラ情報連絡会義で

2011 年 2 月 24 日

Filed under: — admin @ 10:46 PM セミナー報告

2月24日、東京都内で平成22年度全国コントラクター情報連絡会議が開かれ、
関係者ら約150名が集まった(主催:日本草地畜産種子協会)。

主催者挨拶で、信國・同協会会長は、TPP問題に触れ、
反対運動に対する反論が画一的なことを懸念しているとしたうえで、
「最近のコントラは地域の実情を反映し、多様化している。将来的には、
コントラ組織が畑のデータを、農家にフィードバックすることが理想」と述べた。

会議では、オコッペフィードサービス(TMRセンター)の近藤三男氏(北海道)が、
約10年間のコントラ運営(8戸+2法人)の経過から、
北海道では粗飼料品質が乳量を左右するとし、
これからの課題として、1)機械の更新、2)その場合の資金調達、をあげた。
コントラとTMRセンターの連携では、
道内の共通課題として、財政基盤の脆弱さ、人材確保、にあると報告した。

農事組合法人「八万石」(千葉県:水田農家4戸で構成)は、
平成22年度21.4haの稲WCSの収穫・調製を受託(15戸の畜産農家に販売)。
水田農家は、米価下落や高齢化、後継者難で、WCS用圃場の面積は増加、
しかし米作農家はWCS畑にずさんな管理な人が多いのが悩み、などと述べた。

新潟県の藤田毅氏(フジタファーム)は、酪農+水田+乳製品の6次産業の中での
自給飼料へのこだわり(土地利用調整と耕畜連携)、飼料作物生産の外注化など
を報告し、畜産が地域のキーマンになる、と報告した。

錦江ファーム(鹿児島県)は、地域連携による稲WCS+TMRセンターを報告し、
「本物の日本産の和牛を作り上げるためには、耕畜連携が絶対条件」と強調した。

なお、コントラクターは平成21年度:525組織(北海道176、都府県349)、
平均受託面積は北海道933ha、都府県44haとなった。(文責:DJ関東)

「繁殖性」「長寿性」を改善しないと収益を上げることはむずかしい

2011 年 2 月 23 日

Filed under: — djito @ 8:51 PM セミナー報告

北海道アルバータ酪農科学技術交流協会は23日、酪農学園大学で海外農業技術セミナーを開催した。

講師は、カナダ・ケベック州にあるクラックホルム・ホルスタイン牧場主のデイビッド・クラック氏。
同氏は優秀なブリーダーとして知られ、またアルタ・ケベック州マネージャーとしても活躍している。

同氏は、乳牛の遺伝改良の方向性、アルタ社の種雄牛の紹介、同牧場の優良雌牛の紹介という3部構成で講演した。

乳牛の遺伝改良の方向性では、乳量や体型(乳房、肢蹄など)はめざましく改良されたが、繁殖性、牛群滞在期間は低下しており、「この二つを改善しないかぎり収益を上げることはむずかしい」と指摘。
そのためには、自分の農場に合った遺伝プログラムと目標を定め、従来の生産能力形質、機能的体型形質に加え、健康+生存形質を重視すべきであるとして、DPR(娘牛の妊娠率)、HL(牛群寿命)、PL(生産寿命)、MCE(分娩難易度)などの遺伝評価の活用について解説した。

詳報はDairy Japan 4月号で。

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