「CNCPS バージョン6.1」「AMTS」「NDS」を詳しく解説―全酪連

2013 年 5 月 21 日

Filed under: — djito @ 6:27 PM セミナー報告

20130521

全酪連は21日、前日に札幌市で開催した「酪農セミナー2013」に引き続き、
「ワークショップ2013」を開催した。

同ワークショップは3部構成で、
マイク・ヴァンアンバーグ氏(米国コーネル大学・畜産学部・准教授)が、
●「コーネル正味炭水化物・蛋白質システム(CNCPS)の最新情報とその将来」
●「子牛の初期栄養管理と長期的な生産性」を講演し、
後藤貴文氏(九州大学・大学院農学研究院・准教授)が、
●「黒毛和牛における“強化”哺育の可能性と代謝インプリンティング」を講演した。

ヴァンアンバーグ氏は、栄養評価モデルであるCNCPSの統括者であり、
バージョンが5から6、さらに6.1へと変更した理由や、変更項目などを詳しく解説した。
また、そのCNCPS バージョン6.1を組み入れた飼料設計ソフトである
「AMTS」「NDS」ついても紹介した。

哺育・育成の最新知見を紹介―全酪連

2013 年 5 月 20 日

Filed under: — djito @ 8:32 PM セミナー報告

20130520

全酪連は全国4カ所(熊本・神戸・福島・札幌)で「酪農セミナー2013」を開催した。
今年のテーマは「“強化”哺育パート3」で、講師はマイク・ヴァンアンバーグ博士(米国コーネル大学・畜産学部・准教授)。
同博士は平成17年に、日本で初めて“強化”哺育・育成システムを紹介し、6年前には、その続編を紹介した。
そして今回は、この6年の間で、さらに蓄積された情報を紹介した。

セミナーは以下の5章で構成され、それぞれで、最新のデータと新たな知見が紹介された。
第1章 初乳におけるルール
第2章 生物学的に正常な給与と栄養要求
第3章 乳腺発達のレビューとアップデート
第4章 子牛により多くの代用乳・全乳を給与したことによる結果
第5章 目標発育システムと初産分娩月齢

詳報はDairy Japan 7月号で。

牛乳消費の将来予測:畜産経営経済研究会シンポジウム

2013 年 4 月 27 日

Filed under: — admin @ 9:06 PM セミナー報告,ニュース,業界情報

27日、畜産経営経済研究会(会長:小林信一日本大学教授)は平成25年度シンポジウムを都内で開いた。テーマは「畜産物とくに牛乳の消費予測について」。3つの講演と、演者らをパネリストにシンポジウムが行われた。

日本大学の小泉聖一教授は消費者行動学の視点で牛肉などの食肉および生協組合員の牛乳消費を報告した。それによると、A生協での消費動向調査では、牛乳の嗜好度と消費量に相関があるとしたうえで、「同生協の場合は価格よりも利便性が消費に影響を与えていると思われる。価格だけで消費を訴求することはできず、牛乳を軸にした生協であっても消費が減少している実態は深刻だ」とした。

日本乳業協会(J-milk)専務理事の前田浩史氏は、「牛乳乳製品に関する食生活動向調査2012」を概説。コミュニケーション戦略構築の視点から、生活者の牛乳関与の実態、健康・食生活意識と牛乳関与の関係、食育意識・思い出・共感意識、生活者の情報接触、牛乳の4大機能(骨、ストレス、生活習慣病、免疫)に対する取り組み意識、の5つに整理したうえで、牛乳消費の二極化が歴然としてきたこと、牛乳乳製品や牧場に良い思い出のある人ほど牛乳の飲用・利用頻度が高いこと、生活者の意識と牛乳乳製品の価値を結びつけるルートづくりが大事などと述べた。

元専修大学教授の森宏氏は、牛乳を例にしたコウホート分析による消費の近未来予測を報告した。将来予測(理論値)では、一人当たり年間消費量(加重平均)は2010年の26.90リットルが2015年は25.48リットル、2020年は24.79リットル、2025年には23.52リットルに減少するとした。

シンポジウムでは一人当たりの牛乳消費の減少要因とその打開策が論議された。若い世代が加速度的に牛乳を飲まなくなった傾向の中でターゲット別にコミュニケーション活動を推し進めることが大事などの意見が出た。

*関連ウェブサイト:日本酪農乳業協会 http://www.j-milk.jp/

牛に優しい牛舎設計は利益を生む

2013 年 4 月 12 日

Filed under: — admin @ 9:39 PM セミナー報告

GEAオリオンファームテクノロジーズ(株)(旧・オリオンウエストファリアサージ(株))は4月8、9、10、12日の4日間にわたり、北海道の帯広市、別海町、北見市、栃木県那須塩原市の4会場で、酪農文化セミナー「牛に優しい牛舎は利益を生む」を開催した。酪農家をはじめ、学生や関係団体が参加した。

講師は、アンナ・キャトリン・ボーベルグ博士(動物行動学、ドイツ/Kraiburg社・研究開発部)。経済的な牛に優しい牛床管理とその技術の成功事例をテーマに、「カウコンフォート&牛の健康な蹄」と題した講演が行なわれた。

講演で同博士は、ドイツをはじめ、ヨーロッパからの情報を交え、動物行動学からの知見を踏まえた牛舎設計・牛床管理などを解説した。フリーストール牛舎内での牛の行動や、乳房炎・蹄病・繁殖障害の予防になる牛床管理の最新技術などを紹介した。

※詳しくは、Dairy Japan6月号「Hot Topics」をご覧ください。

ビフィズス菌BB536を含むヨーグルトの少量摂取での整腸作用

Filed under: — maetomo @ 9:47 AM セミナー報告,ニュース

森永乳業株式会社は4月11日、都内で「ビフィズス菌BB536」に関する最新研究結果の報告セミナーを開催した。

開会にあたり、・石井友則常務執行役員は挨拶で、「近年、ヨーグルトは機能性食品として支持され、平均で7%伸長している。さらに、2012年度は20%の伸びを見せた。今年に入っても成長は続いており、今後も伸びていくだろう」とヨーグルト市場の展望を話した。

セミナーでは、松生クリニック・松生恒夫院長が「現代人の腸と食生活」を講演した。講演で松生院長は、「現代人は大腸がんの罹患率が増えている。その背景には、“食生活の変化”“精神蹄ストレス”“運動不足”などによって腸内環境が悪化していることなどがある。ビフィズス菌や乳酸菌には、整腸作用があり、腸内環境を改善するため、ヨーグルトを毎日の食生活に取り入れることが、(腸内環境の改善に)重要である」と話した。

また、森永乳業・食品基盤研究所の小田巻俊孝主任研究員は、ビフィズス菌BB536を含むヨーグルトを4週間、30gもしくは、100g摂取した試験結果を発表した。両グループとも、1週間目から、便秘で悩む群では排便回数が増え、下痢で悩む群でも排便回数が低下し、両群ともに便性スコア(便の性状をはかる基準=1:硬い、4:適正、7:ゆるい)は理想スコア4に近づく改善例が見られた。さらに小田巻主因研究員は、1日に100g摂取したグループは、4週間目も効果が持続する結果を報告した。

最後に、管理栄養士・浅野まみこ氏が、ヨーグルトと合わせて栄養価をより高くして、かつおいしく食べられるレシピを紹介した。浅野氏は、「豚肉の味噌漬け わさびヨーグルトソースがけ」「サバ缶とビーンズヨーグルトサラダ・乳清入りドレッシング」「ヨーグルトと豆腐のミニドルチェ」などを紹介した。

放射性物質汚染と食の安全:東大・食の安全研究センターがシンポジウム

2013 年 3 月 16 日

Filed under: — admin @ 6:10 PM セミナー報告,ニュース

東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全センターは16日、東大構内で「放射性物質と食の安全・被災地の畜産復興を願って」シンポジウムを開き、同センターが平成23年度から展開してきた放射性物質と畜産物の安全に関する調査成果を報告し、あわせて畜産の被害に関する代表的な科学的研究を紹介した。関係者・消費者ら約120名が集まった。

同大学・関崎勉氏(同センター長)が調査全体の概要を話し、同大学・細野ひろみ氏は、放射性物質に対する消費者のリスク認識調査から「被災地の農畜産物を避けたい気持ちと応援したい気持ちがある。被災地の食品に対する価格評価は、フードチェーンなどへの信頼度の影響による」としたうえで、安全を安心につなぐには「信頼」が欠かせないと話した。また最新の調査結果を示し、放射性物質や健康被害、管理状況に関する理解は限定的であり、食の安全安心へのリスクコミュニケーションが重要と示唆した。

福島県畜産課の森口克彦氏は「牛肉の安全性確保と出荷管理の取り組み」を話した。県内における肉用牛飼養管理のチェック体制、生体スクリーニング、と畜後の全頭検査体制などを徹底し、「福島牛」のブランド再生に取り組んでいると報告した。

畜産草地研究所の山本嘉人氏は、家畜飼料の生産と給与や飼養体系について解説した後、飼料用トウモロコシと永年草地について、2011年、12年の2年間におよぶ放射線測定の結果と、その低減技術などを報告した。

同センターは、リーフレット「牛肉と放射性物質のコト」を作成し啓発につとめている。(文責:関東支局)
http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/

被災地域の畜産再生に向けて:中央畜産会がフォーラム開催

2013 年 3 月 6 日

Filed under: — admin @ 6:20 PM セミナー報告,ニュース

中央畜産会は6日、東京都内で地域再生フォーラムを開いた。これは東日本大震災をはじめ、これまで全国各地で蒙った自然災害や原発事故により畜産が直面した課題等を整理し、今後の畜産において復興・再生のプロセスの参考にするもの。3つの基調講演と8つの報告が発表された。

東北大学の中井裕教授は、東日本大震災における畜産の被害状況を整理し、飼料工場の配送体系や乳業界での危機管理体制の取り組み、地域レベルでの停電時の電源確保対策などを紹介し、「地域再生に持続可能な畜産事業を構築することが必要で、地域内連携、耕畜連携、農協や畜産関連ネットワークとつながることが大切」とした。

福島県の酪農家、三瓶恵子さんは「T・から始める酪農」と題し、原発事故によって避難し、農場を移転せざるを得なくなった経緯と現在の状況を話した。同氏夫妻は移転に当たり弟夫婦と共同で株式会社「T・ユニオンデーリイ」を設立、被災から3年目に入る今、「常に前に向かっていくことを大切にしたい」と述べた。同牧場の「T」は以前の住所、自分や弟夫婦の名前の頭文字とのこと。

日本獣医生命科学大学の小澤壮行教授は、過去の自然災害等から復興した事例の特徴として「地域・後継者・従業員・同業者等が一体となった展開、“モノからヒトへのシフト”を強調したい」と述べた。さらに、復興関係資金の助成事業・制度資金の有効利用における行政の力、法人化・共同化による負担軽減とスケールメリットの発揮の3点をあげた。さらに普段からのライフライン整備、正しい情報取得と発信が大事とした。

雲仙普賢岳の噴火により被災した長崎県・雲仙生乳生産組合の高原和光氏は、共同で農用地を集積し、酪農を再開したプロセスを報告した。同氏は、補助事業等の利用で牛舎・施設・採草地を整備し、被災前には経産牛75頭だったが、現在は同100頭、育成牛50頭と、和牛・乳雄・F1肥育230頭へと経営を拡大している。再建に当たっては積極的な姿勢が大事、と述べた。

また、中越地震からの畜産の復興、口蹄疫による被災からの復興、鳥インフルエンザからの復興、風評被害への対応などが話された。(文責:関東支局)

 

 

6次産業化をテーマに研修会:畜産経営支援協議会が開催

2013 年 3 月 5 日

Filed under: — admin @ 6:32 PM セミナー報告,ニュース

畜産経営支援協議会(5団体、事務局:中央畜産会)は5日、都内で平成24年度第1回畜産経営支援者研修会を開き、関係者ら約60名が参加した。テーマは「6次産業化と法人経営戦略」。3つの話題提供とディスカッションが行われた。

農水省食料産業局食料産業専門官・大野時正氏は、畜産分野での6次産業化認定の現状を紹介するとともに、6次産業推進に必要な情報開示と非財務情報(顧客の視点、経営ビジョンの共有、社員の視点など)の活用を含む経営管理の向上を訴えた。

香川県の広野正則氏(広尾牧場:搾乳牛220頭+繁殖和牛、交流宿泊施設、加工体験施設など)は、平成12年から取り組んできた6次産業化への展開を紹介した。ポイントは、一次産業の基盤の確立が前提であり、そのうえで加工・販売の位置づけを明確化すること、地域住民の理解を得ること、関係者の支援を受けること、などと述べた。

岡山県アルマ経営研究所の谷行治取締役(中小企業診断士)は、事業成功の条件などをテーマに「家業から事業への転換を図り、従業員満足度で人材の定着化を図ることが大事。社長にはすぐなれるが、経営者になるのは難しい」として、事業に成功するための「夢」「起業家精神」「支援者」など11条件を解説した。

パネルディスカッションでは、志渡和男氏(農業経営コンサルタント)が加わり講演者らと、広野牧場における年1回の経営情報の公開などを話題に「力強い畜産構造の実現と経営の法人化」が話された。(文責:関東支局)

畜産の国際化の進展と対応:家畜改良センター茨城牧場らがセミナー

2013 年 3 月 1 日

Filed under: — admin @ 7:44 PM セミナー報告,ニュース

家畜改良センター茨城牧場、畜産環境整備機構などは1日、茨城県内で平成24年度畜産技術セミナー「農業における国際化の進展と対応について」を開いた。畜産農家や関係者ら約50名が集まった。

講演1は「畜産をめぐる情勢について」と題し、政権交代後の平成24年度補正予算および25年度の畜産・酪農関係予算概要を、農水省関東農政局畜産課の三ツ木嘉之農政調査官が説明した。補正予算による生乳需要基盤強化対策事業は、需要創出は日本酪農乳業協会、利用促進は中央酪農会議が事業実施主体となる。25年度には酪農生産基盤回復緊急支援事業、加工原料乳確保緊急対策事業等が新規に予算化された。

また今年6月末には、パーラー排水液など家畜排水からの硝酸性窒素等の暫定基準値(900ミリグラム/L)の改定時期を迎え、その引き下げも予想されることから、畜産整備機構の羽賀清典参与と長峰孝文主任研究員が「硝酸性窒素等家畜環境問題の対応とメタン発酵消化液の利用等」と題して講演した。バイオマス利用等による再生可能エネルギーの固定買取制度、メタン消化液の野菜への施肥利用などが話された。

講演2は「TPP問題」について、畜産関係102団体で構成される日本の畜産ネットワーク事務局でもある中央畜産会:伊佐地誠参与が話した。今までの当該問題に対する政治や関係者らの議論を整理したうえで、政府・自民党内の直近の動きや、日本に対する米国の要求内容を概説した。
「国民生活へ急激な影響や畜産業や関連業種、農業関連の雇用減少(例:牛乳乳製品の生産量減少率56%、農水省試算)などの観点から懸念する。“聖域”が一つでも取れれば参加とも受け取れる今回の日米声明で、その聖域の中に畜産物が含まれる可能性は低く、交渉参加に反対する」とした。(文責:関東支局)

 

OPU・IVF・ETによる子牛の効率的な生産など話題提供:NIAS/NILGS合同シンポ

2013 年 2 月 26 日

Filed under: — admin @ 7:32 PM セミナー報告,ニュース

農研機構畜産草地研究所(NILGS)と農業生物資源研究所(NIAS)は26日、茨城県内で「動物生殖技術研究の現状と今後の展望」シンポジウムを開き、全国から関係者ら約130名が参加した。
これは、家畜生殖細胞・幹細胞技術の可能性を探り、家畜生殖技術研究の新しい価値観を作っていこうとするもの。

3つの基調講演と、セッション1で先端技術の研究成果報告5題、セッション2で実用化に近づいた研究成果4題が提供され、質疑応答と総合討論が行なわれた。

酪農分野(牛)では、家畜改良センターの今井敬氏(生産技術専門役)が、経腟採卵(OPU)と対外受精(IVF)を利用した胚生産技術(OPU・IVF)の現状、さらには受胎率が高く、産子の生時体重も通常の産子と差がない胚選別培養法の研究成果などを報告した。
これらの実用化により、子牛の生産性が向上し、家畜改良につながるとともに現場でのIVF利用の促進が期待される、とした。(文責:関東支局)

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