酪農経営をシステムとして捉える~ひらかわ牧場~ 北酪検 検定員中央研修会 その2

2018 年 2 月 28 日

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乳検研修会2-2

北海道酪農検定検査協会の「検定員中央研修会」の二番目の講演は、平川賢一氏(桧山管内せたな町、ひらかわ牧場)による「システムとしての酪農経営~乳検データの活用方法~」。

平川氏は2010年に新規就農。経産牛37頭・育成牛23頭、採草地40ha・放牧地10ha、夫妻+雇用スタッフ3人。そして2016年に「農場HACCP認証」を取得した。

同氏はまず、「就農当時はとにかく忙しくて、やるべきことが多すぎて考えている暇がなかった」と当初の悩みを紹介。
そこで頭を切り替え、課題を整理し、課題を解決するために以下に取り組んだ。
・作業を標準化できる機械や装置(ミルカー自動離脱機、粗飼料重量を量るフロアスケール、分娩監視装置など)への投資
・乳検データを用いて経験や勘に頼らない合理的な飼養管理
・業務マニュアルの整備
・牛群検定webシステムを利用した情報共有
・従業員の教育、訓練システムの構築
・追播、簡易更新による植生改善
・牛群改良情報を基にした積極的淘汰とETによる遺伝改良のスピードアップ

また、衛生管理システム、生産のマネジメントシステム、人材教育・育成システムを内容として「農場HACCP認証」を取得し、それにより「経営をシステムとして捉えられるようになった」と語った。

そして、就農当初から変わったこととして、以下をあげた。
・毎日時間に追われることなく、経営戦略を考える時間的余裕ができた
・人を育て、任せることで、休みを取れるようになり、家族と過ごす時間も取れるようになった
・データを活用し、徹底した管理をすることで、1頭当たり乳量も増え、売り上げも年々増え続けている
・経営をシステムとして捉え、それを改善し続けることで、精神的な安心感が生まれ、皆が自分の成長を感じられるようになった
・目標を達成するプロセスがはっきりと理解できるようになり、将来への不安がなくなった

「検定員中央研修会」はその後、丸谷智保氏(株式会社セコマ 社長)が「顧客満足度ナンバーワンを支えるセコマの取り組み」と題して講演した。

潜在性ケトーシスをモニターする 北酪検 検定員中央研修会 その1

Filed under: — djito @ 3:28 PM ニュース

乳検研修会2-1

北海道酪農検定検査協会が札幌市で開催している「検定関連研修会」の二日目(2月28日)は「検定員中央研修会」で、全道の乳検検定員はじめ関係者ら325名が参加した。

まず、及川伸氏(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 ハードヘルス学ユニット・教授)が「乳牛群の潜在性ケトーシスとその対策」と題して、ケトーシスの分類、予防と対策などを講演した。

見た目ではわからない潜在性ケトーシスをモニターすることが重要であるとして、以下のモニター基準を紹介した。
・BHBA(ケトン体)濃度が1.2ミリモル以上
・基準濃度を超える牛が10%いたら警戒レベル
・分娩後3~50日の牛を対象とする
・給飼後4~5時間に採材する
そして、乳中BHBAモニターも利用可能で、4月から北海道乳検に追加されることから、非常に有効なツールとなると語った。

また予防と対策は、分娩後に乾物摂取量を下げない飼養管理をすることであり、そのためには以下のような飼養環境のモニタリングが重要であると解説した。
・採食環境:飼槽スペース、水場、飼料調製
・居住環境:編成、移動、密度、ストール
・検査データ:血液、乳汁、尿
・乳検:ケトン体情報
・関連データ:診療データ、更新データ

《続きは、その2で》

乳検全道平均はM9439kg・F3.95%・P3.35%・SNF8.81%

Filed under: — djito @ 10:18 AM ニュース

北海道酪農検定検査協会は2月28日、平成29年1~12月の年間検定成績(経産牛1頭当たり平均)を公表した。
全道の検定農家戸数は4154戸(前年4256戸)、平均実頭数は80.3(同79.1頭)で、平均乳量は9439kg(同9502kg)、乳脂率は3.95%(同3.94%)、蛋白率は3.35%(同3.34%)、無脂固形は8.81%(同8.79%)、体細胞数は20.8万(同21.3万)、リニアスコアは2.5(2.6)、分娩間隔は426日(同426日)だった。

地区別の平均乳量は、石狩9913kg、空知9212kg、上川9813kg、後志8699kg、桧山8475kg、渡島8710kg、胆振9356kg、日高9122kg、十勝9948kg、釧路8910kg、根室9039kg、網走9863kg、宗谷9020kg、留萌8728kgだった。

乳量階層別戸数は、1万1000kg以上が344戸(構成比率8.3%、前年400戸)、1万kg代が798戸(同19.2%、840戸)、9000kg代が1085戸(同26.1%、1099戸)、8000kg代が959kg(同23.1%、961戸)、7000kg代が634戸(同15.3%、608戸)、6000kg代が233戸(同5.6%、264戸)、6000kg未満が101戸(2.4%、84戸)だった。

優良登録委員13名を表彰 北海道ホル農協

2018 年 2 月 27 日

Filed under: — djito @ 7:01 PM ニュース

s-優良登録員表彰式

北海道ホルスタイン農協および日本ホルスタイン登録協会北海道支局は2月27日、札幌市内で「第43回 優良登録委員表彰式」を開催した。
同組合および同協会支局は、北海道内で長年にわたり登録業務に精励し、地域の酪農振興、乳牛改良、登録事業の普及推進と指導に貢献している登録委員を毎年表彰している。
今年度の表彰者は以下の13名(敬称略)。
大熊伸政(サツラク農協)
石川雄治(JAようてい)
宿波英樹(JA新はこだて)
矢野大輔(JAびらとり)
近芳幸(JA豊頃町)
高橋徹(NOSAI道東)
工藤進(NOSAI道東)
岩本学(JA道東あさひ)
佐藤省三(JA道東あさひ)
谷本和幸(NOSAIオホーツク)
佐藤昇志(ホクレン)
石井敏之(JA中頓別町)
渡部義教(JA幌延町)

NKG、潜在性ケトーシス、PAG検査  北酪検協会

Filed under: — djito @ 6:33 PM ニュース

乳検研修会1

北海道酪農検定検査協会は2月27から3日間にわたり、札幌市で「検定関連研修会」を開催している。

一日目は「繁殖性等向上対策研修会」で、菊地実氏(きくち酪農コンサルティング)が「牛とデータから学ぶ牛の管理~飲んで(N)食って(K)ゴロリ(G)~」、鈴木保宜氏(あかばね動物クリニック)が「潜在性ケトージスの対策」、久富聡子氏(ハードサポート)が「PAG検査活用と繁殖改善の取り組み~足寄町での事例~」を講演した。

なお同協会は4月より、検定日成績速報および乳成分速報に新データとして、潜在性ケトーシスの指標となる「ケトン体(BHB)」を追加する。
さらに、人工授精後28日目より乳汁検査で妊娠がわかる「パグ(PAGs)検査」も開始する。

農林水産大臣賞は宮崎県の上松氏

2018 年 2 月 23 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 3:58 PM ニュース,発表会

全国農業共済協会は2月22~23日都内で、平成29年度家畜診療等技術全国研究集会を開催した。同研究集会は、産業動物の臨床技術の向上と損害防止の推進を図り、家畜共済事業の健全な発展を目的としている。 今回は、全国から選出された21題の研究発表並びに講演が行なわれ、研究発表には審査により農林水産大臣賞、吉田賞、奨励賞、農林水産省経営局長賞、全国農業共済協会長賞がそれぞれ贈られた。
今回の農林水産大臣賞は「黒毛和種人工哺乳牛群に対する胃液移植の効果」を発表した宮崎県の上松瑞穂氏が受賞した。吉田賞は「子牛の難治性下痢症における糞便微生物移植の試み」を発表した千葉県の松浦優氏が受賞。奨励賞は「乳房炎治療に対する抗生剤使用量低減に向けた取り組み」を発表した岡山県の西山篤氏と、「牛における第一胃の慢性鼓脹症に対して注射器製フィステルを用いた第一胃瘻管形成術を施した10症例」を発表した北海道の近藤直氏が受賞した。

分娩後の難題を解決するための戦略 全酪連・酪農セミナー

2018 年 2 月 20 日

Filed under: — djito @ 5:17 PM セミナー報告

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全国酪農業協同組合連合会(全酪連)は2月7~20日、全国6会場で「全酪連・酪農セミナー2018」、および帯広市にて技術者を対象とした「全酪連・ワークショップ2018」を開催した。

今回のテーマは「効率的な繁殖のための移行期管理~栄養管理による繁殖改善~」で、講師は米国イリノイ大学畜産学部助教授のフィル・カルドーソ獣医師・博士。同博士はブラジルでの開業獣医師を経て、米国イリノイ大学にて栄養学で博士号を取得。乳牛栄養学の研究を行なう一方、酪農現場への技術普及に対しても精力的に活動している。

同博士はセミナーで、繁殖成績改善に主眼を置いた移行期牛の栄養管理についての最新情報を、暑熱ストレスの影響なども交えた幅広い視点から紹介した。

第1章「繁殖で覚えておくこと」では、繁殖成績には発情発見率(授精率)と受胎率が大きく影響することから、その二つを掛け合わせた妊娠率〔妊娠可能な乳牛のうち一定の期間(通常21日)に妊娠した乳牛の%〕を常に把握しておくことが重要であり、目標値は20%以上だが、できるだけ25%以上を目指すことなどを解説した。

第2章「受胎成績を最適にするための乳牛の分娩前と分娩後の栄養管理」では、分娩前(乾乳期)にエネルギー摂取を制御し、バルキーな(高繊維でカサのある)飼料を与えることで、分娩後の代謝が良くなり、負のエネルギーバランスが緩和されることを解説した。

第3章「暑熱ストレス……単なる暑さだけではない」では、ほとんどの乳牛は分娩前後に低カルシウム(Ca)血症に陥っていること、起立不能までには至らない非臨床型(潜在性)の低Ca血症は思っているよりもはるかに多いこと、低Ca血症を防ぐ手立ては負のDCAD(飼料陽イオン陰イオン差)しかないことなどを解説した。

※詳報はDairy Japan 4月号で。

繁殖を考える 北海道しゃくなげ会

2018 年 2 月 19 日

Filed under: — djito @ 6:16 AM ニュース

s-北海道しゃくなげ会

北海道しゃくなげ会(会長・更科進也氏、事務局・ZENOAQ 日本全薬工業(株)北海道営業所)は2月16日、札幌市で定期総会および研修会を開催した。今回の研修会は50回目にあたり、記念祝賀会も開催された。

今回の研修会テーマは「牛の繁殖を考える パート3」とし、基調講演では中田健氏(酪農学園大学・教授)が「乳用牛群検定データを用いた牛群における問題点の見つけ方」と題して、酪農に関する多くの情報を統合し可視化して有効利用することが、酪農家の利益を高め、酪農を守ることになると話した。そして乳用牛群検定データの見方や注意点、問題点の見つけ方と解決策などを、事例を交えて解説した。また牛群検定Webシステムの活用方法なども紹介した。さらに、「これからの生産動物の繁殖には、生産を支える獣医療、生産性(収益性)を高める獣医療が必須であり、ビッグデータを使いこなせる人材も必須となる時代がくるだろう」と話した。

その後、各地現場での取り組みとして以下5題の講演が行なわれた。
「フレッシュチェックの有用性:子宮回復遅延牛へのアプローチを再考する」櫻井直人氏(NOSAI道東 根室西部事業センター)
「CIDR定時授精プログラムの受胎率と受胎に影響を与える要因の調査」瀬尾洋行氏(十勝NOSAI 北西部事業所)
「妊娠率に着目した繁殖改善の事例紹介」大脇茂雄氏(NOSAIオホーツク 湧別支所)
「飼料設計を活用した士幌町の繁殖検診の実例」西沢尚之氏(JA士幌町 家畜診療課)
「関係機関と連携した乳牛の飼養管理指導による周産期病低減と繁殖改善」尾矢智志氏(NOSAI道央 空知中央支所)

最後に、ZENOAQコーナーとして、岩松香里氏(日本全薬工業 学術部)が新規抗コクシジウム製剤「ベコクサン」の特徴や効果などを紹介した。

西川賞に高野さんと秋葉さん

2018 年 2 月 15 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 4:30 PM 未分類

一般社団法人日本家畜人工授精師協会は、2月15日都内で、第46回家畜人工授精優良技術発表全国大会を開催した。同大会は、昨年に引き続き「牛の繁殖成績を向上させよう!」をテーマとし、繁殖成績の改善に資するとともに優秀繁殖技術の普及啓発を図ることを目的とする。

今回は家畜人工授精において第一線で活動している8名が全国から集まり、優良技術の発表を行なった。

本大会の優秀賞である西川賞は「受胚牛選定に生産情報は応用できるか?」を発表した福岡県の高野敏宏さんと、「受胎率向上を目指した北宗谷の取り組み」を発表した北海道の秋葉貞治さんが受賞した。

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オリオン機械(株)、GEA社共同によるロータリー型ロボット「DairyProQ」新商品発表会

2018 年 2 月 8 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 5:08 PM ニュース,新商品,発表会

オリオン機械(株)およびドイツの総合酪農機器メーカーであるGEA社は2月8日、都内で新しいロータリー型搾乳ロボット「Dairy Pro Q」の新商品発表会を開催した。
「Dairy Pro Q」は、ワンマンオペレーターで120~400頭/時間の搾乳を実現した最新のシステム。日本では酪農家が減少している一方でメガ、ギガといった数千頭規模の牧場が増えている傾向にある。そのようななか問題になるのが従業員の労働環境となってくるが、「Dairy Pro Q」の導入により酪農作業者の労働環境の改善が図れ、搾乳作業における重労働の負担軽減が実現できる。
最新ロータリーロボット「Dairy Pro Q」は、従来のロータリーパーラーと同等以上の処理能力があり、乳頭清拭、マッサージ、搾乳、ディッピングまでプロセスをライナー内で完全自動化を実現、また分房別搾乳のため徹底した感染予防、速やかな冷却送乳で安全な品質管理の点でも万全を期している。
開会の挨拶で太田哲郎代表取締役社長は「世界の技術の流れは第4時産業革命と言われており、IOTやAIといった従来のIT技術とは違った技術開発が産業を大きく変えていくことが予測される。(中略)いまや働き方改革が農業でも課題となり、本来、従業員の労働力を必要とする大規模酪農経営が増えていくなかで、雇用状況は大変厳しくなっているのが現実。その問題を解決する本システムは従来のロボットとはまったく違うコンセプトで開発され、比較する対象がないぐらいに画期的なシステムとして皆様に自信を持ってお勧めしたい」と話した。ロータリーロボットの登場は酪農業界に革命をもたらすとして熱い注目を浴びている。本日2月8日より発売開始となる。
(Written by Ryoichi Maeda)

オリオン機械(株)代表取締役・太田哲郎社長

オリオン機械(株)代表取締役・太田哲郎社長


ロータリーロボット「Dairy Pro Q」

ロータリーロボット「Dairy Pro Q」

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