地域資源の活用に向けて:平成21年度自給飼料利用研究会、開かれる

2009 年 11 月 5 日

Filed under: — admin @ 8:40 PM セミナー報告

11月5日(木)、栃木県の畜産草地研究所で、平成21年度自給飼料利用研究会が
開かれ、全国から150名が参加した。
同研究会は、1983年のフォレージテスト研究会から発展したもので、
今回のテーマは「地域資源の活用と自給飼料増産、利用の拡大と将来展望」。

内容は、2つの基調講演と研究情報からなり、
農政ジャーナリストの増田淳子氏は、「消費者は畜産の実態を知らない。
一方で食品ロスは年間1900万トンあり、うち家庭外からのロスは1130万トンある。
その2割しか飼料化されていない。目指すべきはエコフィード活用のTMRなどだ。
命の教育ができるのは畜産しかない。消費者に情報を伝えて欲しい」と訴えた。

東大農学部の鈴木宣弘教授は、「フードシステムからみた自給飼料増産の展望」
と題し、「国民に支持される酪農技術・経営とは、環境にも、動物にも、景観にも
人にも優しい経営であり、必然的に飼料自給率の高い経営だ」などと述べた。

研究情報では、
北海道農業研究センターの大下友子氏が「イヤーコーンの経済性」、
東北農業研究センターの魚住順氏が「飼料用大豆の不耕起無農薬栽培技術」
三重県中央農業改良普及センターの前橋善浩氏が「飼料用ムギ栽培」
九州・沖縄農業研究センターの境垣内岳雄氏が「飼料用サトウキビ」
について発表した。

同研究会は引き続き6日(金)に、最新技術紹介が5題、発表される予定。

GM(遺伝子組み換え)技術のアフリカ農業への貢献:日本モンサントがセミナー開く

2009 年 10 月 8 日

Filed under: — admin @ 6:32 PM セミナー報告

日本モンサントは10月8日(木)、東京都内でモンサント・カンパニー(米国)の
国際協力事業開発担当部長のN.ディニコラ博士を招き、
アフリカ農業における乾燥耐性トウモロコシの開発プロジェクトなどを
テーマにセミナーを開いた。

同博士は、社会が直面している最重要課題である
世界の食糧安全保障、水資源、バイオ燃料、地球温暖化の中心に
農業があるとしたうえで、

1:トウモロコシは多くの課題に直面するが、中でも「乾燥」は最大の被害の原因。
2:第一世代の乾燥耐性トウモロコシは2012年の商品化を目標としている。
3:アフリカは人口一人当たりの食料生産が減少している唯一の大陸。
4:多くのアフリカ諸国では農業が経済の基盤、雇用の75%を占めている。
5:規模に関わらず、GM作物の利益は多く、実際に小規模の農家が使っている。
6:同社は10年前からアフリカ農業にかかわり、プロジェクトをつくり努力してきた。
7:乾燥耐性トウモロコシが実用化され次第、速やかに普及することが目標。

などと話し、
「世界には飢餓に苦しむ人がいる。その解決には農業が大事。
農業はエキサイティングな分野であり、その重要性の認識・啓蒙が必要」
と語った。

最優秀賞は岩手県の小松郁人氏に:第27回全農酪農経営体験発表会で

2009 年 9 月 18 日

Filed under: — admin @ 8:16 PM セミナー報告

9月18日(金)、東京都内で「第27回全農酪農経営体験発表会(主催:全農)」
が開かれた。
全国から2回の書類審査と1回の現地審査で選ばれた酪農家が経営を発表し、
岩手県の小松郁人氏(56歳)が最優秀賞・農水大臣賞に輝いた。

出場者(発表順)は次の5名。
「いつでも安全安心 我が家の牛乳 我が家の酪農」(福岡県:山田博則氏)
「先見性と堅実さを備えた循環型酪農の取り組み」(岩手県:小松郁人氏)
「親子2代で歩む酪農経営」(大阪府:岡克好氏)
「自給飼料がすべての基本」(北海道:有限会社ダイナミルク・上原豊氏)
「エコフィードを活用した大型酪農経営を目指して」(高知県・川渕容史氏)

最優秀賞の小松氏は、5戸の法人化による共同経営を経て、
平成6年に個人経営を開始。
現在、改造牛舎で経産牛52頭、育成初妊牛39頭を飼養。
借地を含めて牧草地30ha。安定した繁殖成績、産乳量(平均9500キロ)、
高乳質を維持している。

審査委員長の堀尾房造氏(元農水省中国農業試験場長)は、
「今年の発表者は多彩な経営者が揃い、
3戸の家族経営は乳質改善などで生産性を高めようとし、
2戸の法人経営は大型化に向けて発展途上にある。
飼料費高騰などの影響で前年の出場者よりも経営効率は
下がっているが、どの酪農場も家畜糞尿を土地還元している」
などとしたうえで、

小松牧場(写真下)を
「バランスの良い先行投資、適切な飼養頭数と土地面積、熱心な牛群改良
完璧な糞尿処理対策と環境美化、安定した経営成果」などと評した。

同時に開かれた学生「酪農の夢」作文コンクールでは、
高橋けい太さん(山形県置賜農高)が最優秀賞に選ばれた。

暑熱ストレスは静かに酪農から利益を奪っていく:NYS社セミナーで示唆

2009 年 4 月 30 日

Filed under: — admin @ 8:34 PM セミナー報告

飼料添加物の専門ディーラーである株式会社エヌワイエス(本社:岩手県)は、
4月30日、東京都内で「NYS栄養セミナー」を開いた。

テーマは「乳牛の暑熱対策にナイアシンは効果があるか」で、
講師は米国アイオワ州立大学のDr.Baumgard PhDと、ルーメンバイパスカプセル化技術で飼料業界をリードするBALCHEM社のDr.Emanuele PhD。

Baumgard博士は、暑熱ストレスは世界的な問題となっているとしたうえで、
1)暑熱ストレスはルーメンアシドーシスをまねき、静かに酪農家から利益を奪っている
2)カプセル化ナイアシンの給与によって、牛の発汗率が増え体温が低下した、
3)おそらく繁殖にも好影響を与えるはずだろう、
などと報告した。

Emanuele博士は、蛋白質を過剰給与せず、
牛群全体の飼料効率を1.6以上とするなどの「精密給与」を紹介し、
ルーメンバイパスアミノ酸を使った「精密給与」のルールなどを解説した。

そのうえで、ルーメンバイパスリジンを用いた3つの試験例を報告し、
農場現場での有効活用について多くの示唆を与えた。

セミナー要旨は、5月20日発行の「DairyJapan6月号」に掲載予定で、
同号の特集「秋口にバテないために 効果的な暑熱対策」とともに
ご覧下さい。

菊地 実氏による酪農セミナーが岡山で開催

2009 年 4 月 20 日

Filed under: — admin @ 4:15 PM セミナー報告
菊地 実氏

菊地 実氏

安井 喬氏

安井 喬氏

平成21年4月16日(木)、岡山県「きびプラザ」(岡山県加賀郡吉備中央町)にて、
菊地 実氏を講師として「発見、発掘、日本の酪農力」と題するセミナーが開催された。
今回のセミナーは、おかやま酪農業協同組合と物産バイオテック(株)との共催で、
岡山県内の酪農家、関係者などが80名近く参加した。
長年の指導実績から、数々の事例をもとに乾物摂取量を下げている原因と飼槽の
構造との関係、牛の行動が示すメッセージの重要性に関する牛の管理をテーマにした
講義がなされ、参加者の関心を集めた。
また主催者側からは、物産バイオテック(株)の安井 喬氏より、米国での研修活動中にリサーチした米国における酪農事情、また牛乳・乳製品のマーケティングの現状が詳細に紹介された。

自給飼料活用型TMRセンターの情報交換会:広域流通が今後の課題

2009 年 3 月 16 日

Filed under: — admin @ 8:51 PM セミナー報告

3月16日(月)、東京・発明会館で「平成20年度自給飼料活用型TMRセンターに関する情報交換会」が開かれた(共催:畜産草地研究所、全国酪農業協同組合連合会)。

全国で稼動しているTMRセンターは73ヵ所(農水省調べ)。今回の情報交換会は自給飼料型TMRセンターの円滑な運営と、かかえている課題、周辺技術などを整理し、地域に合った自給飼料型TMRセンターの展開を図ることを目的にしたもの。

内容は、次の8講演;
「飼料自給率向上への取組とTMRセンターの果たす役割」(農水省・小林博行氏)
「北海道におけるTMRセンターの最新情報と今後の課題」(オーレンス・時田正彦氏)
「良質自給飼料生産とTMRセンターの取組事例(デリバリーフィード名寄・佐竹敦氏)
「食品加工副産物と飼料稲で自給飼料率向上と乳肉低コスト安定生産を目指して」(那須TMR・藤原基男氏)
「細断型コンビラップを活用したTMRセンターの取組」(JA東日本くみあい飼料・望月雅之氏)
「中九州TMRセンター(熊本県)における烏龍茶粕の利用について」(全酪連・丹戸靖氏)
「TMRセンターを支援するための汎用型飼料収穫機の開発」(生物系特定産業技術研究支援センター・志藤博克氏)
「発酵TMRの調製と給与に関する最新技術」(畜産草地研究所・野中和久氏)

最後に全酪連・三輪達雄氏を座長に発表者らによるパネルディスカッションが行なわれ、「TMRセンターの人材育成」、「国産原料、製品の広域流通化」、「発酵TMRの更なる研究」などが話題となった。

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