新施設を検討の際に

写真は5月18日エントリーの「ロータリーロボット牛舎」の1カットです。真新しい牛舎で牛が入るのを待っている状況のカットです。牛が入った後の状況を見ることを、とても楽しみにしています。

さて、牛舎や施設、設備は乳牛の行動や生理、そして作業性を考えて常に進化しています。より高い生産性を追求し、快適な環境を作ろうと日々、研究が行なわれている成果ですね。

畜産クラスター事業や楽酪事業、楽々GO事業などを活用して新しい牛舎の建設を進めている、または検討されている方も多くいらっしゃると思います。そこで、ぜひ読んでいただきたのがDairy PROFESSIONAL Vol.11です。本書はウィスコンシン大学生物工学部のデイビット W カメル教授に最新の知見に基づいて施設デザインを書き下ろしていただきました。ベッド寸法や通路デザイン、飼槽デザインだけでなく、換気や照明の考え方も盛り込んだ一冊です。この特集は、「牛の行動」から施設デザインを考えたことがポイントです。牛舎設計を考える際に、ぜひ一読ください。

ロータリーロボット牛舎

先日、北海道中標津町の希望農場さんで開かれたAMR(オートマチックミルキングロータリー=ロータリー式搾乳ロボット)の完成披露セレモニーに参加してきました。

24ポイントのAMRで1日最大1600頭分の搾乳ができ、そのオペレーションは1人で賄えるというから機能性と省力化を兼ね揃えた搾乳機器です。早く実機の稼働が見たいとワクワクしました。

さて、希望農場さんがAMRと同時に建設したのが400頭用のフリーストール牛舎です。縦断式のトンネル換気を備えています。強制換気ですから、通年快適な舎内環境が得られるのではないかと思います。こちらもまだ乳牛が入っていない、真新しい施設です。

舎内は4群に分けられていました。搾乳を終えた乳牛は写真のスマートセレクションゲートで各々の群に帰っていきます。もちろんAMRからの戻り通路にもセパレーションゲートが設置され、治療や授精などが必要な牛を的確に選別します。

そして、私が興味を持ったのは、2点目の写真のオートフットバス。フットバスプログラムに沿って自動で洗浄液が入り、排水され、再び洗浄液が入るものです。頭数が多くなるとフットバスの洗浄液の交換も一苦労ですね。蹄は大きな牛体を支え、移動や採食、その他乳牛の行動を支えるもっとも大切な部位の一つです。きちんとした蹄浴プログラムで蹄の健康を維持し、最高のパフォーマンスを発揮してほしいものですね。

モーモー広場

写真は東池袋のモーモー広場にある乳牛のモニュメントです。

モーモー広場は辻広場と呼ばれる防災広場の一つで、地域の防火水槽の役目を果たしています。

都心の池袋になぜ牛? と思うかもしれませんが、明治から大正にかけて、このあたりは酪農地帯だったそうです。明治後期には約60戸の酪農家が営農していたというから驚きです。

その歴史を残すため、辻広場の一つがモーモー広場になったようです。ちなみにモニュメントの全長(頭から尾)は約3mでかなりの大きさがあります。

この乳牛が横臥する床の下(地下)が防火水槽になっているそうです。

都内にはこのほかにも牛や畜産に由来する土地がいくかあります。時間を見つけて、探索してみると面白いかもしれないですね。

バギー改エサ寄せ機

写真は宮崎県のY牧場で見つけたエサ寄せ機です。

4輪のバギーに塩ビ管を加工したプッシャーをつけた自作のマシンです。小回りが利き、スピーディーなエサ寄せが可能です。

このバギー改エサ寄せ機を見つけたのは、某研究会の研修先でのこと。研修に参加していた酪農家さんは、このエサ寄せ機に興味津々。うち数名は実際に跨らせてもらい、エサ寄せを体験していました。

「こんなエサ寄せ機が自分の牧場にあったら、エサ寄せのテンションが上がるね」と、口々に話していました。
機能性も抜群ですが、なによりも作業が楽しくなる、これが牛舎作業のモチベーション維持につながるポイントですね。

IoTは難しい?

写真は、先日お邪魔した静岡県のA牧場のフリーストール牛舎内の様子です。

A牧場は最近、牛床マットをウォーターベッドに更新したそうで、ご覧のように牛群がきれいに横臥する様子を見ることができました。

A牧場を訪ねたわけはウォーターベッドに更新したアフターを見るためではなく、デザミス株式会社が提供するUmotionの使用感を取材するもの。約1年使うなかで見えてきたもの、期待感などを聞きました。

詳細はDairy Japan5月号に掲載しますが、Umotionでは横臥や移動、反芻、採食、飲水など乳牛の行動を記録することで、さまざまな情報を得ることができます。カウタイム・バジェットを見える化するというのがわかりやすい表現かもしれません。これによって、発情はもちろん、各種疾病も早期に発見することができるというものです。

デザミスは「現状、センサーの実力は人にかなわない」と人の観察眼の高さを示しますが、社員間に観察眼の差があったり、労働力が不足して観察時間が満足に得られないといった状況では、力強いツールになりえると思います。

IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった言葉はどこか難しい印象を与えますが、使いやすく「調律」されたアプリケーションは、実にユーザーフレンドリーだと感じました。