より良いコンフォートを目指して

広島大学の新しい搾乳牛舎にお邪魔しました。
搾乳ロボット1台を備える新しい搾乳牛舎は、34ベッドのフリーストール牛舎。開放型の牛舎設計に吸気側55インチ×4台、排気側55インチ×4台、順送55インチ×6台、同72インチ×2台のファンをセットして効率的な換気と暑熱対策に重点を置いていました。
このファン、これまでにないダイレクトモーター使用のファンで、牛舎内温度や湿度によって回転数を自動でコントロールするもの。それぞれのファンには個別のIPアドレスが振られ、個々のファンの稼働状況や運転時間なども管理できるといいます。
牛舎内に入らせていただくと、ベッドエリアも給飼エリアも、きちんと風が流れていることが体感できました。
牛舎設計の最重点項目は、もちろん「カウコンフォート」の徹底と教えてくれました。
このほか、インダクションライトを用いた長日管理にも取り組み、生産性のさらなる向上を見込んでいます。
同牛舎の詳細は次回のDairy PROFESSIONAL Vol.19で紹介します。

農場から伝染病リスクを守ろう

毎日、暑い日が続いています。人も牛もバテ気味のことと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、農場にはさまざまなリスクが存在しますが、このうち今回話題にしたいのは、感染症対策です。
農水省は6月30日、新たな「飼養衛生管理基準」を公布しました。施行は今年10月1日です(一部はその後に施行)。この飼養衛生管理基準は家畜伝染病予防法に定められた監視伝染病(口蹄疫やヨーネ病、プロプラズマ病などの家畜伝染病と、サルモネラやBSEといった届出伝染病)を予防するための管理基準で、家畜の飼養者はその遵守が義務付けられています。とはいえ、飼養衛生管理基準の遵守は、監視伝染病を防ぐことにつながるだけでなく、乳房炎の防除や下痢・肺炎の発症リスクを下げることにもつながる有益な技術です。ぜひ、そうした視点からも取り組んでみてください。
今回の改定は、乳牛においては口蹄疫など重大な伝染性疾病の感染リスクがあることから、前回の飼養衛生管理基準より踏み込んだ内容となりました。

新たな飼養衛生管理基準は
Ⅰ:家畜防疫に関する基本的事項
Ⅱ:衛生管理区域への病原体の侵入防止
Ⅲ:衛生管理区域内における病原体による汚染拡大防止
Ⅳ:衛生管理区域外への病原体の拡散防止
の大きく四つで構成され、それらの枠を超えて38項目の基準が設定されています。
乳牛の所有者の責任が明確化され、関連法令の遵守をはじめ、伝染性疾病の発生や蔓延防止のための情報収集、防疫体制の構築、農場の管理マニュアルの作成と遵守などが明文化されています。また、口蹄疫をはじめとする伝染性疾病が発生した際に、放牧の中止や制限がかかる場合に乳牛を管理できる畜舎などの整備と移動準備が求められることになります(施行は令和3年10月)。
また、これまで農場に訪れる人や農場外から持ち込む車両、モノの洗浄・消毒は必要だったことに加え、新たに農場外に人が出る際、また農場外に車両やモノを搬出する際にも洗浄・消毒が必要とされるようになります。これは病原体やウイルスを農場に持ち込まないという考えに加え、農場外に持ち出さない観点も盛り込まれたものです。
新たな飼養衛生管理基準の詳細については、以下を参照してください。詳細は以下を参照してください。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_shiyou/attach/pdf/index-91.pdf

Dairy Japanでは、2020年9月臨時増刊号『Dairy PROFESSIONAL Vol.18』で、新たな飼養衛生管理基準について詳しく解説しています。新たな飼養衛生管理基準を知り、その対応を考えるために、ぜひご一読ください。

ミルクに付加価値を

新型コロナウイルス感染症が再び感染拡大の兆候にあり、予断を許さない状況にあります。皆様におかれましても、引き続き感染予防に注意をはらい、ご自愛ください。
さて、先日、東京都八王子市のI牧場にお邪魔いたしました。Iさんは酪農を続けるかたわら、平成6年からヨーグルト生産を開始。現在ではヨーグルトのほか、アイスクリームなども製造する6次産業に取り組んでいます。
都市型酪農では土地の制約などによって規模拡大は難しいのが実情です。そこで、乳に付加価値を付ける手段として、6次化にかじを切ったと言います。6次化を進めることで、生乳生産量を増やさずとも収入を拡大し、経営も濃密になったとIさん。
そんなI牧場が乳製品の原料乳として生乳に付した価値は、「幸せな乳牛から搾乳した生乳」。「幸せな母さん牛から搾乳された生乳にこそ価値がある」として、アニマルウェルフェアの向上に努めています。

ご縁がありますように

緊急事態宣言が解除され、取材活動を再開させていただきました。
久しぶりにお邪魔する現場は兵庫県のT牧場さま。テーマは「妊娠率アップ策」で、すなわち繁殖成績の向上です。いかに妊娠頭数を確保するか、これはいつの時代も酪農のメインテーマの一つですね。
取材日はちょうど繁殖検診日で、T牧場の繁殖を担当するO獣医師ともお話することができました。
T牧場では分娩後40日以降で全頭フレッシュチェックを実施することや、繁殖検診を月2回行ない、授精チャンスを逃さないよう取り組み、現在は分娩後50日以内にほぼ全頭の初回授精を済ませるまでになっていると言います。また授精後28〜30日でのPAGs検査の実施、約40日でのエコー検診、約60日での再鑑定という細かなスケジュールで妊娠の可否を調べています。これによって、受胎しなかった場合などは積極的に次の授精チャンスを狙えるようになったと言います。
そんなT牧場の取り組みはDairy Japan8月号で。
ちなみに写真は、注入器に5円玉を通したもの。T牧場での授精業務の際に、O獣医師が「ご縁がありますようにというおまじないですよ」と教えてくれました。
皆さんも、受胎するためのジンクスやおまじないをお持ちですか? お持ちでしたらぜひ教えてください。

オンラインで座談会

 

全国に発出された緊急事態宣言も、1都1道3県を除いて解除となりました。これも外出自粛をはじめとした個々の努力の結果だと思います。引き続き、感染拡大の防止に最大限の努力を続けたいと思います。
弊社編集部では現在、外出を伴う取材活動は自粛中です。早く取材で皆様の農場にお邪魔したいと切に願っているところです。
さて、そんな取材活動の自粛のさなか、編集部は各地の酪農家さんとオンラインで座談会を開催いたしました。5名の若手酪農家に参加していただき、新型コロナウイルス感染症による影響や、今後農場で取り組みたいことなどを話し合っていただいたものです。
このなかで、参加した皆さんが口を揃えとくに印象に残ったのは、「牛乳消費を支えてくれる消費者(応援団)に感謝」という言葉です。
新型コロナウイルス感染症に関しては、ストレスのたまる情報が圧倒的に多いなか、こうした感謝の言葉を聞くことができたことで心が暖かくなりました。
まもなく「牛乳の日・牛乳月間」がスタートします。これを機に、私も今一度、牛乳の応援団にありがとうを伝えたいと思います。
オンライン座談会の様子は、Dairy Japan7月号で。

※画像は加工しています。