DIYで哺育舎を

先日取材でお邪魔した岡山県のU牧場。
建築業での就業経験もあるUさんは、DIYが得意だと言います。
そして案内してくれたのが、古い施設を改修した哺育舎。単管パイプなどを使い、基本的にすべて手作り。スターターや乾草、水を入れるボールは100円均一で購入したもので、ボールのサイズに合わせて作られた飼槽の台もDIY。既製品のような仕上がりでした。
そして個体の識別票はパソコンで作成し、プリントアウトしたものを掲げています。ちょっとした手間で、哺育舎内部は整然とした印象になると感じました。
単管パイプなどはホームセンターで安価に購入できるもの。手間と工夫で、低コストで環境を整えることができる好例を見た気がしました。

バイオセキュリティの参考に

昨日、岡山県のU牧場にお邪魔しました。
Uさんは昨年実家の酪農場に就農する前は、一般企業でサラリーマンをしていたそう。そのとき、ISOなども学び、就農後の農場管理にもそのノウハウを活かしていると言います。
農場にうかがってまず感じたことは、整理整頓が行き届いているということ。各種書類はきちんとファイルにまとめられ、必要な情報にすぐアクセスできるようになっています。
また、備品や工具も自作の整理棚で、それぞれの「住所」を明確にしたうえで管理されていました。
そんななか、U牧場の入り口に注目しました。家畜伝染病予防のための「関係者以外立ち入り禁止」の表示の下には、車両消毒に使ってもらう消毒薬と噴霧器、来場者の記帳表はもちろん、非接触型の体温計、手指消毒薬が整然と並べられていました。
家畜伝染病予防はもちろん、ここ最近、再度拡大傾向にある新型コロナウイルスの農場への持ち込みリスクの低減もきちんと実施しています。
バイオセキュリティ対策は、農場を守る基本的な事項です。ぜひご参考に。

改良と収益アップのために

先日、兵庫県のN牧場に伺いました。テーマは農場の交配計画。
ゲノム評価やOPU/IVF、性選別精液の利用など、繁殖や改良に関わる技術の開発と普及は日々進んでいます。それらは改良速度を加速させたり、遺伝的価値の高い乳牛を的確に作出することにつながり、牛群全体の生産性向上に寄与します。また、産仔の性を高い確率で判別することは、適正数の後継牛確保につながるだけでなく、F1授精や和牛受精卵移植のチャンスを広げることにもなり、直接的な収入増につながります。
N牧場は近い将来の規模拡大に向け、今は後継牛づくりに注力していると言います。そして、よりレベルの高い牛群づくりを目指すため、未経産牛のゲノム評価の利用を始めたと言います。
どのように牛群を改良し、どのように収益を上げるか、皆さんの交配計画はどのようなプランでしょうか?

より良いコンフォートを目指して

広島大学の新しい搾乳牛舎にお邪魔しました。
搾乳ロボット1台を備える新しい搾乳牛舎は、34ベッドのフリーストール牛舎。開放型の牛舎設計に吸気側55インチ×4台、排気側55インチ×4台、順送55インチ×6台、同72インチ×2台のファンをセットして効率的な換気と暑熱対策に重点を置いていました。
このファン、これまでにないダイレクトモーター使用のファンで、牛舎内温度や湿度によって回転数を自動でコントロールするもの。それぞれのファンには個別のIPアドレスが振られ、個々のファンの稼働状況や運転時間なども管理できるといいます。
牛舎内に入らせていただくと、ベッドエリアも給飼エリアも、きちんと風が流れていることが体感できました。
牛舎設計の最重点項目は、もちろん「カウコンフォート」の徹底と教えてくれました。
このほか、インダクションライトを用いた長日管理にも取り組み、生産性のさらなる向上を見込んでいます。
同牛舎の詳細は次回のDairy PROFESSIONAL Vol.19で紹介します。

農場から伝染病リスクを守ろう

毎日、暑い日が続いています。人も牛もバテ気味のことと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、農場にはさまざまなリスクが存在しますが、このうち今回話題にしたいのは、感染症対策です。
農水省は6月30日、新たな「飼養衛生管理基準」を公布しました。施行は今年10月1日です(一部はその後に施行)。この飼養衛生管理基準は家畜伝染病予防法に定められた監視伝染病(口蹄疫やヨーネ病、プロプラズマ病などの家畜伝染病と、サルモネラやBSEといった届出伝染病)を予防するための管理基準で、家畜の飼養者はその遵守が義務付けられています。とはいえ、飼養衛生管理基準の遵守は、監視伝染病を防ぐことにつながるだけでなく、乳房炎の防除や下痢・肺炎の発症リスクを下げることにもつながる有益な技術です。ぜひ、そうした視点からも取り組んでみてください。
今回の改定は、乳牛においては口蹄疫など重大な伝染性疾病の感染リスクがあることから、前回の飼養衛生管理基準より踏み込んだ内容となりました。

新たな飼養衛生管理基準は
Ⅰ:家畜防疫に関する基本的事項
Ⅱ:衛生管理区域への病原体の侵入防止
Ⅲ:衛生管理区域内における病原体による汚染拡大防止
Ⅳ:衛生管理区域外への病原体の拡散防止
の大きく四つで構成され、それらの枠を超えて38項目の基準が設定されています。
乳牛の所有者の責任が明確化され、関連法令の遵守をはじめ、伝染性疾病の発生や蔓延防止のための情報収集、防疫体制の構築、農場の管理マニュアルの作成と遵守などが明文化されています。また、口蹄疫をはじめとする伝染性疾病が発生した際に、放牧の中止や制限がかかる場合に乳牛を管理できる畜舎などの整備と移動準備が求められることになります(施行は令和3年10月)。
また、これまで農場に訪れる人や農場外から持ち込む車両、モノの洗浄・消毒は必要だったことに加え、新たに農場外に人が出る際、また農場外に車両やモノを搬出する際にも洗浄・消毒が必要とされるようになります。これは病原体やウイルスを農場に持ち込まないという考えに加え、農場外に持ち出さない観点も盛り込まれたものです。
新たな飼養衛生管理基準の詳細については、以下を参照してください。詳細は以下を参照してください。

クリックしてindex-91.pdfにアクセス

Dairy Japanでは、2020年9月臨時増刊号『Dairy PROFESSIONAL Vol.18』で、新たな飼養衛生管理基準について詳しく解説しています。新たな飼養衛生管理基準を知り、その対応を考えるために、ぜひご一読ください。