宇都宮賞が決定:渡辺繁敏氏(訓子府町)・黒崎尚敏氏(中標津町)・今村敏幸氏(更別村)
2023 年 1 月 11 日
宇都宮仙太郎翁顕彰会(瀧澤義一理事長)は1月11日、「第55回 宇都宮賞」の表彰者を以下の3氏に決定した。表彰式は例年どおり、同翁の命日にあたる3月1日に札幌市で開催する。
●酪農経営の部=渡辺繁敏氏(72歳)
「家族一丸・酪農一筋」を信念に家族が酪農業を誇りとして、乳牛改良にも積極的に取り組んできた。平成29年の経営法人化を機にFS牛舎建築と搾乳ロボットを導入し、規模拡大によるスケールメリットを活かし経営コストの低減を実現している。草作りでは地域的に粗飼料面積が少ないため、粗飼料の品質・収量の確保にこだわり、堆肥とライムケーキを攪拌・散布して適正な土壌pHの維持に努めてきた。その結果、反収は地域平均より1割の多収で、カルシウムを多く含んだ嗜好性の高い粗飼料の給与量を増やして濃厚飼料を調整し、良好な乳牛の飼養管理を実現している。乳牛改良ではゲノミック評価を積極的に活用し改良速度を速めている。
●酪農指導の部=黒崎尚敏氏(68歳)
米国での新たな生産獣医療の技術と理論を習得するため平成4年渡米。2年間の研修を経て、6年に別海町で総合牛群管理サービス社(現・株式会社トータルハードマネージメントサービス)を設立し、疾病治療のほかに、牛群の現状を分析しながら飼養・繁殖管理の技術・情報の提供や牛群管理指導を行なう生産獣医療を生業に、「酪農家の生産性と利益を向上させる」を社是に開業した。牛群の繁殖検診システムを作り上げたパイオニア。日本においてFS牛舎やTMR給与の導入に伴い顕在化する安楽性、乳房炎、蹄病、繁殖、周産期代謝性疾患予防対策の重要性にいち早く着目し、総合的な牛群管理の必要性を酪農業界に提言してきた。
●乳牛改良の部=今村敏幸氏(66歳)
「土・草・牛作りとゆとりある楽農を目指して家族での生活感を大切にする」がモットー。自給飼料生産では腹作りを第一に、土壌改良、草地の更新や適期収穫により、栄養収量が高い良質粗飼料を生産し、多回給与で採食量を高めてきた。体型と高泌乳を目指した乳牛改良に取り組み、数々の共進会で多くの賞を受賞し、牛群は検定組合を代表する能力を兼ね備え、体型・能力のバランスの取れた優秀な牛群を維持している。牛群検定では乳量・成分の高い牛群を実現し、牛群体型審査では平均得点83.5点、体型偏差値132.7と高レベル。これまでにエクセレント級を獲得した8頭すべてが自家生産牛で、その中の1頭は93点を獲得している。
TrackBack URL :
Comments (0)