現場での改善が最終目的:乳用牛ベストパフォーマンスセミナー

2015 年 11 月 20 日

Filed under: — Yayoi Uruno @ 4:00 PM セミナー報告,ニュース

一般社団法人家畜改良事業団は、11月19日、乳用牛ベストパフォーマンスセミナーを開催した。開会の挨拶で家畜改良事業団の信國卓史理事長は「今回のセミナーには広範囲の地域から、さまざまな職種の方々に出席いただいている。それぞれの持ち場で酪農の生産性の向上、生乳の増産に向けた取り組みを強化しようという強い気持ちの表れだと大変頼もしく感じる。この会議の最終目的は、ここで取り上げられることがきちんと現場に降ろされ、現場でそれぞれの改善が図られることである」と、同セミナーへの想いを述べた。また「牛群検定は酪農経営の技術的な向上を果たすうえでなくてはならないもの。経営の改善を図ろうとしたとき、それを阻害している問題は何かと言うことをきちんととらえることが出発点となる。そういう情報を提供する宝の山が牛群検定であろう」と今年で40周年を迎えた乳用牛群検定について述べた。

第一部では、畜産・飼料調査所御影庵の主宰、阿部亮氏が「乳用牛のベストパフォーマンス実現のために」と題して基調講演を行なった。阿部氏は酪農家戸数の減少、乳牛頭数の減少、生乳生産量の減少など日本酪農の趨勢をあげ、「現在のトレンドのままいくと、酪肉近の目標年度平成37年には乳製品向けの乳量が非常に少なくなってしまう」と指摘した。「現在の日本の乳牛は平均的に長命連産とは言えない。しかし経産牛1頭当たりの乳量が増加しているため、淘汰・廃用牛をいかに減らすかで変わってくる。また繁殖成績のバラつきの平準化、暑熱対策の実施、以上三つの改善が必要となる。現在のトレンドから脱却することができれば日本の酪農技術はもっと改善の余地があり、生乳生産の拡大に向かって新たな展望が開ける」と述べた。

第二部では、ベストパフォーマンス実現セミナーの優良事例、また乳用牛群検定40周年記念として、優良農家部門で栃木県の高瀬賢治氏、長野県の前田勉氏が、指導部門で鳥取県大山乳業農業協同組合の今吉正登氏が発表・表彰された。
第三部では帯広畜産大学の木田克弥教授が「乳用牛における繁殖成績王城のための飼養管理」を、北海道酪農検定検査協会の田中義春参与が「酪農現場における飼養管理指導の実際」を講演した。その後各講演者とホクレン農業協同組合連合会の吉田英雄氏、全国農業協同組合連合会の内田江一郎氏でパネルディスカッションが行なわれた。
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現場の疑問を丁寧に調査――北海道家畜人工授精師技術研修大会

Filed under: — djito @ 12:24 PM ニュース

北海道AI大会

北海道家畜人工授精師協会は11月19・20日、岩見沢市で「第71回 北海道家畜人工授精師技術研修大会」を開催し、全道から家畜人工授精師をはじめ研究者など約240名が参加した。
特別講演の後、26名の家畜人工授精師らが、酪農畜産現場で取り組んできた調査・研究を発表した。

研究発表の表彰は以下のとおり。
【優秀賞】
・「ピーク乳量に応じた授精開始適期の検討」岡田博史(十勝)
・「PGF2α製剤投与時の卵胞所見が受胎率に与える影響」浪岡徹(道南)
・「乳房の乳房下垂度を評価する新しい指標の検討と乳房下垂の要因についての一考察」山下祐輔(上川)
【努力賞】
・「酪農家の繁殖管理を改善するための繁殖診断法の検討」泉大樹(十勝)
【統計処理賞】
・「黒毛和種における在胎日数に関する一考察」川口正人(胆振)
【プレゼンテーション賞】
・「日本一の牛群造り」坂口謙一郎(十勝)
【奨励賞(学生)】
・「直径6mm以上の卵胞から吸引した牛卵子の形態」市毛里奈(石狩)

選考委員長の永野昌志氏(北海道大学准教授)は「農家からの疑問を丁寧に調べてデータを拾い上げてきた努力が伝わってきた」と審査講評した。

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