各地で「粗飼料中の放射性物質の目安」で困惑

2011 年 5 月 17 日

Filed under: — admin @ 12:35 PM ニュース

4月28日のDJニュースで既報の「粗飼料中の放射性物質の目安(26日農水省発表)」について、酪農現場では、この目安の数字の出所が不明だと困惑している。そこで、この目安を出した農水省消費・安全局畜水産安全管理課に聞いた。
同課の小原課長補佐は「今回の目安は、配合飼料については全量輸入、放射性物質ゼロであるということで、粗飼料のみを給与した場合について設定した」という。粗飼料以外にも放射性物質を体内に取り込む要因はあるが、これについては、3月22日のDJニュースで既報の「原発事故を踏まえた家畜の飼養管理(21日農水省発表)」を参照。

粗飼料については、「北海道における集約放牧の文献(粗飼料のみ127kg/日を給与で飼養)があることを踏まえ、後の生乳に放射性物質が検出されることを防ぐため、国内最大給与量で考慮した。放射性セシウムは、国際原子力機関(IAEA)より発表されている生乳への移行係数を用いて、想定され得るワーストケースを考慮し設定した」としている。
今回の目安は、IAEAの出す移行係数および国内での乳牛への粗飼料給与量(東北・関東地域の平均値は約50kg/日)が、最大値・最小値・平均値とある中で、最大値を選択したことで厳しい目安となったもの。

粗飼料に関して、現在の福島第一原発の状況を考え、1.目安を大幅に超える一番草は早期に刈り取り、二番草を育て始めること、2.わずかに目安を超えるようであれば、もう少し伸ばして放射性物質の全体濃度が薄まってから刈り取るなどの、考え得る対応をとっていただきたいとし、そのための今回の通知だったという。

今後の営農については、「チェルノブイリと同じレベルになってしまった福島第一原発事故を踏まえ、酪農家それぞれ個々の飼養スタイルがあるかと思うが、粗飼料給与をはじめ、今後、状況によっては変えていただかなければいけないことも考えてほしい」という。それがうまく営農していくために必要になるかもしれないとも。
農水省としては、各県に詳しく説明はしているが、現場になかなか伝わっていない現状に歯がゆさを感じているのが実際のところ。

この粗飼料中の放射性物質の目安について、詳しくはDairyJapan7月号でご紹介します。

原発事故の影響について酪農学園が緊急フォーラム

2011 年 5 月 14 日

Filed under: — djito @ 12:01 PM 未分類

酪農学園大学(北海道江別市、谷山弘行学長)は13日、「福島原子力発電所事故の影響を考える」と題し、食の安全・安心に関する緊急フォーラムを開催した。
学内はもとより、地自体、農業団体、一般市民など、学外からも多数が参加した。
同フォーラムは、福島原子力発電所の事故による放射性物質の汚染の広がりや避難区域が拡大されつつあることから、食品の安全・安心に関して正確な情報を提供し、具体的な対策についても知ることを目的としたもの。
放射線、環境、畜産、食品の観点から、以下の同大学4名の識者が講演した。

●人体への放射線影響と食品汚染の影響の評価について
林正信氏(獣医学群・放射線生物学)
●環境への影響について:汚染はどのように広がるのか
能田淳氏(獣医学群・環境衛生学)
●安全・安心な乳と乳製品の生産を目指して:北海道へのウシの移動などの取り組みについて
中辻浩喜氏(農食環境学群・家畜栄養学)
●震災などによる食品の流通と食品加工への影響について
鈴木忠敏氏(農食環境学群・消費経済学)

中辻氏は、「早急に対応すべき課題は、行政・農協・研究機関等の連携・協力体制の構築である。監視システムをきちんとつくり、風評被害対策として広報・啓蒙活動が重要であり、また暫定規制値自体の基準の根拠を再評価する必要もあると考えられる」と語った。

詳報はDairy Japan 7月号で

平成23年3月期は増収増益、雪印メグミルク

2011 年 5 月 13 日

Filed under: — admin @ 10:13 AM ニュース

雪印メグミルク(株)は5月12日、東京本社で平成23年3月期決算を発表した。
これによると、同期の売上高は前年度に比べ90億円増加し5042億円(対前期比101.8%)、営業利益は14億円増加し156億円(同109.9%)と増収増益だった。
第4四半期は売上高1136億円と微減したが、営業利益は前年度を上回り順調に推移した。
中野吉晴社長は、東日本大震災の影響について「市乳3工場、飼料部門の1工場に被害が生じた。また紙パック等の包材メーカーが被災した影響などから資材調達の面でも困難を極めた。さらに交通網の分断や原燃料不足等により、製品や原材料の輸送にも支障をきたした」と説明し、「そうしたなか、メーカーとしての供給責任を果たすため最大限の努力を行い、設備の早期復旧、原材料の確保に努め、生産アイテムを絞り込むことで、震災後約1週間ほどで順次生産、出荷を再開した。計画停電の影響で、はっ酵乳の生産に影響が出たが、4月から本格的に生産再開することができ、4月中旬からは震災前を上回る生産量となっている」と震災後の対応について説明した。
今後の生産については、生乳需給や資材供給の不安定、電力使用制限などの影響が見込まれているが、「生乳需給については合併を活かした需給対応力の強化、プロダクトミックスの最適化を図っていく。資材調達は生産アイテムを集約することで対応し、機能強化した研究部門の活用、代替品の探索にも取り組む。また電力については、自家発電で対応するなど全社の生産体制を見直していくことで対応したい」としている。

震災の影響で微減益、明治乳業

Filed under: — admin @ 9:43 AM ニュース

明治ホールディングス(明治HD)(株)は5月12日、東京本社で平成23年3月期決算短信を発表した。
明治HDの決算は、東日本大震災の影響もあり、売上高1兆1140億円(対前期比100.7%)、営業利益288億円(同100.3%)で前期に比べ微増収微増益となった。
このうち、明治乳業は、売上高7081億円(同100.5%)、営業利益174億円(同99.2%)で微増収微減益だった。
昨夏の猛暑でアイスクリーム類が好調だったことや、チーズや流動食、はっ酵乳も震災発生前は好調に推移していたことで増益要素であったが、東日本大震災によって東北・関東の8工場で稼働停止したことやサプライチェーンの寸断、原材料の供給混乱などの影響が大きかったことに加え、製造ライン復旧のための販売促進費が増大したために微減益となった。乳製品セグメントでは、震災後3週間で約70億円の売上減と見ている。
今後、現在稼働を停止している東北工場の復旧や包材の安定的調達などに焦点を当てる。また、電力供給不足には工場の輪番稼働などで対応し、主力ブランド商品の安定的供給を目指すとしている。

乳牛にとっての快適性:五つの項目を今すぐチェック!

Filed under: — maetomo @ 6:07 AM 未分類

手軽にできる、乳牛にとっての快適性を評価する方法の一つを、根釧農業試験場の堂腰顕研究主任に、実際に現場で解説してもらいました。
ご協力いただいたのは、網走市の居内牧場です。

〈快適性の評価〉その1「牛床横臥率」
フリーストールの場合は、牛床にいる牛のうち、佇立している牛が何割いて、横臥している牛が何割いるかを見ます。
タイストールの場合は、何もせずに佇立している牛が何割いて、横臥(牛床で座って休息)している牛が何割いるかを見ます。
なお、タイストールでは、エサを食べている牛は、採食を目的として立っているので除外します。

給飼後、ほとんどの牛が採食を終えた時点で、8割以上の牛が横臥していれば、牛にとって快適であると判断します。
7割以下は問題あり、です。

当牧場では、給飼後、約2時間で約9割の牛が横臥しており、「牛にとって、かなり快適である」と判断されました。

〈快適性の評価〉その2「飛節の状態」
〈快適性の評価〉その3「牛体の汚れ具合」
〈快適性の評価〉その4「起き上がり方」
〈快適性の評価〉その5「空気(換気)」

詳しくは、Dairy Japan 6月号で。

3.11がもたらしたもの:J-milkがアンケート調査

2011 年 5 月 12 日

Filed under: — admin @ 9:19 PM ニュース

J-milk(日本酪農乳業協会)は、3月11日の東日本大震災が、
生活者にもたらした心理的影響を理解することで、
今後、牛乳が社会に貢献できることを特定するとともに、
牛乳普及施策の立案に反映させるべく、アンケート調査を行ない、
その概要を発表した。回答はFAXやネットによる。

それによると、
牛乳がなくなると困るという意識では、実利的な不足感とともに、
馴染みのものがなくなる心理的困難があげる人が多く、
一方、なくても困らないという意識では、
飲んでいないから、代替飲料に流出するという、
牛乳消費の二極化が懸念される、などとしている。

詳しくは、同協会ホームページからダウンロードできる。

県南部での牧草給与自粛を解除:千葉県

2011 年 5 月 11 日

Filed under: — admin @ 10:15 PM ニュース

千葉県は、先月28日以降、牧草給与を自粛してきたが、
国の暫定許容値を下回った県南地域の牧草給与を判断するため、
「福島原子力発電所事故を踏まえた飼料生産・利用等について」に基づき、地域内で3ヵ所を選定し、検査した。

その結果、3ヵ所とも暫定許容値を下回ったので、
10日、県南地域での牧草給与の自粛解除を発表した。

解除されるのは、館山市、鴨川市、富津市、南房総市、
および安房郡鋸南町。
その他の地域では引き続き、自粛が継続される。
また、解除された地域でも給与時に再確認する、としている。

牧草から基準値以上の放射性セシウムが検出:群馬県

2011 年 5 月 7 日

Filed under: — admin @ 10:20 AM ニュース

群馬県は6日、前橋、高崎、館林3市の牧草から、国の基準値を超える放射性セシウムが検出された、と発表した。県は福島原発事故後に収穫された牧草を牛に与えないよう自粛を求めてきた。
牧草の基準値を超えたのは福島、栃木、千葉、埼玉、群馬などとなった。

県は、5市・6検体を検査。前橋市で750ベクレル、高崎市で530ベクレル、館林市で440ベクレルだった。他の3検体は基準値以下。放射性ヨウ素はいずれも基準値を下回った。

県は子牛や肉用繁殖雌牛を除き、今年の牧草を与えないよう指導を継続。今後、2週毎に検査を続け、3回連続で基準値を下回れば、指導を解除する。

今後、牧草栽培に代わる購入飼料費などが見込まれるほか、エサ不足が懸念される。県乳販連は損害賠償を求める方針。

生乳は3月から5回モニターし、放射性物質は基準値以下あるいは検出されていない。(文責:DJ関東)

地元企業とJA浜中町とのコラボ農場「酪農王国」

2011 年 5 月 6 日

Filed under: — maetomo @ 6:04 AM 未分類

先週に続き、全国に先駆けた各種の取り組みで知られる釧路管内・JA浜中町での話題です。

JA浜中町は5年後をシミュレーションしたら、20戸ほどがリタイアすることがわかりました。
そうなると、そこに新規就農者が今のペースで毎年入っても、戸数および生産の減少は避けられず、遊休農地が発生することも予想されます。
その対策として、同JAは、法人企業の新規参入を促すことを考えました。

しかし、他産業の法人がいきなり参入できるわけがありません。
酪農のノウハウをしっかり学んでもらう場が必要です。
そのために設立したのが農業生産法人「酪農王国」です。
いわば法人企業が新規参入するための研修牧場です。

地元の9社(法人)に出資してもらい、現在は、そのうち3社(土木建設業2社、運送業1社)から研修生を派遣してもらっています。
さらにそのうちの2社は、すでに農業法人を立ち上げました。

昨年10月に稼働した「酪農王国」は、近々300ベッドがいっぱいになります。
3年後には年間2800tの生乳生産を見込んでいます。

詳しくは、Dairy Japan 6月号で。

牧草への放射線物質基準値超過の公表、相次ぐ

2011 年 5 月 2 日

Filed under: — admin @ 10:55 PM ニュース

栃木県は2日、
県内の牧草から基準値を上回る放射性物質が検出されたと発表。
以前から乳用牛に県内産牧草を与えることは規制されており、
さらに、県内の酪農家の自粛を徹底させるとしている。

今回は、県内4ヵ所の牧草をモニターした結果で、
県内2ヵ所(県北、県南)の牧草が基準値を超えたもの。
他の2ヵ所は基準値を下回った。

国の指針では、基準値を下回っても牧草を与えるには、
採取場所を変更し、3回続けて基準値を下回る必要があり、
新しく牧草が再生するのを待ち、再検査する。

なお、福島県、埼玉県も基準値を超えた牧草モニター結果を発表。
しかし、いずれも生乳は暫定基準値を超えていない。

また、文部科学省・原子力損害賠償紛争審査会は、
福島原発事故による補償の第一次指針に、
生乳廃棄による減収と廃棄費用の賠償などを
盛り込んだ。

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