酪農女性や酪農業界に関わる女性が集う「酪農女性サミット 2018」(主催/酪農女性サミット実行委員会、共催/日本コカ・コーラ、JA全農)が12月5・6日の2日間の日程で、北海道根室管内中標津町で開催されている。
昨年を大幅に上回る280名の参加で(その3/4が女性)、道内はもとより都府県からの参加者も増えた。
開催にあたり実行委員長の砂子田円佳さん(北海道広尾町・酪農家)は、「昨年の初開催の反響が大きく、こうして第2回目を開催することができた。参加を許してくれた家族や職場への感謝を忘れず、目一杯楽しみ、明日につながるヒントをたくさんつかんでいただきたい」と挨拶した。
初日は、基調講演としてHBC北海道放送アナウンサーの森結有花さんが「働くあなたの背中を見て」と題して、十勝管内の酪農教育ファームで1泊2日の酪農体験をしたときの感動と学びなどを紹介。「乳牛は生乳生産を使命とし、酪農家は愛情をもって、それをまっとうさせることが仕事なのだと改めて知った」と語った。
トークセッションでは「酪農女性のモチベーションUP講座~仕事・生活・家庭・育児・働く女性のやる気スイッチ~」と題して女性3人が、今に至った経緯や酪農に対する思いなどを語った。
十勝管内豊頃町で哺育牛・育成牛約1000頭を受託管理しているシー・ブライトの桐山奈津紀さんは、まわりの酪農家が規模拡大し、手間がかかる哺育・育成管理を分業化してもらえるよう、8年前、両親とともに酪農業から今の受託事業に経営転換した。運営当初、初乳給与量が契約酪農家ごとで違いがあり、それが疾病に直結していることを課題としていた。そこで、ニュースレターを配布したり、入牧時の血清蛋白質の検査結果や体重・体高などのデータを契約酪農家に示したり、懇談会で情報共有をはかるなどした。その結果、初乳給与の重要性が認識され、給与量が増加し、子牛の健康度が増した。自身のモチベーションアップは、契約酪農家の暖かい一言。しかし、「プロである以上、甘えてはいけないと思い奮起している」と語った。
削蹄師だったご主人と十勝管内大樹町に10年前に新規入植し、7人の子ども達に囲まれる大家族の母でもある河口晶子さんは、妊娠・出産・子育てと牧場仕事の両立で体調を崩したこともあったが、ご主人の支えで乗り越えてきたエピソードなどを紹介した。「酪農は1日1日の積み重ねであり、奥深く、正解がなく、自分のスタイルを作っていけることが面白い」と話した。頼めることはプロに頼むのも良いと考え、2年前にTMRセンターに加入。日乳量40kg以上を達成し、日中に出かける時間も作れるようになった。「遠い未来のことはわからない。だから今できることを今がんばる。始めたらやるしかないし、100点でなくても何とかなる」と語り、新たな挑戦に踏みとどまっている女性へエールを語った。
証券会社勤務を辞めて再び大学に進学して獣医師資格を取得し、生産獣医療を営む北海道の開業診療所で修業後、2年前から鳥取県の大山乳業農協で繁殖検診や営農指導にあたっている佐藤麻子さんは、修行時のエピソードを紹介。当時、滅入ったときに支えとなったのは、ひたすら仕事をする社長と先輩、もたつく新人(自分)をぐっとこらえてくれた酪農家、そしてご主人だった。そして酪農家の成績が上がることが一番楽しかったという。「やってみたいことは今さらなどと思わず、今始めよう。失敗しても、反省しても、後悔しないように」と語った。さらに繁殖について、高泌乳牛は発情持続時間が短いことから授精タイミングを見直す必要があり得ること、記録が大事であることなども紹介した。
※詳報はDairy Japan 2月号で