OPU・IVF・ETによる子牛の効率的な生産など話題提供:NIAS/NILGS合同シンポ

2013 年 2 月 26 日

Filed under: — admin @ 7:32 PM セミナー報告,ニュース

農研機構畜産草地研究所(NILGS)と農業生物資源研究所(NIAS)は26日、茨城県内で「動物生殖技術研究の現状と今後の展望」シンポジウムを開き、全国から関係者ら約130名が参加した。
これは、家畜生殖細胞・幹細胞技術の可能性を探り、家畜生殖技術研究の新しい価値観を作っていこうとするもの。

3つの基調講演と、セッション1で先端技術の研究成果報告5題、セッション2で実用化に近づいた研究成果4題が提供され、質疑応答と総合討論が行なわれた。

酪農分野(牛)では、家畜改良センターの今井敬氏(生産技術専門役)が、経腟採卵(OPU)と対外受精(IVF)を利用した胚生産技術(OPU・IVF)の現状、さらには受胎率が高く、産子の生時体重も通常の産子と差がない胚選別培養法の研究成果などを報告した。
これらの実用化により、子牛の生産性が向上し、家畜改良につながるとともに現場でのIVF利用の促進が期待される、とした。(文責:関東支局)

生産コスト低減技術開発の成果発表会:畜産技術協会

2013 年 2 月 22 日

Filed under: — admin @ 7:48 PM セミナー報告

社団法人畜産技術協会は22日、東京都内で「生産コスト低減畜産技術開発推進事業成果発表会」開き、全国の関係者ら約80名が参加した。酪農分野では4講演が行われた。

澱粉分解酵素利用による各種ホールクロップサイレージ・発酵TMRの品質改善では、雪印種苗株式会社の石田聡一氏が発表した。澱粉分解酵素であるセルラーゼおよびアミラーゼを稲WCSやトウモロコシサイレージに添加したことで酸度やエタノール含量が高まった可能性があるとした。

東京農工大学の佐藤幹准教授は、二糖類(トレハロース、セロビオース)を用いた飼料添加物の開発により、「DMIが低下しやすい自給飼料体系においても、二糖類の添加がルーメン発酵の向上と乳中抗酸化活性の改善が認められる」と報告し、CLA(共役リノール酸)含量が高い生乳生産の可能性などを示唆した。

千葉県のNPO法人エコグループからは「河川堤防草を有効利用した乳牛用発酵TMRの開発」について発表があり、堤防草ラップサイレージを原料割合で22%用いたTMRは乳量20から30キロ程度の泌乳牛には十分に対応可能とした。

石川県立大学の石田元彦教授はコントラクター運営の経済性を、稲、麦、ヨシ(葦)サイレージについて調べた結果を報告した。他に肉用牛の試験が2題、報告された。(文責:関東支局)

感染症を考える-パート4- 北海道しゃくなげ会

Filed under: — djito @ 5:00 PM セミナー報告

北海道しゃくなげ会(事務局/ゼノアック日本全薬工業株式会社)は22日、札幌市内で「第45回 北海道しゃくなげ会」を開催した。
道内の獣医師や家畜衛生管理関係者ら約250名が参加した。

総会の後、「感染症を考える-パート4-」と題した研修会が行なわれ、酪農学園大学・獣医学群の田島誉士教授が総合司会を務め、基調講演、酪農生産現場からの報告講演5題、家畜衛生情報紹介、ゼノアック・コーナーが発表された。

基調講演では、酪農学園大学・獣医学群の小岩政照教授が「子牛感染症の発病要因と制御対策」と題し、最近の子牛の疾病の発生状況と特徴、そして、それをいかに制御するかを述べた。
同教授は、何事も先入観を払拭して多角的に見ることが大切であるとし、初乳給与のベストタイミングにしても正常な出生子牛の場合と衰弱した出生子牛の場合に分ける必要があること、小さく生まれた子牛のほうが死亡率は高いこと、肺炎になりやすい子牛は虚弱子牛症候群(WCS)であることなどを解説した。
WCSの牛は、胸腺が小さく、免疫能が低く、ワクチン効果が低く、その要因として、乾乳期の母牛の健康、とくにアミノ酸の充足が大きく影響しているという。
さらに子牛中耳炎(マイコプラズマ性)は、耳毛や耳標の装着位置により、外耳の通気性が良くない牛で発症しやすいことなどを紹介した。

現場からの報告講演では、以下の5人の獣医師が発表した。
1 「哺育育成預託農場における子牛の感染症の発生実態とそのリスク要因調査」寺崎信広氏(釧路地区NOSAI)
2 「子牛サルモネラ症とその他子牛下痢症との違い」福中守人氏(十勝NOSAI)
3 「長期化したマイコプラズマ乳房炎対策」中川亮氏(オホーツクNOSAI)
4 「牛乳房炎由来グラム陰性桿菌における薬剤耐性について」大西守氏(根室地区NOSAI)
5 「日高管内における馬伝染性子宮炎対策の推進」笹野憲吾氏(日高家保)

家畜衛生情報紹介では「農場における衛生管理の優良事例について」と題して前田泰治氏(北海道農政部)が、ゼノアック・コーナーでは「鉱塩セレニクス60TZ」について角田映二氏(ゼノアック営業推進本部)が発表した。

乳牛改良におけるジェノミック・パワー 北海道アルバータ酪農科学技術交流協会

2013 年 2 月 20 日

Filed under: — djito @ 6:16 PM セミナー報告

北海道アルバータ酪農科学技術交流協会は20日、事務局でもある酪農学園大学(江別市)で「2012年度 海外農業技術セミナー」を開催した。
今回は「乳牛改良におけるジェノミック・パワー」と題し、カナダ・アルバータ州のロッキーマウンテン・ホルスタイン牧場の社長であり、獣医師であり、畜産関係機関の多くの要職も務め、また世界各地のホルスタインショウで審査員としても活躍しているデビッド・チャラック博士を講師として招いた。
酪農家をはじめ、遺伝改良関係者、学生など約150人が参加した。

乳牛のジェノミクスとは、1頭1頭異なる遺伝子(染色体の塩基配列)を解析して、産乳量や乳成分、体型や特質などへの遺伝力を評価するもの。
同博士は冒頭、ジェノミクスをテーマとした理由について、「今日、物事を最も変様させるものであるから」と語った。

そして、ジェノミックの意義、信頼度、業界への影響などを解説し、また、同牧場で輩出した高ジェノムの雌牛などを紹介した。

CNCPS最新版、飼料設計の新しいものさしに

2013 年 2 月 15 日

Filed under: — admin @ 8:06 PM セミナー報告,ニュース

(株)丹波屋(本社/札幌市)は2月15日、帯広で「酪農セミナー2013」を初めて開催した。飼料設計に携わる普及員やコンサルタント、酪農家など関係者ら100名超が、北海道をはじめ全国から参加した。

本セミナーでは、最新のCNCPSであるver.6.1を搭載した飼料計算ソフト「AMTS」を開発したトーマス・タルーキー博士(Agricultural Modeling&Training Systems, LLC:AMTS社)がCNCPS 6.1のバイオロジーやCPMとの生産評価の違いなど、進化していく乳牛の栄養理論について解説した。

「AMTS」とは上記の通り、CNCPSの最新版であるver.6.1を搭載した新しい飼料計算ソフトである。従来のものにルーメン内分解速度や通過速度などを加味した調整を加えられたもので、ソフトの予測と現場の実際との誤差が少なくなっている。

セミナーは、午前と午後の2部構成で行なわれ、午前は「進化を続けるCNCPS―乳牛の栄養計算におけるその意味合い―」と題し、従来のCNCPSとver.6.1との調整点などを踏まえて飼料計算例などを紹介した。午後は、「CNCPS 6.1バイオロジーでの栄養設計の実践」と題し、同氏が共同経営する牧場における実践例などを踏まえ、AMTSを用いた飼料設計をはじめ、いかなる方法で牧場を発展させたかを紹介した。

稲WCS、飼料米などを中心に研究成果を発表:千葉県、県農林水産会議ら

2013 年 2 月 14 日

Filed under: — admin @ 10:30 PM セミナー報告,ニュース

千葉県および千葉県農林水産会議は14日、平成24年度試験研究成果発表会(酪農・肉牛)を開いた。飼料稲WCSおよび飼料米を用いた試験報告など、成果発表4題、情報提供4題が話された。

成果発表では、泌乳牛への籾ソフトグレインサイレージ給与効果が示された。これは、破砕籾をTMR原料として給与した試験区は、配合飼料給与の対照区と、乳生産や疾病発症などに差がなく、籾ソフトグレインサイレージが有用であることを示したもの。

情報提供では、和牛子牛の育成用発酵TMR給与試験結果が報告された(関東4県および畜草研の共同研究)。粉砕玄米を含む国産粗飼料割合の高い飼料を育成期、肥育期に給与したもので、これら自給飼料主体の発酵TMR給与で高い発育を得ることが可能と示された。

また、酪農家製アイスクリーム、ナチュラルチーズの消費動向を分析した情報提供が行われた。さらに県草地協会主催で、水田農家が参加した稲発酵粗飼料生産利用研修会が併せて開かれた。(文責:関東支局)

農業の「裾野」を広げよう:平成24年度耕作放棄地再生セミナー(関東農政局)

2013 年 2 月 1 日

Filed under: — admin @ 8:47 AM セミナー報告,ニュース

関東農政局は31日、埼玉県内で平成24年度耕作放棄地再生セミナーを開き、関係者ら約150名が参加した。

セミナーでは、農研機構農村工学研究所主任研究員で地域再生を現場で研究している遠藤和子氏が、耕作放棄地の再生を地域を活性化する取り組みの観点から、事例報告した。これらの地域活動から「いろいろな人々のかかわりで活性化への相乗効果、連鎖が生まれる。そのプロセスが大事」と示唆した。

さらに、これを通じて、次世代育成に貢献し、農業・食品・食べ物に興味をもつ人の裾野を広げることができるとした。

セミナーは他に、群馬県、山梨県などの事例が発表された。(文責:関東支局)

1000年続く農を求めて:全国コントラクター等情報連絡会、開かれる(続)

2013 年 1 月 11 日

Filed under: — admin @ 3:40 PM セミナー報告,ニュース

既報、全国コントラクター等情報連絡会は11日、三重県鈴鹿市内にある有限会社ドリームファームスズカの飼料イネWCSストックヤード等を視察した。

同ファームは水田経営などとともに、東海地区では最初に飼料イネWCSの生産に取り組んだ。現在は耕畜連携水田活用対策事業により専用収穫機を導入し、約30ヘクタールの栽培管理、収穫調製、保管、県内外の酪農場への販売まで行なう、完全流通型の飼料生産体系を確立している。

ラップサイレージの製品ごとの生産履歴の明示はもとより、畜産草地研究所などとともに現在、タッチパネル操作で行うタブレット端末型の国産飼料生産履歴流通管理システムを開発中で、そのデモンストレーションも行われた。

飼料イネは補助金に依存する部分が大きいが、同社ではさらに生産コストの低減を図り、補助金が低減しても採算が合う事業にするとして位置づけている。そして、畜産農場との連携をより強化し、圃場から畜産物までのトレーサビリティを担保することで、飼料イネを食べさせた畜産物の価値を創出し、1000年続く農業を理念としている。(文責:関東支局)

地域農業をチームで支える:全国コントラクター等情報連絡会、開かれる

2013 年 1 月 10 日

Filed under: — admin @ 7:24 PM セミナー報告,ニュース

全国飼料増産協議会と日本草地畜産種子協会は10日、三重県津市内で平成24年度全国コントラクター等情報連絡会を開き、関係者ら約150名が参加した。

今回のテーマは、「地域農業を支える、支えられるコントラクター。地域農業の中核としてのあり方を探る」というもの。

基調講演で、北海道十勝地区農作業受委託事業協議会の林敬貴会長は、管内農協やコントラクター6組織などで構成される同協議会の活動を報告した。
その中でコントラクターは、農家のツールから、地域全体のシステムに再構築していく過程にあること、そのために関係機関でチームをつくり、それぞれの組織の責任をはっきりさせ、協力して地域を支えることの重要性を訴えた。そしてコントラクターを運営する要として、利用者、協力会社、関係機関、オペレーターの四者を仲介・調整するマネージャー役が、重要な役割を担うと示唆した。

情報発表では、九州大学大学院の福田晋教授を座長に、4名の演者から宮崎県におけるコントラクター事例、北海道根室地域における粗飼料品質向上の取り組みとコントラクター事例が報告された。

北海道TMRセンター連絡協議会の佐々木二郎副会長からは、東日本大震災・原発事故に伴う北海道から東北への粗飼料支援の活動が報告され、その過程から見えてきた国内粗飼料の広域流通における運賃などの課題が提示された。

総合討論で、会場のTMRセンター運営者(北海道)から、同じ飼料を給与しても利用者間で牛群成績の差が明確になってきた。その差は人的能力によるもので、単に作業を外部化するだけでは真のメリットは出ない、分業化を経営に反映させることが大切、などの声が出た。

情報連絡会は11日、県内の飼料イネWCSコントラクター組織を視察する。
(文責:関東支局)

自給飼料および畜産物への放射性物質移行とその低減:畜草研がシンポジウム

2012 年 12 月 5 日

Filed under: — admin @ 7:50 PM セミナー報告,ニュース

農研機構畜産草地研究所は5日、東京都内で「自給飼料および畜産物への放射性物質移行とその低減技術」に関してシンポジウムを開いた。東北および関東を中心に関係者ら200名以上が参加した。
これは、同研究所が蓄積した研究データを、原発事故の影響を受けた当該地域の農業の復興に資することを目的にしたもの。

基調講演で、農水省草地整備推進室長の小倉弘明氏は、原発事故発生から今日までの同省の施策を振り返るともに、被災地の飼料生産・利用体制を強化するために平成25年度に向け自給飼料生産・調製体制の再編の支援を概算要求する、などと述べた。

草地飼料作に関する研究では、山本嘉人氏(畜産草地研究所)が草地での放射性物質の低減技術として草地の完全更新(プラウによる深耕)が有効であること、原田久富美氏(同)が10アール当たり3トン程度の堆肥を継続的に施用することは飼料用トウモロコシに有効であること、天羽弘一氏(同)が、放射性物質を含んだサイレージを圃場に鋤き込んでも後作への影響は殆ど認められなかったこと(試験圃場の場合)などを報告した。

生乳への放射性物質の移行では、小林洋介氏(同)がベントナイトやゼオライト、プルシアンブルーなどのセシウム吸収阻害物質の試験結果などを報告し、これらの物質の利用については、さらなる技術的な検討が必要とした。(文責:関東支局)

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