やっぱりリアルがいい!

11月16日、酪青研主催の第73回日本酪農研究会の会場にお邪魔しました。日本酪農研究会は昨年、札幌でハイブリッド開催されましたのに続き、今年は仙台で約190名の盟友が現地に集まりました。会場にお邪魔すると、酪農家さんや事務局、関係企業の皆さんなど久しぶりに対面で会って、お話することができました。
酪農を取り巻く情勢は飼料やエネルギーコストを始め、ほぼすべてのコストが上がり、経営を圧迫していることは周知のとおりです。現地に着くまで、「この状況でどれだけの酪農家さんが会場に集まるのだろう?」「皆さん、どのような面持ち、心境で参加されるのだろう?」と若干の不安を感じていました。しかし、いざ当日になれば、会場に集った酪農家の皆さんは真摯に発表に聞き入ったり、笑顔にあふれて久しぶりの再会を懐かしんだり、近況を報告し合ったりと以前と変わらぬ、いやいつも以上に明るい雰囲気であったように感じました。
幾人かの酪農家さんとも情報交換をしました。もちろん、経営が厳しいという声を多く聞きましたし、普段声に出せない不安な胸の内を話してくれる方もいました。それでも、「外に出て、全国の仲間と語り合う機会が持てたことは、モチベーションを上げることにつながった」といったようなこともまた、多く聞きました。
今年に入り、セミナーや勉強会などは「3年ぶり」と冠をつけてリアル開催やオンラインとのハイブリッド開催で行なわれることが多くなったように感じます。今回お邪魔して感じたことは、厳しいときだからこそ、リアルでつながれる仲間がいることが心の支えになり、明日からの営農のモチベーションアップにつながるということ。かくいう私も、久しぶりに皆様にお会いできて、元気と活力をいただきました。

条件不利地での飼料生産

先日、岡山県津山市にお邪魔しました。津山市は中山間地で、まとまった土地や条件の良い土地が少ない地域。そのため、購入飼料を主体とした経営が多いのだと言います。購入飼料主体経営が直面する飼料費の高騰が経営に与えるダメージは、想像に難くありません。
そこでNさんらは耕種農家や粥農家などで生産法人を設立し、水田を借り受けて稲WCSや飼料米などの生産に取り組んでいます。
稲を選ぶ理由は、「苗さえ供給すれば、比較的誰でも栽培できるもの」という理由。また堆肥が少ないことや、鳥獣害、風による倒伏リスクの高さでデントコーン栽培を積極的に選ぶに至らないことも理由の一つと言います。
Nさんは、こうした「地域産飼料」の面的拡大を目指し、まずは近隣他地域での飼料生産とその地域への供給も視野に入れているといいます。
「条件不利地だし機械もないし……」そうした方にはぜひ、11月末にお届けするDairy Japan12月号をご参考に。

哺乳ボトルの洗浄に強力な助っ人

先日、愛知県のM牧場を訪ねました。M牧場のSさんは就農から約10年。さまざまな改善と投資をしてきました。
約3年前に搾乳ロボットの更新を計画したM牧場は、事業審査や工期の遅れによって今年4月に最新の搾乳ロボットに更新が完了したといいます。
ちょうど酪農情勢が非常に厳しい状況での返済スタートになってしまったことは、大きな負担であることは明白です。しかしSさんは、「搾乳スピードや搾乳性が上がったことで、結果的に乳量は伸び、売り上げを高めることができた」と満足げに話してくれました。
さて、そんなM牧場で「買ってよかった」機材を紹介していただきました。それは、業務用食洗機。
乳肉複合経営で規模も大きなM牧場。日々の哺乳ボトルの洗浄も一仕事です。また哺乳ボトルはブラシで強くこすれば、徐々にこすり傷が付くもの。そこで、業務用の食洗機を導入したところ、洗浄の手間が省けることはもちろん、高温で高い水圧によって洗浄できるため、哺乳ボトルの衛生状況も良好とのこと。Sさんは、「おすすめの機材」と太鼓判を押します。

ドローンで圃場を確認

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先日、静岡県のS牧場にお邪魔しました。

S牧場は自給粗飼料としてイタリアンを11ha作っています。11haという広さの圃場の状態を目視で確認するには、多くの手間を要します。そこでSさんが取り組んでいるのは、ドローンを使った圃場の確認です。

ドローンを使えば、わずか数十分で圃場の状態を確認できるうえ、上空からの撮影のため、裸地の確認なども容易に行なえると言います。実際に圃場を撮影した動画などを見させてもらうと、圃場を鳥瞰で確認すると、その状態は一目瞭然でした。

ドローンをめぐる規制は厳しくなってきているとSさんは言いますが、圃場面積の広い牧場では、その利用価値は高いと思います。

※写真提供:S牧場

飼料給与の順番

以前も当ブログで紹介した三重県の牧場での一コマです。
哺乳子牛の管理が優秀なこの牧場で、スタッフが教えてくれたのが、飼料給与の工夫でした。
1ペン当たり四つのエサ箱が設置されていますが、それぞれに番号が振ってあります。写真奥から1・3・4・2の順に振られた番号順にエサを給与すると言います。これは子牛にエサを均等に食べてもらうための工夫。
1にエサを給与すると、子牛は1に集中し、採食します。その間に2のエサ箱にエサを給与すると、別の子牛がエサを求め集まります。同様に3・4とエサを給与するタイミングをずらすことで子牛達が全頭、均等にエサにリーチすることができるというもの。
給与の手間はかかりますが、とくに弱い子牛にとってはありがたい給与方法。
こうした一工夫が健康な子牛を育てることにつながるのだな、と納得しました。