投稿者: Tomohiro
笑って知識が身につくおすすめ書籍
昨年末、本社に納品された最新書籍が『お気酪獣医 クスリの処方箋』。Dairy Japan連載でおなじみの、島本正平先生ご執筆の一冊です。
本書は「作業マニュアルの作成」「アニマルウェルフェア」「ダウナー牛の看護」「酪農場の安全対策」「子牛の事故低減」「耐性菌問題」「獣医鍼灸」「初乳管理」の八つをテーマに解説した酪農経営に役立つ書籍です。最大の特徴は、イラストやマンガを取り入れ、そしてふんだんにジョークを盛り込んだ「今までにない技術書」であることです。
この特徴によって、「お気酪」かつ「クスリ」と笑いながら読み進めることができます。私の初笑いも本書を読んでのこと。
「活字ばかりの書籍はちょっと苦手」という方にも、自信を持っておすすめできる一冊です。もちろん、笑うだけでなく、きちんと知識を身につけることができます。
ぜひ、今年の笑いにこの一冊を!
自動搾乳システムの可能性
先日、デラバル株式会社が主催する「AMSカンファランス」にお邪魔しました。カンファランスでは同社のVMSやAMRユーザーなどが多数参加していました。
国内外のデラバル職員や研究員の方々がVMSやAMRの機能説明をするだけでなく、付帯設備の有効な使い方、ソフトウェアの利活用方法、そして搾乳ロボット牛舎設計のヒントなどを講演していました。海外ではVMSとAMRを組み合わせた農場システムを展開する牧場もあるようで、フレッシュ群や治療群をVMSで、通常の搾乳牛をAMRで搾乳するという方法をとっているようです。
そして興味があったことの一つが、メガロボット牛舎での群分け。とくにVMSのようなボックス型の搾乳ロボットを複数台、複数牛群での管理する際の群分けについてでした。能力や泌乳ステージに応じて群分けをするのか、泌乳ステージなどを加味せずに頭数割で群分けするのかといった具合です。前者では飼料設計の幅が広がり、より適切な栄養管理ができるメリットがある反面、群を移動させることによるストレスがネガティブ要因になります。後者は飼料給与メニューを一本化できるため給飼管理が楽になる、群移動のストレスがないといったメリットがあります。結論は、「経営者判断」ということになりますが、こうしたカンファランスは、「これから搾乳ロボットを導入したい」という人にとって非常に有用なものだなと感じてました。
搾乳ロボットの可能性
デラバル株式会社が開催した「AMSカンファランス」に参加してきました。
AMS=Automatic Milking System、つまり搾乳ロボットをテーマにしたカンファランスです。同社が日本で搾乳ロボットを発表して20年が経過したといいます。そして今、労働力不足や労働負担の大きさから、搾乳ロボットへの注目は高まり、国内で急速に普及しました。
カンファランスではユーザーからの搾乳ロボットシステムの使い方、牛群管理ソフトの利用方法、課題などが伝えられたほか、同社の技術者から最新情報の提供、ロボット牛舎デザインの考え方など幅広い情報が提供されました。
搾乳ロボットは単に搾乳を自動化するだけでなく、各種センサーやそこから得られる情報の分析によって、乳牛の健康管理や繁殖管理、生乳の安全・安心にも寄与する総合システムになっています。今回発表したユーザーの皆さんは、搾乳からの開放で得られた時間をデータに基づいた牛群管理、そして牛の観察に割いているということが共通した声でした。今流行りの言葉でいえば、ICT、IoTを酪農でフル活用しているということでしょうか。
海外では放牧と搾乳ロボットを組み合わせたり、ボックス型の搾乳ロボットとロータリー式搾乳ロボットを組み合わせた複合型搾乳ロボットシステムを構築したりと、さまざまな形で活用していると言います。国内でも複数台の搾乳ロボットを設置した大規模農場を運営する例も散見されるようになりました。今回のカンファランスに参加して、搾乳ロボットとその利用には、まだ可能性がたくさんあると感じました。
強制換気牛舎
写真は岡山県のK牧場のフリーストール牛舎です。
K牧場は今年、新たに大型フリーストールを稼働させました。牛舎は横抜き式の強制換気牛舎。ミルキングパーラーを挟んで反対側にも同様の強制換気牛舎がありますが、新たに建てたほうが換気効率が良いと言います。
取材時はまだ暑熱が残る頃。汗をかいてから牛舎内に入ると、寒く感じるほどでした。
そして、今回K牧場が選んだ排気ファンは82インチと超大型のもの。排気側にズラリと並ぶファンは壮観でした。
暑熱期は終わり、すでに冬の便りを耳にしますが、冬も換気は大切です。牛舎内の環境は乳牛の健康、そして乳質にも大きく関与します。ぜひ、寒い時期も換気を考えてみたいものです。