「エサ(TMR)運搬用コンテナ」で時短

釧路管内のH牧場、ご自身が考案した「エサ(TMR)運搬用コンテナ」です。
フリーストール牛舎から、別棟の繋ぎ牛舎の牛に与えるTMRを、これで運びます。

フリーストール牛舎でTMR給飼のとき、このコンテナを牛舎から出てすぐの所に置いておき、ミキサーワゴンで飼槽端までTMRを落とし終わって外に出たら、このコンテナにも落とし入れる、という使い方です。
このコンテナは、スキッドローダーのロールフォークを差し込んで持ち上げて運搬します。
その際、リングでコンテナをロックしているので、そのままバラ置き場で中身を投げ落とす(ダンプ)ことができます。

このコンテナには約300kgのTMRが入り、1往復で作業が終わります。
TMRの残飼も、このコンテナに入れて育成牛舎に運びます。
「このやり方で労働時間の短縮につながっている」とのことです。

※詳報はDairy Japan 3月号で。

バター1kgを作るためには何kgの生乳が必要でしょう

明けましておめでとうございます。
本年も Dairy Japan をよろしくお願い申し上げます。
酪農の魅力、乳業の魅力を、今年も精力的に発信していきます。

そこで早速、問題です。

Q チーズ1kgを作るためには、何kgの生乳が必要でしょうか
(ここでの生乳は乳脂肪率3.5%、無脂固形分率8.45%)

A これは、ご存知の方が多いかも。約10倍、約10kgの生乳が必要です。

Q では、バター1kgを作るためには、何kgの生乳が必要でしょうか

A これは、ご存知の方は少ないかも。約23倍、約23kgの生乳が必要です。

こうした、消費者の皆さんが「へぇー!」と関心を示してくれる、酪農・牛乳マメ知識。
ぜひ、「口コミ消費拡大」で使ってください。

《参考資料》
生乳換算計算表、「日本乳業年鑑」、日本乳業協会、2015

こんなカッコイイ仕事はない!

12月5日付けDJニュースで既報の酪農女性サミット
北海道根室管内別海町の酪農ヘルパー・渡辺有紀さんは千葉県のご出身。酪農に接点のない家庭で生まれ育ちました。
動物が大好きで動物関係の職に就いたのですが、「一次産業の現場を知りたい」と酪農を覗いたところ、「日本の食、地域さえも支えている酪農。こんなカッコイイ仕事はない!」と感激し、現職に至ったそうです。
酪農ヘルパーという職を選んだのは、「たくさんの牧場、牛達と関われる。牛のプロから知識を盗める。こんな私でも力になれる」からだそうです。
そして、この仕事を始めたのは、自分に向いているからではなく、「牛、酪農が大好きだから」という渡辺さん。
最後に、「若い酪農ヘルパーは、キラキラしている酪農家さんを見て、いつも憧れているんです」と語りました。

※写真=ファッションショーではモデルとして登場した渡辺さん

弱い牛に配慮したTMR給飼タイミング

北海道日高管内のK牧場(経産牛320頭、未経産牛240頭)は、「弱い牛への配慮を常に」をモットーとしています。
そのための独自手法の一つを紹介してくれました。

それはTMR給飼のタイミング。
搾乳前にTMR給飼し、牛群が腹八分目になった頃合いに、パーラーへ移動するという方法です。
そうすることで、搾乳が終わった強い牛はベッドへ向かったり、飼槽へ向かっても早々に満腹になったりすることから、弱い牛は、強い牛から威嚇されることなく、落ち着いて、ゆっくりと採食できます。

そのためのTMR給飼タイミングとは、搾乳の20分から40分前がベスト。
「20分で半数の牛が、40分で大半の牛が腹八分目になる」と言います。
それよりも早く給飼すると、強い牛は採食を終えて、ベッドで休息モードに入ってしまいます。
したがって、飼槽側に全頭が立っている状態のときにパーラーへ移動するようにします。
「これが習慣になると、弱い牛から自発的にパーラーに入り、先に飼槽に戻るようになる」とも言います。

シカ対策

北海道は以前からエゾシカによる農林業被害や交通事故などが深刻で、さまざまな対策が行なわれています。
エゾシカによる作物別の被害金額は、牧草が22億5000万円で全体の約5割を占め、次いでビート、水稲、馬鈴薯、デントコーン、根菜類の順となっているそうです。

日高管内K牧場は、以前からエゾシカによる冬期のコーンサイレージ食害に悩まされ、「ひと冬に約500万円の損害を受けた」と言います。
今はバンカーサイロの周囲にシカ柵(ネット柵)を張って防いでいます。

エゾシカは札幌市街近辺にも出没します。
札幌ドームすぐそばにある動物衛生研究部門(動物衛生研究所)北海道研究拠点は、衛生管理区域内にエゾシカなどが侵入しないように電牧を張って防いでいます。

酪農生産基盤の強化には、エゾシカはじめ鳥獣害対策も欠かせません。