《10年前比較》酪農家戸数8700減・乳牛頭数20.5万減 畜産統計

今年2月1日時点の、全国の酪農家戸数は1万5700戸(前年比700戸減・4.3%減)、飼養頭数は132万8000頭(同5000頭増・0.4%増)となったことは既報ですが(7月16日付DJニュース)、5年前、10年前と比べると、はたしてどうなのでしょう。

5年前(平成25年)と比べると、酪農家戸数は全国で3700戸減(-19.1%)、北海道で990戸減(-13.9%)、都府県で2710戸減(-22.1%)です。乳用牛頭数はそれぞれ9万5000頭減(-6.7%)、1万5900頭減(-2.0%)、7万9100頭減(-12.8%)です。

10年前(平成20年)と比べると、酪農家戸数は全国で8700戸減(-35.7%)、北海道で1950戸減(-24.1%)、都府県で6750戸減(-41.1%)です。乳用牛頭数はそれぞれ20万5000頭減(-13.4%)、2万8500頭減(-3.5%)、17万6500頭減(-24.7%)です。

今年は昨年に比べて飼養頭数がプラスに転じたのは朗報とはいえ、まさに生産基盤の強化が急務、待ったなしです。

長靴洗い

北海道根室管内のO牧場は、サイレージ添加剤のタンクを利用して、牛舎の入り口に「長靴洗い」を設置しています。「ここに水道がなかったから」とOさん。ほかにも数カ所に設置していました。

えっ! 牛の背中に乗る?

「うるさくなってきたなと感じたら、発情が始まっているのか、それともこれから発情が始まるのかを判断するために、自分が直接、牛の背中に乗るんです」とAさん。
偶然、そわそわしている牛がいたので、ひょいと飛び乗って見せてくれました。
そしてAさんは、その牛の発情開始時刻を予測して、適期の人工授精タイミングを計算していました。
まさに身をもって現場技術を駆使しています。
詳しくは、Dairy Japan 6月号「ルポ特集/わが家の妊娠率アップ策」で。

「年4回削蹄」+「プログラム蹄浴」でDD抑制

オホーツク管内のKファーム(経産牛300頭)は、以前に悩んでいたDD(趾皮膚炎)の制圧に成功しています。
成功の要因は「年4回削蹄」と「プログラム蹄浴」です。

「年4回削蹄」というのは、3カ月ごとの定期削蹄(全頭削蹄)で、「コストはかかっても、それ以上の価値があります」と言います。

「プログラム蹄浴」というのは、
〔強アルカリ製剤を2日間、その後にイオン化合物を2日間〕×月2回(毎月1日~と16日~)
というものです。

同ファームは、「うちで良いと思っている方法が、ほかの農場にも必ずしも当てはまるとは思いません。ただし、定期的に計画どおり行なうことは必須だと思います。農場ごとに、一番良い結果が得られるプログラムを作っていくのが良いと思います」と言います。

※詳報はDairy Japan 5月号で。

異常が平常化? ホル初妊牛価格

「異常価格」「想定外価格」などと言われ続けている乳牛価格。
平成21年からのホクレン家畜市場での、ホルスタイン種初妊牛価格(月平均価格)の推移をグラフにしてみました。

平成25年までは「約50万円」というのが、いわゆる常識でした。それまでは40万円台の月も珍しくありませんでしたが、それは25年6月の48.8万円が最後で、26年から徐々に上がり始めました。
平成27年になると50万円台後半が続き、同年9月からは60万円超。
そして28年になると70万円超、同年10月は81.1万円、同年12月は95万円と急上昇しました。
昨年(29年)夏頃から80万円台中盤に戻りましたが、春産み需要で今年2月は100万超となりました。

「下がることは間違いない」と言われていますが、この先の動向が読みづらいものです。
ただし「この異常価格で経営感覚がズレないように」という警鐘は鳴らし続けておかなければならないのではないでしょうか。