健康な牛から良質な生乳を

日本乳房炎研究会の学術集会、シンポジウムで、北海道帯広市の中むら牧場・中村寿夫さんが「バルク乳体細胞数を3万個/mlに維持する酪農経営技術」を発表しました。
中村さんは昨年12月に、全頭全乳房出荷で体細胞数3万台を達成しました。
その達成に向けて、中村さんは施設改善、トンネル換気の最適化、搾乳衛生の徹底を始め、良質な粗飼料生産にもこだわったと言います。
そして、そのこだわりは、良質な堆肥生産をスタート地点に置きました。
土作り、草作り、牛作りの土台として良質な堆肥作りが欠かせないと言います。
健康な牛から、良質な生乳を搾るーーそれを究極の形で実現した中村さんの酪農への情熱に、思わず聞き入らざるを得ませんでした。

これで乾乳牛の腹が変わった!

細断オーツヘイS

周産期における乳牛の乾物摂取量(DMI)低下を少なくするために、高繊維・低エネルギーの飼料設計で、乾乳牛用TMRに以前からオーツヘイを使っている北海道十勝管内Y牧場。
「こうしたら、見事に選び喰いがなくなり、DMIがうんと増えて、乾乳牛の腹がホントに変わった。見るからに腹がパンパンに膨れて、ルーメン内はギュウギュウに詰まっている感じ」とYさんは言います。

「こうしたら」というのは、オーツヘイを細かく切断するというもの(写真)。
Yさんは2インチ(約5cm)を目安に、あらかじめ細断しておき、それをTMRミキサーワゴンに投入しています。
ちなみに、このオーツヘイを、乾乳前期用TMRには8kg、後期用TMRには4kg入れます(あとは、コーンサイレージ、グラスサイレージ、乾乳用配合)。

こうして以来、「周産期トラブルはうんと減って、産後の体調も泌乳も順調」とのことです。

広大なとうもろこし畑

s-マイプロジェクト

北海道支局の江成です。
今回の視察で、ネブラスカ州では標準的な規模という
とうもろこし生産農家を視察させてもらいました。
そこでは、とうもろこし生産とともに、肉牛もして生産しています。
3600エーカー(約1460ha)の畑でとうもろこしを作付しており、
それとともに600頭の肉牛を飼養しています。

この農場は、エタノール工場から直接取引することで、
ウェット・ジスチラーズ・グレインを安く手に入れることができ、
低コストの飼料給与を行なっています。
アメリカ国内では、基本的にWDGを飼料へ利用していますが、
日本を含め、海外への輸出する際には、輸送コストなどの点から、
DDGSという形で輸出されています。

今回の視察で訪れたとうもろこし生産農家は、
その生産しているとうもろこしのうち、
約9割をエタノール生産のために出荷しています。

この農家のとうもろこし畑に実際に案内してもらいましたが、
道路の右にも左にも見事にとうもろこし畑が広がっていました。
個人的にはどこまでも続いているのではないかと思うほどでした。

低脂肪DDGS、乳牛への給与に有効

北海道支局の江成です。
今回、アメリカ穀物協会主催の低脂肪DDGS米国視察で、
ネブラスカ州に来ています。
※DDGS=ドライド・ジスチラーズ・グレイン・ソリュブル

まず、ネブラスカ州立大学の教授および生徒に
低脂肪DDGSを三つの畜種(乳牛、肉牛、養鶏)に給与したことで、
どういう結果になったかを講義していただきました。
この畜種のうち、乳牛が有用な結果となったということでした。
油分抽出技術を用い、低脂肪になったことで、
より多くのDDGSを大豆粕の代替原料として加えることが
可能だということでした。

DDGSはすでに日本へ入っており、飼料に含まれています。
低脂肪DDGSは未だほぼ入っていませんが、
今後、輸入され、その量は増えていく可能性があります。

この詳細については、DairyJapan11月号をご覧下さい。

台風の爪痕

台風の被害を受けたデントコーン
台風の被害を受けたデントコーン

取材で栃木県那須塩原市に来ている。

昨日は、大型の台風18号が日本列島を縦断し、各地で被害が相次いだ。

取材の前後に那須地域をまわると、台風の影響で折れ、倒伏したデントコーンが目につく。

ある酪農家は、「今年は収量も期待できそうだったのに。収穫を目前に控えて台風にやられてしまった」と肩を落としていた。

取材で協力をいただいた酪農とちぎ農協・那須高原支所によると、現段階で、管内では台風による施設被害は報告されていないが、飼料作の被害は調査・収集中で、被害実態はまだ把握しきれていないとのこと。

飼料高が酪農経営を圧迫している最中の台風被害。今後の生乳生産への影響を考えると、胸が痛む。