プレ・グループでスムーズな移行を

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写真はカナダ・アルバータ州のある酪農家の哺育舎の様子です。カナダでは写真のような哺育舎をよく見ることができます。

隣の子牛との境にある側壁は、簡単に引き抜くことができます。離乳前1週間から10日の期間で側壁を開放し、1頭から2頭、そして4頭とグループにしていきます。

このグループは育成舎でのグループ管理に馴致させるための、いわばプレ・グループです。急激に大きなグループにすることによる子牛のストレスを緩和させ、スムーズに育成群に移行させるために取り入れられている管理方法です。

余談ですが、カナダはクオータ制度で生産調整を実施していることもあり、容易に規模拡大ができない環境にあります。年々、クオータの売買価格も上昇していると聞き、現在は120頭規模のクオータで4億円程度だとか。

そのため、比較的活発に乳牛資源が流通しているようです。

初妊牛価格はおおよそ3000カナダドル(26万1000円=1ドル87円)。今の日本からすれば、うらやましすぎる価格ですね。

これってどうですか? 牛価格の高騰

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ロボット搾乳での規模拡大を、今春稼働予定で進めている、十勝管内のT牧場。
「この計画は、一昨年の春頃から具体的に進めてきました。ちょうどその頃から、初妊牛価格が上がり始めました。しかし当然のことながら、『だからやめる』などというわけにはいきません。うちのような規模拡大最中の酪農経営にとって、この初妊牛の異常な高値は、まったくもって、よろしくない!」と顔をしかめます。

十勝管内の某JA組合長は、「今のこの牛価格は異常であり、適正価格ではないのですから、『下がることは間違いない』と思っておかなければなりません。ですから注意すべきは、これから先の動向です。今の異常価格で経営感覚がズレてきている部分もあることから、価格が下がれば、経営が回っていかなくなる酪農家が出ないとは言えないかもしれません。したがって、今の異常な高値のうちに、それを見越した経営基盤を作っておかなければなりなりません」と言い、組合員に注意喚起しています。

※詳細は、来週発売のDairy Japan 3月号「特集/これってどうですか? 牛価格の高騰」で。

高乳量の秘訣は?

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先日取材で訪ねた沖縄県のT牧場は、県内でもトップクラスの乳量を誇る牧場です。

この日の搾乳牛1頭当たり乳量は38kg。夏場でも32kg以上を生産するといいます。

沖縄県といえば、暑い季節が長く続き、乳牛は長期間暑熱ストレスに晒されます。おおよそ8ヶ月は30度を超える日が続くため、T牧場では気温の下がる夜間にしっかりと喰い込める管理を心がけています。

「朝は何時から作業をしますか?」の問いに対して、Tさんは「1時から給飼を始めますね」と一言。今まで聞いたなかで、一番早い作業開始時間で、とても驚きました。

分離給与のT牧場では、濃厚飼料は1日6回、粗飼料は写真のように給飼通路に山なりに置いておき、飼槽の状態を見ながら1日に何度も継ぎ足し給与をするとのこと。粗飼料をしっかりと喰い込ませることに専念することで、抜群の乳量と繁殖成績を達成しています。

それにしても午前1時からの作業スタートとは、驚きです。都会に暮らす私の場合、少し夜更かしをすると「そろそろ寝るか」という時間であったりします。Tさんの仕事ぶりを聞き、襟を正さなければと反省したところです。

品質は生産者のプライド

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良質乳生産で定評がある北海道釧路管内のM牧場。
「品質にこだわるのは、モノを生産する者としてのプライドであり、プロとしてあるべき姿だと思う」とMさんは言います。
さらに「うちの子ども達(三男一女)に、『実家の牧場はトップレベルの品質の生乳を生産しているんだよ』と友達に胸を張って言ってもらえるようにしたかったから」と言うMさんの横で、後継者のYさんは大きくうなずいていました。

※詳しくは、Dairy Japan 2月号「ルポ特集/良質乳生産への取り組み」で。

イクメン酪農家のDNA

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写真は先日、取材で訪れた神奈川県伊勢原市の石田牧場のワンショットです。

インタビュー中も作業の取材中も、愛娘をおんぶしている姿が印象的でした。

この日の牛舎作業はご本人と、お父さん、おじいさんの男所帯。聞けば、ご本人が幼少の頃はお父さんが、お父さんが幼少の頃はおじいさんが、それぞれおんぶして牛舎に入ることがままあったとか。

代々続くイクメン家族です。小さい頃から、こうして牛舎や牛達と一緒にいるからこそ、酪農を楽しみ、そして家族の絆が強固なものになっているのだなと感じました。

家族で一緒に仕事ができ、みんなで子育てをすることができるのも、酪農の素晴らしさの一面ですね。