きれいに喰い込む

牛達が本来喰えるエサの量をきちんと食べ切ってもらうことを「きれいに食べてもらう」と表現する根室管内のOさん。
「きれいに食べてもらう」ために、搾乳ロボット牛舎でのPMR自動給飼機による給飼タイミングを試行錯誤しました。

そして今のやり方に落ち着きました。
それは1日6回給飼で、まず、6時・7時半・8時半と立て続けに与えます。
その理由は、「朝は食欲旺盛で採食スピードが速いから」(Oさん)。
その後、10時・14時・16時に自動給飼します。
そして合間に、牛の様子を観ながらエサ寄せを行ないます。
これがO牧場の乾物摂取量(DMI)を高めるバンクマネジメントの一つとなっています。

一方、TMRセンター利用で、「夕方のほうがたくさん食べる」という牧場もあるそうです。
給飼方法(システム)によって、採食パターンは違ってくるようです。

ミルクに付加価値を

新型コロナウイルス感染症が再び感染拡大の兆候にあり、予断を許さない状況にあります。皆様におかれましても、引き続き感染予防に注意をはらい、ご自愛ください。
さて、先日、東京都八王子市のI牧場にお邪魔いたしました。Iさんは酪農を続けるかたわら、平成6年からヨーグルト生産を開始。現在ではヨーグルトのほか、アイスクリームなども製造する6次産業に取り組んでいます。
都市型酪農では土地の制約などによって規模拡大は難しいのが実情です。そこで、乳に付加価値を付ける手段として、6次化にかじを切ったと言います。6次化を進めることで、生乳生産量を増やさずとも収入を拡大し、経営も濃密になったとIさん。
そんなI牧場が乳製品の原料乳として生乳に付した価値は、「幸せな乳牛から搾乳した生乳」。「幸せな母さん牛から搾乳された生乳にこそ価値がある」として、アニマルウェルフェアの向上に努めています。

ひさびさの酪農家訪問

皆さん、おはようございます!

先日は約2〜3カ月ぶりに酪農家さんへ取材に伺いました。

こちらの農場は地域の学校・企業・耕種農家・福祉施設など、さまざまな分野の方々と連携した経営が印象的で、とても興味深いお話を伺うことができました。

また「サラリーマンをやりながら週1で酪農ができるシステム作りを」と話す牧場主の姿に、”専業”というイメージの酪農の働き方に新たな可能性を感じました。

今月発売のDairy Japan8月号、ぜひお楽しみに!

ご縁がありますように

緊急事態宣言が解除され、取材活動を再開させていただきました。
久しぶりにお邪魔する現場は兵庫県のT牧場さま。テーマは「妊娠率アップ策」で、すなわち繁殖成績の向上です。いかに妊娠頭数を確保するか、これはいつの時代も酪農のメインテーマの一つですね。
取材日はちょうど繁殖検診日で、T牧場の繁殖を担当するO獣医師ともお話することができました。
T牧場では分娩後40日以降で全頭フレッシュチェックを実施することや、繁殖検診を月2回行ない、授精チャンスを逃さないよう取り組み、現在は分娩後50日以内にほぼ全頭の初回授精を済ませるまでになっていると言います。また授精後28〜30日でのPAGs検査の実施、約40日でのエコー検診、約60日での再鑑定という細かなスケジュールで妊娠の可否を調べています。これによって、受胎しなかった場合などは積極的に次の授精チャンスを狙えるようになったと言います。
そんなT牧場の取り組みはDairy Japan8月号で。
ちなみに写真は、注入器に5円玉を通したもの。T牧場での授精業務の際に、O獣医師が「ご縁がありますようにというおまじないですよ」と教えてくれました。
皆さんも、受胎するためのジンクスやおまじないをお持ちですか? お持ちでしたらぜひ教えてください。

取材を再開しました

こんにちは。前田真之介です。

新型コロナの影響で中断していた取材活動ですが、6月より状況を見ながら再開しました。伺う農家さんと相談をしたうえで、訪問先に極力インパクトを残さない注意をしながら訪問しました。

今年の年明けから入社をした私ですが、間もなくこのような情勢になってしまい農場に伺うことができずにいました。

久々に訪問して感じたことは、いくら情報媒体で知識を得ようが、実践と経験を伴わないと、ただの「情報」に過ぎないということです。

自主期間中は、記事や書籍と向かい合う時間がほとんどで、ピンポイントで情報を得ることはできました。しかし実際にその情報を生かすべき場所(農場)に伺うと「なぜ、こうなっているのか」「この仕組みの背景には何があったのか」など、視覚的・感覚的に飛び込んでくる情報が多く刺激的でした。

酪農経営が上手くいくための選択肢である多くの技術情報を提供するのが本誌の使命ですが、その技術の背景や、情報をより活かしてもらえるようなところも含めて伝えていきたいです。

ちなみに今回、私は初めて「繁殖」と「つなぎ牛舎・飼料の分離給与」を初めて見ました。「フリーストールなどとはどう違うんだろう。どちらが良いだろう」など、結論が出ない疑問が次々に浮かびます。しかし、伺った酪農家さんに共通していた結論の一つに「牛にとって良いか」が根底にあったように感じます。

もちろん、「経済のために」「人のために」などほかにも要因はさまざまあります。そのなかで今の選択をした農家さんの背景や考えに触れたいのでこれからも動ける範囲で取材へ行き、お話を聴いていこうと思います。農場さんの考えや方針によっても取材受け入れの良し悪しはあるかと思いますので、可能な範囲でご協力いただけますと幸いです。