「ゲノム評価」活用ポイントと注意点

K牧場はゲノム評価を活用しながら、産乳量・乳成分が高く、搾乳作業のしやすい乳房・乳頭・立ち方(肢)の牛群作りを着々と進めています。
さらにOPU/IVF(経膣採卵/体外受精)で改良速度を上げ、牛群が急速に斉一化してきていることを実感しています。

ただし、これらの改良技術を活用する際の注意点も、以下のように語ってくれました。
・自分で選抜圧を高めていかなければ意味がない。
・選抜圧を高めるからには、飼養管理がきちんと伴わなければならない。
・周産期疾病などのトラブルが多いと台無しになってしまう。

※詳しくはDairy Japan 12月号で。

バイオセキュリティの参考に

昨日、岡山県のU牧場にお邪魔しました。
Uさんは昨年実家の酪農場に就農する前は、一般企業でサラリーマンをしていたそう。そのとき、ISOなども学び、就農後の農場管理にもそのノウハウを活かしていると言います。
農場にうかがってまず感じたことは、整理整頓が行き届いているということ。各種書類はきちんとファイルにまとめられ、必要な情報にすぐアクセスできるようになっています。
また、備品や工具も自作の整理棚で、それぞれの「住所」を明確にしたうえで管理されていました。
そんななか、U牧場の入り口に注目しました。家畜伝染病予防のための「関係者以外立ち入り禁止」の表示の下には、車両消毒に使ってもらう消毒薬と噴霧器、来場者の記帳表はもちろん、非接触型の体温計、手指消毒薬が整然と並べられていました。
家畜伝染病予防はもちろん、ここ最近、再度拡大傾向にある新型コロナウイルスの農場への持ち込みリスクの低減もきちんと実施しています。
バイオセキュリティ対策は、農場を守る基本的な事項です。ぜひご参考に。

現場の感覚は常に正しい

「繁殖がうまくまわっていれば乳房炎も少ない傾向にあると思う」と言うKさん(Dairy Japan11月号・ルポ特集「うちの農場の乳房炎コントロール策」)。
こうした現場の感覚や経験則は、きわめて貴重かつ重要で、大切にしなければならないと思います。

そうしたKさんの感覚を裏づける研究報告が、近刊にありました。
「乳房炎による排卵障害および黄体機能異常によって、初回排卵や初回種付けあるいは受胎が遅れ、それにより空胎期間も伸びる」(磯部直樹「炎症反応と繁殖機能」、Dairy PROFESSIONAL vol, 13 特集/今、繁殖を見直そう)。

やはり、現場の感覚は常に正しい!

改良と収益アップのために

先日、兵庫県のN牧場に伺いました。テーマは農場の交配計画。
ゲノム評価やOPU/IVF、性選別精液の利用など、繁殖や改良に関わる技術の開発と普及は日々進んでいます。それらは改良速度を加速させたり、遺伝的価値の高い乳牛を的確に作出することにつながり、牛群全体の生産性向上に寄与します。また、産仔の性を高い確率で判別することは、適正数の後継牛確保につながるだけでなく、F1授精や和牛受精卵移植のチャンスを広げることにもなり、直接的な収入増につながります。
N牧場は近い将来の規模拡大に向け、今は後継牛づくりに注力していると言います。そして、よりレベルの高い牛群づくりを目指すため、未経産牛のゲノム評価の利用を始めたと言います。
どのように牛群を改良し、どのように収益を上げるか、皆さんの交配計画はどのようなプランでしょうか?

質の良い課題を持つこと

皆さん、おはようございます!

さて先日の取材では、初めて農場HACCP会議というものに参加させていただきました。農場HACCP会議というのは、月に一度、牧場の従事者、外部関係者などが集まり、過去1カ月のデータや牛・牛舎環境を見て、目標の達成度合いや新たな課題などについて話し合う場です。
農場HACCP取得農場としてモデル的経営をしていると言われるS牧場ですが、話し合いの中で課題がどんどん出てくることがとても印象的でした。
「課題が出る」ということは向上心の証であり、課題の質の高さに驚かされました。何事にも常に課題意識を持ち、より良い状態を目指していきたいですね。
同取材記事は今月発売の11月号で紹介します。お楽しみに!