みなさん、突然ですが「ベンチマーク」という言葉をご存じでしょうか? 位置を示す水準点を示し、転じて指標を指します。
先のウィスコンシン州立大学の取材で、酪農のベンチマークについて講義を聞いてきました。ベンチマークには大きく、「内部」「経験則」「外部」の三つがあり、「内部」には過去の自分の経営や技術との比較、「経験則」には例えば、資産:負債の比率といった経営分析、そして「外部」は他の経営との比較があるといいます。
自分と「同じサイズ」「同じ地域」「同じ経営スタイル」の農場のデータと、自分の経営データを比較して、経営のどこに弱点があるのかを客観的に知ることが、外部ベンチマークの利用価値です。ウィスコンシン州立大学では、酪農家向けのベンチマークソフトが無償で提供されていて、現在、約400軒の酪農家さんが情報を共有しています(http://cdp.wisc.edu/AgFAnew2.htm)。
外部ベンチマークでわかった弱点を克服すれば、もちろん経営はもっと良くなるでしょうし、皆が弱点を改善していけば、次のベンチマークの機会には比較対象の成績が上がって、よりモチベーションも上がるのではないでしょうか。当然、地域全体の酪農が上向くでしょう。
この取材を通じて、「こんなソフトが日本にもあったら」と、心から思いました。
詳しくは9月下旬発売のDairy PROFESSIONAL Vol.3で!
そうそう、この原稿を書いているとき、その昔、自作PCを組んでCPUのベンチマークテストをしたことを思い出しました。同じことを思い出された方も、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
投稿者: Tomohiro
暑中お見舞い申し上げます
都府県では連日猛暑日が続き、人にも牛にも厳しい夏ですね。心より暑中お見舞い申し上げます。
さて、写真はウィスコンシン州のクロスベンチレーション(横断換気)牛舎の入気側を写したものです。向かって右奥(見えないですが)の側面には、たくさんのファンが設置され、陰圧で換気するトンネル換気牛舎です。
この牛舎の入気側には、クーリングパッドと呼ばれる設備が設置され、細かいフィンに水が流れ、陰圧で空気が抜かれる際に気化熱で導入空気を冷却するものです。牛舎内は外気温よりも低く、よどむことなく流れる空気が牛のヒートストレスを低減させます。実際に、取材時の外気温は約30℃でしたが、舎内は寒く感じられるくらいで、その効果は絶大です。
※ただし、この設備がその効果を発揮するには、低湿度であることが条件のようで、高温多湿の都府県では、かえって舎内環境が悪化することも考えられます。
モチベーションアップ
Dairy Japan9月号の取材で訪れた那須塩原市のI牧場。取材の2日前にTMRミキサーを新調したばかりでした。真新しいTMRミキサーはカッティング性能もミキシング性能も抜群。TMR調製のためミキサーを回す牧場長の様子も、とても嬉しそうでした。
「ルーサンの茎なんかもスパッとカットされているし、何より調製にかかる時間が短くなって気持ちも良い」と満足げな牧場長。調製されたTMRの出来を真剣に確認する姿がとても印象的でした。
真新しい機械は、モチベーションアップにつながりますね。
牛部
取材で栃木県の那須拓陽高校をお邪魔しました。
同校の農業経営科では、酪農家を夢見る生徒が多数在学しています。
昨年、正式に「牛部」という部活が誕生しました。牛部では、日々の乳牛管理から共進会に向けた牛作りなどを生徒が中心となって取り組んでいます。
一般的な部活であれば、目標はインターハイなど同年代が相手の大会になりますが、牛の活躍の場は共進会であり、相手はプロの酪農家です。
そのことが、彼ら、彼女らの大きなモチベーションになっているようです。
ここで指導する先生は、ご実家が元酪農家で将来は後継する予定だったそうですが、牛舎周辺の環境変化や労働力問題などで後継前に離農してしまったとのこと。
それでも牛の魅力や酪農の素晴らしさを伝えたいと、畜産を教えることができる教員になることを決めたといいます。
こうした先生の牛への想いが、生徒たちの牛への期待を高めているのですね。
今年の目標は全共出品!
そのために、目下全力の管理を続けています。
牛乳月間
6月は牛乳月間です。全国各地で牛乳や酪農理解促進のイベントが行なわれています。それに先立って、5月31日に中央酪農会議主催の「六本木牧場」を訪れました。
搾乳体験(疑似)やクイズラリーなどが催され、多くの家族連れが六本木牧場を楽しんでいる様子がとてもほほえましかったことをおぼえています。
私も取材に息子を連れていき、取材の合間に各種イベントを楽しませていました。本人も「とても楽しかった」と大満足の様子。今月は、各地でそんな子ども達の笑顔が見れるかもしれませんね。
皆さんも、楽しいイベントの情報や報告があったら、ぜひDairy Japan編集部までお寄せください。
そして、皆さん一緒に牛乳月間を盛り上げましょう!