関東地方でも梅雨明けが発表され、夏本番を迎えました。
牛も人も暑さは辛いものですね。私が子どもの頃は、都心部でも夏はエアコンなしで寝られた記憶がありますが、今は熱帯夜が当たり前になりました。
牛は人のようにエアコンの恩恵にあずかることができません。もちろん、クールビズのような衣服によるコントロールもできません。
ヒートストレスは顕著にDMIやソーティング(選び食い)に影響します。そしてその影響は乳生産だけでなく、繁殖やもろもろのトラブルの原因になります。
写真の栃木県・K牧場では、ファンによる暑熱対策はもちろん、梅雨以降は朝晩の給飼時間を冷涼な時間に変更することでDMI低下を防いでいます。
「牛の声を聞く」、それがKさんの酪農ポシリーです。
投稿者: Tomohiro
備えあれば憂いなし
写真は栃木県のO牧場のミルキングパーラー地下ピットの様子です。
Oさんは、「毎日使うものは多少金額が高くても、少しオーバースペックのものを選択することで、余裕が持てるし万一の故障にも対応しやすい」と話します。16頭Wのミルキングパーラーはレシーバーを二つ持ち、片側だけでの搾乳も可能にして不測の事態でも搾乳できるようにしました。
そして、写真のように、真空ポンプは予備を用意し、不調時にはポンプを切り替えて搾乳を継続できるようにしています。
牧場にはそれぞれ「お金をかけるところ、かけないところ」があります。Oさんは機械の余裕とバックアップ体制に投資することで、安心して搾れる環境を整えています。
初体験
先日、家畜改良事業団の前橋種雄牛センターに取材でお邪魔しました。
ここでは採精からストローへの封入、凍結まで一貫して生産されています。
目の前で粛々と行われる採精作業を見守りつつ、いろいろなエピソードをお聞きしました。
精子の品質安定と作業の安全のため、採精者と引き手(ブルをハンドリングする人)との阿吽の呼吸が必要であること、決められた作業手順を遵守すること(技術者の作業手順のズレによる品質の差をなくすため)、そして採精時から製品化までどの工程においても個体番号のダブルチェックが行なわれていることなど、細かいマニュアルが存在しています。
そして、ここでは2層式ストロー(FCマックス)の生産の様子も見ることができました。通常の1層式ストローへの封入とことなり、常に封入精子量、希釈液量を目視して細かな調整を重ねながら封入する作業には頭が下がります。「受胎率を向上したい」という技術者の思いが伝わってきました。
また併設される研究所では、製品化された精液の品質チェックをはじめ、性選別精液の製造工程も見ることができました。選別精液では、雌種を90%以上の割合で選別するため、雄種はもちろん不活精子も廃棄されるため歩留まりは相当に低いようです。精度を下げれば歩留まりは良くなるようですが、そこは「きとんと後継牛生産に貢献する」ため、精度を最優先に考えているとのことです。アメリカから導入された技術ですが、すでのその選別精度は本国よりも高いと聞きました。日本人の細やかさが反映された形です。
詳細は9月末発売のDairyPROFESSIONAL Vol.6でお届けします。
省力・低コストの育成牧場
写真は千葉県南房総市の「スノー・フィード中三原ファーム」という育成預託牧場です。同地域の酪農家とスノー・フィード・サービス、雪印種苗が「地域の酪農の労力低減とモチベーションアップ」を目指して作りました。
同地域ですでに稼働中のTMRセンターで調製した育成用フレッシュTMRを給与することで、給飼にかかる手間を省き、省力化を目指していること(将来は1人管理)、そして古電柱や整地で出た杉を製材加工して利用することで、低コストでのスタートを切ることができました。
地域ではTMRセンター、コントラクター、そして育成牧場と作業の外部化が進むことで、「搾乳頭数を増やすことができた」といったポジティブな意見を聞くことができました。
詳細はDairy Japan7月号で!
牛乳月間に向けて
6月1日は「牛乳の日」、6月は「牛乳月間」ということで、Jミルクさまから「牛乳の日・牛乳月間」ポスターが届きました。早速、弊社エントランスに掲示させていただきました。
6月は各地で酪農や牛乳乳製品に関するイベントが開催されます。Jミルク公式ホームページで各地のイベントのとりまとめをしていますので、チェックしてみてください。
Jミルク公式ホームページ:http://www.j-milk.jp/
牛乳の日・牛乳月間イベント:https://www.j-milk.jp/milkday/event.html