ウクライナからのトウモロコシ輸入に期待
2012 年 11 月 22 日
農畜産業振興機構は11月22日、都内でalicセミナーを開催した。セミナーではアルゼンチン、豪州、ウクライナの3国における穀物生産事情について同機構調査情報部が報告した。
このなかで新川俊一審査役は「ウクライナにおけるトウモロコシ生産をめぐる最近の情勢」を報告し、同国で急速にトウモロコシ生産が拡大している現状と、今後、生産量を伸ばす余地があるとして、トウモロコシ輸入において期待が大きいとした。
新川審査役によると、ウクライナは旧ソ連時代、ソ連の食糧生産地帯として畜産に力を入れていた。ソ連崩壊後、その役目を果たし終えた同国は穀物生産に力を注ぎ、急速に収穫面積と生産量を増加させてきた。また政府が認証した倉庫(エレベーター)に保管した在庫量を担保に生産者へ短期資金を融資する「倉庫証券」と呼ばれる融資制度で資金の流動性を高めたことや、利息の50%を助成する制度、優遇された税制措置(FAT)などによって「農業がもうかる」セクターに変化したことが生産量急増の要因。FATは土地評価額の0.03から1%を支払うことで法人税や付加価値税を免除する仕組みで、生産量を拡大しても納税額が変わらないため、生産者によって非常に有利な制度だ。また、「アグロホールディング」と呼ばれる大規模な総合農業企業が出現したことで、規模拡大が急速に進んだことも増産の要因だとした。
ただ、生産設備の老朽化や生産技術レベルの低さが同国の課題で、そのため、品質は米国産に比べて低いのが現状で、反収も向上の余地がある。こうした課題をクリアすることで、今後ますます生産が期待できるという。
新川氏は最後に、現在中国がウクライナと総額30億ドル程度の農業開発プロジェクトについて協議していることを報告し、日本からも技術や金銭的支援をすることで安定した輸入を検討すべきだとした。
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