「気候の変動に対応した自給飼料の生産・利用」をテーマに研究会、開かれる

2012 年 11 月 20 日

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独立行政法人農研機構畜産草地研究所は19日(月)、20日(火)、平成24年度自給飼料研究会を茨城県つくば市で開き、関係者ら約150名が参加した。今回のテーマは「気候変動に対応した自給飼料の生産・利用の展開」。

基調講演で、農業環境技術研究所の長谷川利拡氏は、地球温暖化やCO2濃度上昇などと農業分野との関連を概説し、「地球温暖化が国外の作物生産に及ぼす影響も、国内の需給に影響する。特に主要穀類は特定の国、地域からの輸入に依存しており、世界的な食糧需給の動向や変動に対して脆弱である」とした。

4つの研究が報告された。畜産草地研究所の菅野勉氏は、トウモロコシ二期作および暖地での2年五作体系を紹介した。同研究所の月星隆雄氏は、根腐れ病が全国的にトウモロコシの最重要病害の一つになりつつあることなどを報告し、気温上昇だけでなく降雨量の増加などにより、牧草・飼料作物病害の発生様相が変化している、と述べた。

北海道・畜産試験場の佐藤尚親氏は、積算気温上昇による新たな自給飼料栽培技術として、イアーコーンサイレージ、実子コーン、ライムギと飼料用トウモロコシの2毛作などを紹介した。九州沖縄農業研究センターの田中正仁氏は、乳牛への暑熱の影響などについて報告した。

技術紹介は6事例。畜産草地研究所の甘利雅拡氏は、フォレージテストの現状と平成24年度から取り組まれている「フォレージテスト新システム構築事業」について報告した。生研センターからは、22Kw(30PS)程度のトラクターでも高速作業が可能な「トウコロコシ不耕起播種機」の開発が報告された。それによると播種作業全体の約3分の1の時間が削減されるとし、今年度中の実用化をめざすとしている。

同研究所の佐藤節郎氏は、帰化雑草の発生実態と防除法を紹介するとともに、近く「雑草防除マニュアル」を作成すると報告。同研究所の細田謙次氏は、強い抗酸化活性を示すアントシアニン色素の含有量が高い紫トウモロコシのサイレージを用いた試験結果を紹介し、温暖下での家畜の酸化ストレスに対する有用性を示唆した。

参加者からは、不耕起播種機では4条播種が望ましいなどの質問が出た(これらも視野に入れながら開発中とのこと)。  (文責:関東支局)

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