実証! ICTで労働力削減&生産性向上 北海道別海町 (有)エスエルシー
2020 年 11 月 7 日
東京理科大学の大和田勇人教授らによる「オールICTシステムファームにおける労働力不足解消技術体系の実証」のモデル農場である(有)エスエルシー(売場純代表取締役)で11月6日、地元農業高校の生徒らを対象とした現地講習会が行なわれた。
参加したのは、中標津農業高校、別海高校、標茶高校の生徒(各校5名程度)と関係者ら約30名。
午前は座学、午後は現場視察が行なわれた。
座学では、まず大和田教授がこのプロジェクトの内容と目的などを解説した。
このプロジェクトは、労働力負担が大きい作業(繁殖管理、分娩管理、給飼管理、子牛管理)でスマート技術による労働力の削減と生産性の向上を実証することを目的としている。
さらに、こうした新しい働き方の酪農業を実践・発信することで、従業意欲のある人材を育てること、地域の酪農の担い手輩出に貢献することをねらいとしている。
続いて、同牧場の米内陸真統括マネージャーが、牧場の概要、導入したICTシステム概要として、搾乳ロボット「VMS」、個別哺乳ロボット「カーフレール」、業務データの管理と活用について解説した。
搾乳ロボット導入で作業時間と作業人数が減ったこと、個別哺乳ロボット導入で初生牛(ホル雄、F1、黒毛和牛)の市場出荷価格が市場平均価格比85%から133%に上がったことなど、手応えを具体的な数字を交えて紹介した。
さらに、ICTの目的と効果は、労働力の削減、労働時間の減少、労働負担の軽減、人件費の抑制にとどまらず、高度な情報管理、賢い人材の育成、課題の見える化、業務効率の追求にあると語った。
その後、デラバル(株)の有吉忠広プロジェクトサポートマネージャーが、デルプロ牛群管理ソフト、アクティビティ・メーター、ハードナビゲーター(生乳分析装置)、BCSカメラなどについて詳しく紹介した。
続いて、オリオン機械(株)トータルソリューション部の和田雅樹営業グループ主任が、カーフレールとカーフフィーダーについて詳しく解説した。
現場視察では、ICTシステムの実際を熱心に見学し、質疑応答が活発に行なわれた。
なお、こうした現地講習会は、あと2回の開催が予定されている。
●言葉の解説
【スマート農業(技術)】ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業(技術)
【ICT】情報通信技術(Information and Communication Technology)
【オールICTシステムファーム】生産工程全体にスマート技術を導入しICTを活用する農場
●(有)エスエルシーの概要
□乳牛飼養頭数500頭(うち経産牛290頭)。
泌乳成績で高ランク乳牛には性選別精液で後継牛確保、低ランク乳牛には和牛ETという繁殖方針
□従業員9名(正社員6名、外国人実習生3名)
□2018年に個別哺乳ロボット「カーフレール」導入、2020年に搾乳ロボット「VMS」導入の新牛舎稼働。
現在は、搾乳ロボット牛舎で約170頭搾乳、従来のアブレスト式ミルキングパーラーで約80頭搾乳
※詳報は、Dairy Japan 1月号で。
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