昼間の分娩誘起を期待できる世界初の研究:畜草研、根釧農試らが成果を発表

2012 年 5 月 24 日

Filed under: — admin @ 6:45 PM ニュース

独立行政法人農研機構 畜産草地研究所、地方独立行政法人北海道立総合研究機構根釧農業試験場・畜産試験場および共立製薬株式会社は24日、畜産農家の労力軽減などに役立つ研究成果を発表した。

研究のポイントは、
1)牛の分娩時に胎盤を剥離排出する生理的なシグナル物質を発見。
2)シグナル物質の牛への投与により胎盤停滞のない昼分娩の誘起に成功。
3)畜産農家の労働負担軽減と新生子牛の生存率向上に期待。
としており、概要は次の通り。

  • 農研機構 畜産草地研究所は、牛の分娩後に胎盤が子宮から剥離排出される際に働くシグナル物質(必須脂肪酸であるアラキドン酸の代謝物質:オキソアラキドン酸)を世界で初めて明らかにした。
  • 一方、従来の分娩誘起技術では胎盤停滞の多発が問題となっていたが、北海道立総合研究機構農業研究本部根釧農業試験場、同畜産試験場および共立製薬株式会社との共同により、上記オキソアラキドン酸の投与により胎盤停滞を起こさない昼間の分娩誘起に成功した。
  • これにより、昼に適切な分娩が可能になり、子牛の生存率の向上や、深夜の分娩のための労働負担を軽減することが期待される、というもの。詳細は、同研究所へ。http://nilgs.naro.affrc.go.jp

23年度計画生産実績は724万9000t

Filed under: — maetomo @ 3:04 PM ニュース

 中央酪農会議は5月24日、平成23年度生乳計画生産の実施結果について公表した。発表によると23年度の受託乳量は全国で724万9000t、前年度比98.6%だった。北海道は378万3000tで99.6%、都府県は346万6000tで97.5%だった。 (more…)

震災からの復興に向け150頭規模の牧場を開設:NPO法人と仏ダノングループ

2012 年 5 月 23 日

Filed under: — admin @ 8:33 PM ニュース

23日、NPO法人FARネット(福島農業復興ネットワーク:理事長・伊藤房雄東北大学大学院教授)と、ダノンジャパン社は、震災からの復興と酪農業界に挑む牧場「ミネロ牧場」を福島市内に開設すると発表した。

牧場は、現在ある農場を同NPO法人が借り受け、改修して運用するもの。7月から生産を開始し、今年末までにホルスタイン150頭の規模をめざす。福島県酪農協、ダノンエコシステムファンド、ダノンジャパン社らが協力し、運営には福島原発事故による放射性物質汚染で酪農を休業せざるを得なかった酪農家5名が参加し、生乳は東北生乳販連を通して出荷する。

また同牧場は、共同経営の手法や大規模酪農を学ぶ機会を提供したり、学生や一般の人に対する酪農体験プログラムなどを実施し、酪農への理解を深める場としての役割も目的の一つとしている。

今回の設立に加わったダノンエコシステムファンドは、ダノン(フランス)をとりまくステークホルダーの成長や発展につながる支援を行なうために2009年に設立された基金で、これまで世界で39のプロジェクトを支援してきた。ダノンジャパンのジョージ・ザリフィ社長は「この牧場が日本の酪農の希望となり、第2、第3のモデル牧場が生まれることを願っている」としている。

ダノングループは乳製品などを中心に、180の生産拠点と10万人の従業員を擁する世界的な食品企業。25年前に日本に進出し(現:ダノンジャパン社)、ヨーグルトなど乳製品の製造販売を行なっている。

*関連記事
「特集:東日本大震災から1年 今なお続く現場の混乱」
 Dairy Japan 2012年5月号

オルテック国際シンポジウム2012を開催(会場:米国ケンタッキー州)

Filed under: — maetomo @ 9:21 AM ニュース


オルテック社は5月21日、米国ケンタッキー州で「オルテック国際シンポジウム」を開催した。会場にはオルテック社スタッフや関係者ら約2700名が参加した。

シンポジウムは、オルテック社創立者であり社長のピアーズ・ライオンズ博士の登場とともに幕開けした。
シンポジウムは5月23日まで開催され、各畜産分野をはじめ、水産、馬、ペット、食品産業など多分野におけるセッションが開かれるほか、ヤングサイエンティストアワード授与式やケンタッキー起業家セッションなど多くのイベントとカンファレンスが予定されている。

(取材=前田良)

平成24年度上期の生乳および牛乳乳製品の需給見通しを公表:日本酪農乳業協会

2012 年 5 月 22 日

Filed under: — admin @ 8:26 PM ニュース

社団法人日本酪農乳業協会(Jmilk)は22日、
平成24年度上期の生乳および牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題を公表した。なお同協会は、同見通しを、平成24年3月までの実績を基に予測モデルで推計した後、直近までの動向を考慮し、関係者との協議を踏まえ修正を加えた予測値である、としている。

それによると、
1 生乳生産量は、平成24年度の乳牛のうち2から4歳の飼養頭数は増加することが見込まれ、24年度上期の分娩予定頭数が前年を上回っていること等から、上期の生乳生産量は前年を2.2%上回ると見通される。

2 牛乳類の生産量は全体としては減少基調にあるが、「はっ酵乳」は近年増加傾向にあり、上期も同じ傾向でいくと見込まれる。

3 生乳需給に関しては、上期の北海道から都府県への生乳移出量は、生乳生産量の増加と牛乳等向け処理量の減少から、前年比で減少。しかし、夏場においては関係者間で万全な供給体制を準備するとともに綿密な情報共有が必要で、きめこまかい需給調整を行なっていく必要がある、としている。(文責:関東支局)

詳しくは同協会ホームページで。 : www.j-milk.jp/

暑さに耐える工夫「ややきつい運動の後に牛乳を」:日本生気象学会が公表

2012 年 5 月 16 日

Filed under: — admin @ 9:56 PM ニュース

日本生気象学会(会長:紫藤 治氏)は、このほど「日常生活における熱中症予防指針 Ver.2」を公表した。
これは、近年の猛暑対策や節電対策として作成されたもので、その中で、「暑さに備える工夫」として、次のような示唆が記されている。

****************
暑熱馴化:真夏になる前に暑さに強い体を作る。本格的な季節の到来前の 5から6月に「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる運動を 1日30 分間、1から4 週間実施すると暑さに強い体になる。さらに、その運動直後に、牛乳のような糖質と蛋白質を豊富に含んだ食品をコップ 1から2 杯摂取すると、より高い効果が得られる(同指針より)。
****************

日本生気象学会は、1962年創立。会員の研究分野は医学、工学、地理学、気象学、体育学、生活科学、農学など幅広い分野にわたる。健康と気象、生物と気象、生命と気象、生活と気象を考える学問として、地球環境問題や健康福祉科学なども生気象学のテーマとする。
11月には「東京の真夏の温度を1度下げるには」をテーマに大会を開く。(文責:関東支局)

「世界の乳の祭典(IDFワールドデーリイサミット)」日本大会の開催概要:JIDF

2012 年 5 月 15 日

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15日(火)、国際酪農連盟日本国内委員会(JIDF)の総会ならびに幹事会が開かれ、2013年に日本で開催予定の国際酪農連盟(IDF)ワールドデーリイサミットの概要で記者会見が行われた。

国際酪農連盟は1903年、世界唯一の酪農乳業を代表する団体としてブリュッセルで設立され、現在53カ国が加盟。日本の加盟は1956年で、過去2回、世界大会を主催している。

今回のサミットは、2013年10月28日から11月1日の5日間、横浜で開催される。今回のテーマは「牛乳の再認識 母なる大地からの贈り物 Rediscovering Milk」。
ミルクの本質的価値を見つめ、同じ課題をかかえる世界の国々の人たちと、産業技術や研究の成果を発表し、話し合う。

会期中、広範囲な内容を含み時宜を得た「特別講演」、「フォーラム」、約80もの「一般講演」および150余にのぼる「ポスター講演」、乳業や酪農場、研究施設などを見学する「ツアー」などが企画されている。また展示ブースも設けられる。
特別講演などの内容は今秋頃までには決まる予定。

日本委員会の田中要組織委員会委員長は「乳業関係者だけでなく、酪農家、酪農関係者の皆さんにも、広く参加して欲しい。そのための情報発信も、そのつど行なっていきたい」と述べた。

なお会議は、総会を除いて英語が用いられるが、同時通訳が提供される。
*問い合わせは
国際酪農連盟日本国内委員会(事務局:乳技協内)。(文責:関東支局)
*同サミット・ホームページ: http://www.WDS2013.com

森永乳業 新社長に宮原道夫氏

2012 年 5 月 14 日

Filed under: — maetomo @ 5:44 PM ニュース

森永乳業は5月14日、取締役会において代表取締役の異動を決議したと発表した。新たな代表取締役社長には宮原道夫氏(現 代表取締役副社長)が選任された。古川紘一・代表取締役社長は取締役相談役に就任する。

宮原氏は昭和50年4月に同社入社後、平成15年6月に執行役員生産技術部エンジニアリング担当部長、平成17年6月に常務執行役員生産技術部長、平成19年6月に専務取締役などを歴任した。平成23年6月から現職。

震災の影響を受け減収減益 森永乳業

Filed under: — maetomo @ 5:31 PM ニュース

 森永乳業は5月14日、平成24年3月期決算短信を発表した。同期の連結売上高は5782億円で前期比47億円の減収だった。営業利益は131億円で同57億円の減益だった。
 減収要因について三浦幸男・専務取締役は「震災の影響による減収は約40億円。このうちサプライチェーンの寸断や電力需給問題によってヨーグルト部門で10億円、牛乳類で10億円、その他で約10億円の減収となった。またアイスクリームは前期が猛暑だったこともあって13億円の減収、飲料も12億円の減収だった。12月以降に回復したが、トータルで47億円の減収となった」と説明した。
 森永乳業単体の販売実績では、牛乳類は739億9700万円で前期に比べ28億5200万円の減収だった。PB商品が減少したことなどが主な原因で、主力の「森永のおいしい牛乳」は106%、「まきばの空」(成分調整牛乳)はほぼ前年並みだった。セグメント別で好調だったのがチーズ。448億3900万円で前期比11億1800万円伸びた。
 25年4月期は売上高5900億円、営業利益130億円を予想している。

「希望の牧場 ふくしま」プロジェクトが、東京都内で写真展を開催

2012 年 5 月 11 日

Filed under: — admin @ 8:44 PM ニュース

5月11日(金)、東京都内のギャラリーで「希望の牧場 ふくしま」プロジェクトが、写真展を開いた。これは、福島原発事故の警戒区域内に、いまも生存している家畜の命を知って欲しいという願いによるもので、約70枚の写真が展示されている。

福島原発から半径20キロ以内の警戒区域内で飼養されていた牛は約3000頭、うち半数が餓死や安楽死させられ、現在は主に1000頭以上の肉牛が半野生化し、生存していると推計されている。同プロジェクトは、これらを被爆の研究・調査のために活して欲しい、としている。

福島県浪江町のエム牧場には現在、約300頭の牛が生きている。吉沢場長は「経済価値がなくなったからといって、生きている牛を殺すことはできない。放射性物質の許容値で使えなくなった牧草ロールがあれば、それを有効活用することで、牛の生命が保たれる。千葉県の酪農家さんからロールが提供されたことで、安楽死への同意を撤回した農家もいる」と言う。

酪農では、スタンチョンに繋がれたまま餓死しミイラ化した牛と、事故後に誕生したホルスタイン子牛の2枚が展示されていた。農水省は4月5日、継続飼養を一部認めたが、「子孫も含めた出荷、移動、繁殖の制限」があり、乳牛は飼養できないのが現実。写真展は14日まで開かれる。

「希望の牧場」プロジェクトでは、サポーター基金を募集している。(文責:関東支局)
詳細は http://fukushima-farmsanctuary.blogzine.jp/

*関連ニュース(4月22日)
「警戒区域内のウシの活用を探る」シンポジウム:応用動物行動学会が現地で開く

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