乳牛(酪農)は「へー!」「なるほど!」が尽きません。
そのひとつがこれです。
「ストレスを感じやすい牛は、立っている人の右側を通過しやすい。
それは恐怖や不安を司る右脳で情報を処理するために、左目で対象を捕捉する必要があるためである」
(Dairy Japan 9月号 こばなしこうし~牛の心理学~より)。
ひょっとして、複列式ミルキングパーラーでいつも右列に入る牛は、そうした心理も関係しているのでしょうか?
興味が広がります。
ウシの気持ちを知りたい~書籍レビューブログVol.11~
農場で働く酪農家の皆さん、従業員の皆さん。牛の声が聴けたならどれだけいいことか。と思ったことはありませんか?「今!今乾草食べたい!」「今肢痛くて歩くのしんどい」「ちょっと一服したい(おっとこれは人間の声でした……)」って。
声が聞こえてきたらすぐに対応できますよね。当然そんな声は聞こえず、楽なものではありませんよね。しかし「習性」というのは一つ、牛達が発信するシグナルの一つです。
田中 義春 著 3619円+税
そんな牛達の発信するシグナルを読み解き、一乳期のなかで起きる牛の欲求や行動を理解することができます。
今までご紹介したものは、発情発見~受胎率UPに必要な方法などでしたが、本書はそこで牛が表す行動を示し、適切な対応を取れるように解説しており、そのうえで乾乳~分娩~泌乳の生産性を高めるには何が必要かを教えてくれます。
牛の嫌がる環境や喜ぶ環境の説明、分娩前後に必要な栄養や環境の説明など。分娩を基準にした一乳期の乳牛管理について幅広くまとまっているので、これ一冊で得られる情報が多いです。経営者のみならず、携わる方全員に役立つと思いました。
農場から伝染病リスクを守ろう
毎日、暑い日が続いています。人も牛もバテ気味のことと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、農場にはさまざまなリスクが存在しますが、このうち今回話題にしたいのは、感染症対策です。
農水省は6月30日、新たな「飼養衛生管理基準」を公布しました。施行は今年10月1日です(一部はその後に施行)。この飼養衛生管理基準は家畜伝染病予防法に定められた監視伝染病(口蹄疫やヨーネ病、プロプラズマ病などの家畜伝染病と、サルモネラやBSEといった届出伝染病)を予防するための管理基準で、家畜の飼養者はその遵守が義務付けられています。とはいえ、飼養衛生管理基準の遵守は、監視伝染病を防ぐことにつながるだけでなく、乳房炎の防除や下痢・肺炎の発症リスクを下げることにもつながる有益な技術です。ぜひ、そうした視点からも取り組んでみてください。
今回の改定は、乳牛においては口蹄疫など重大な伝染性疾病の感染リスクがあることから、前回の飼養衛生管理基準より踏み込んだ内容となりました。
新たな飼養衛生管理基準は
Ⅰ:家畜防疫に関する基本的事項
Ⅱ:衛生管理区域への病原体の侵入防止
Ⅲ:衛生管理区域内における病原体による汚染拡大防止
Ⅳ:衛生管理区域外への病原体の拡散防止
の大きく四つで構成され、それらの枠を超えて38項目の基準が設定されています。
乳牛の所有者の責任が明確化され、関連法令の遵守をはじめ、伝染性疾病の発生や蔓延防止のための情報収集、防疫体制の構築、農場の管理マニュアルの作成と遵守などが明文化されています。また、口蹄疫をはじめとする伝染性疾病が発生した際に、放牧の中止や制限がかかる場合に乳牛を管理できる畜舎などの整備と移動準備が求められることになります(施行は令和3年10月)。
また、これまで農場に訪れる人や農場外から持ち込む車両、モノの洗浄・消毒は必要だったことに加え、新たに農場外に人が出る際、また農場外に車両やモノを搬出する際にも洗浄・消毒が必要とされるようになります。これは病原体やウイルスを農場に持ち込まないという考えに加え、農場外に持ち出さない観点も盛り込まれたものです。
新たな飼養衛生管理基準の詳細については、以下を参照してください。詳細は以下を参照してください。
Dairy Japanでは、2020年9月臨時増刊号『Dairy PROFESSIONAL Vol.18』で、新たな飼養衛生管理基準について詳しく解説しています。新たな飼養衛生管理基準を知り、その対応を考えるために、ぜひご一読ください。
牛のきれいさに感動
皆さん、おはようございます。
先日、神奈川県の牧場に取材に伺いました。
2軒伺ったのですが、どちらの農場もとにかく牛がきれい!
部外者の私が牛舎に入っても全く動じない大人しい牛達。
ゆったりとした静かな空間で思わず私も寝転びたくなるような、居心地の良い農場でした。
どちらの農場も今年3月に農場HACCP認証を取得したばかりで、構築のポイントやメリットを教えてもらいました。
詳しい内容はDairy Japan10月号で紹介します。お楽しみに!
ぜひとも飼料の見直しを~書籍レビューブログVol.10 ~
皆さんは、エサの見直しってどの程度行なっているんでしょうか?農場によっても、地域によっても全然違いますよね。「順調に喰っているよ」という方、是非とも秘訣を教えてください。
牛の食事も随分と幅がありますね。生もの(生草)から漬物(サイレージ)、きちんと料理されたものまで(TMR)幅広いです。
そんな牛のためのグルメ書籍をご紹介します。
本書を読んでみて、飼料それぞれの「特徴」「使い方・注意点」「給与事例」などを端的にまとめてあり、必要な情報にすぐにアクセスすることができるなと思いました。同時にこんなに種類があったのか。と驚きました。
本書に記されている主な項目は、
・生草(寒地イネ、暖地牧草、ソルガム)
・サイレージ(オーチャード、イネWCS、トウモロコシWCS、イアコーン、コムギWCS、オオムギWCS、バレイショデンプン粕、茶系飲料粕、竹、)
・乾草(アルファルファやチモシーをはじめとした流通飼料10種、輸入系など)
・穀物/豆腐(濃厚飼料原料などなど)
・糟糠類(フスマ・米ヌカ類)
・油粕類(大豆粕・ナタネ粕)
・副産物資源(エコフィードなど)
・TMR(基礎的な情報から、給与方法、二次発酵対策など)
・特殊飼料(バイパス油脂・ビタミン・マクロミネラル・抗酸化物質など)
それはそれは細かく丁寧に載っています。
飼料の再設計や「こんな要素が欲しい」などのタイミングで役に立つのではないでしょうか。
飼料メーカーさんや栄養系メーカーさんのお役にも立つと思います。
今はエサの調達方法もさまざまですが、どのようなものを給飼しているかは、生産者の皆さんは共通して知っておくべきことではないでしょうか。ぜひとも飼料の見直しを!