変則4回搾乳

「新しい技術を導入することなく、今までの技術のままで乳量が増える方法」として「変則多回搾乳」があります(Dairy Japan 2009年3月号 P.26参照)。
以下は、十勝管内・N牧場の、その体験談です。

変則4回搾乳、やりましたよ。
分娩後1カ月までの牛を最初に搾って、(家に)上がる前に、もう1回搾ったんです。
(搾乳間隔は)3時間くらいは空けたかな。
初産牛は、明らか効果がありました。
乳房の張り方が違うんです。
(1カ月後に)2回搾乳に戻したときに、明らかに出そうな乳房になるんです。
だから初産牛だけでもやればいいのかも。

将来のショウを担うリードマンたち

昨日の朝、「2009 北海道ホルスタイン ナショナル ショウ」のプログラムの一つ、リードマンコンテストが行われました。
これは将来のショウを担うリードマンが腕前を披露し、それを講評してもらうというものです。
クラスは、小・中学生の部、高校生1年・2年・3年の部の四つです。
見ていると、出場者の内心ドキドキ感が伝わってきます。
それでも堂々としたもの。
「常に牛の姿勢を整え、頭を高く掲げている」「足の配置が正しい」「歩行が安定している」「常に審査員を見ている」などと講評を受け、とても、たのもしく感じました。

「重要品目をどうやったら守れるか」の議論無し状態は危険

農業界はもちろん財界も、そして政界も、EPA/FTAを積極的に推進する動きが見られなくなった。
これは非常に危険な事態だ。
「失敗した」「困った」という事態が、やがて起こりかねない。
――と言う神門善久教授(明治学院大学経済学部)。
今週、その神門教授と一緒に、網走管内の牧場を訪問させていただく機会がありました。
神門教授の説明は、さらに続きます。

例えば、オーストラリアとのEPA/FTA。
日本近隣のアジア諸国、とくに中国が締結すれば、今まで日本がオーストラリアに頼っていた物資が、今までと同様に安定供給されるとは限らなくなる。
そうなれば、いくら反対しようが、いやおうなしに日本も締結せざるを得なくなるが、そのときは、もはや手遅れの事態も大いにあり得る。

なお、EPA/FTAについて間違った解釈をしているのでは?
わが国のEPA/FTAの前例を見ると、すべての品目をゼロ関税にしているわけではない。
ならば酪農では、乳製品を重要品目とするように備えておき、そのうえでEPA/FTAを活用し、日本がアジア圏でリーダーとなることこそ、賢いやり方なのではないか?

聞こえてくるのは「絶対反対」ばかりで、「重要品目をどうやったら守れるか」という議論が一つも行われていないことは、極めて危険である。

――どう感じられましたか?
その神門教授からの、日本の酪農産業への提言、「冷徹な金融界の目に晒されることで、酪農家は活性化する」が、9月25日発刊のDairy Japan10月臨時増刊号「人を活かす 酪農場マネジメント」に盛り込まれています。
ご期待ください。

事業に失敗するコツ10カ条

十勝管内F牧場の社長さんの机の横には、「事業に失敗するコツ10カ条」なる心得が置いてあります。
これは愛知県の施設屋さんから、いただいたものだそうです。
凄腕の経営者として知られるその社長さん、「これをさらに一ひねりしてみたり、他の言葉に置き換えたらどうなるかなどと考えたりして見ています」とのことでした。

《事業に失敗するコツ10カ条》
一 昔ながらのやり方がいいと信じている。
二 モチ屋はモチ屋だとうぬぼれている。
三 「ひまがない」と言って勉強しない。
四 むやみやたら骨を折る。
五 「どうにかなる」と考えている。
六 いいものはだまっていても売れると安心している。
七 人を安く使うのがトクだと思っている。
八 仕入れ代金はなるべく支払わぬ工夫をする。
九 客は「わがまま過ぎる」と考えている。
十 「そんなことは出来ない」と言って改めない。

後継者、スタッフに、どうしたら活躍してもらえるのか?

一昨日(26日)の晩に札幌市で、札幌市主催の「人事担当者・管理職向けセミナー」が開催されました。
講師は、弊誌にたびたび執筆いただいている平岡祥孝教授(札幌大谷短期大学部、近著はDairy Japan6月増刊号「ミルクの本/牛乳の消費拡大に向けて」)で、今回のセミナーのテーマは「ミドルの仕事―仕事で育て、仕事で育つ―」でした。
平岡教授は、ご専門は牛乳のマーケティングですが、こうした人材マネジメントなどについても造詣が深いことで有名なのです。
この日は、各企業の人事担当者がたくさん参加しました。

セミナーに参加してまず感じたことは、どの企業も、管理職と今の若者世代にはいろんな溝があるのだということ、その若者(人材)にどうしたら活躍してもらえるのか模索しているのだということ、でした。
酪農も、後継者やスタッフに対して同じですね。

では、それをどうするか?
そのアイデア・ヒントとして、人を育てる人の力量と腕前として、以下の七つが紹介されました。
1. 観察力:若手をよく観る。
2. 傾聴力:若手の話をよく聞く。
3. 伝達力・教育力:若手が理解できるように伝える。
4. 思考力:考えて、考えて、考えぬく。
5. 仕事の見直し:時間的、精神的余裕を生むようにする。
6. 結果評価と過程評価:結果を評価するだけでなく、そこに至るまでの過程(プロセス)も評価する。
7. 「気づき」と「思いやり」:「自分を大切にしてくれている」という実感を持ってもらう。

なお、平岡教授には、これから発刊するDairy Japan10月増刊号「人を活かす 酪農場マネジメント」(9月25日発刊)でも、それに関連した内容をご執筆いただきました。
乞うご期待!