逆転の発想

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写真は静岡県のM牧場のフリーストール牛舎で横臥する乳牛です。
M牧場はオートスクレーパーや通路マットとの関係から、敷料をふんだんに使用することが難しいため、あえて敷料を使わない管理を選択しました。
そこで、柔らかく厚みのあるウレタン製のマットレスを使うことで、カウコンフォートを確保することにしました。
普段からきれいなベッドを保とうと、除糞を徹底していたMさんですが、「濃霧の日の除糞は湿度のためか、普段以上にベッドをきれいにすることができた」ことに気づき、以降、ベッドを水洗することを思いついたと言います。方法は、マット上にジョーロで水をかけ、通常どおり除糞し、その後に次亜塩素酸水を噴霧するというもの。通常の除糞作業にちょっとプラスするだけで、手間はあまり変わらず、それでいて体細胞数は低位安定したといいます。
「敷料を使えない」から得られた逆転の発想です。

牛部の活動

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6月26日のスタッフブログで紹介した、栃木県立那須拓陽高校の牛部を取材してきました。
1年生から3年生まで、22名の部員が放課後、搾乳や給飼、除糞などの一般管理をはじめ、毛刈りや調教、リードの練習などに励みます。
取材日は全共出品を目指して、入念な調整をしていました。
部員のほとんどは非農家の子弟で、高校に入ってから牛と触れ合ったというケースが多いといいます。
彼ら、彼女らが酪農について、そして牛について、どのような疑問を持っているのかもアンケート形式で協力してもらいました。
それらの疑問と、その回答は来年の1月号からDairy Japanでお届けする予定です。ぜひ、お楽しみに!

農場のベンチマーク

 みなさん、突然ですが「ベンチマーク」という言葉をご存じでしょうか? 位置を示す水準点を示し、転じて指標を指します。
 先のウィスコンシン州立大学の取材で、酪農のベンチマークについて講義を聞いてきました。ベンチマークには大きく、「内部」「経験則」「外部」の三つがあり、「内部」には過去の自分の経営や技術との比較、「経験則」には例えば、資産:負債の比率といった経営分析、そして「外部」は他の経営との比較があるといいます。
 自分と「同じサイズ」「同じ地域」「同じ経営スタイル」の農場のデータと、自分の経営データを比較して、経営のどこに弱点があるのかを客観的に知ることが、外部ベンチマークの利用価値です。ウィスコンシン州立大学では、酪農家向けのベンチマークソフトが無償で提供されていて、現在、約400軒の酪農家さんが情報を共有しています(http://cdp.wisc.edu/AgFAnew2.htm)。
 外部ベンチマークでわかった弱点を克服すれば、もちろん経営はもっと良くなるでしょうし、皆が弱点を改善していけば、次のベンチマークの機会には比較対象の成績が上がって、よりモチベーションも上がるのではないでしょうか。当然、地域全体の酪農が上向くでしょう。
 この取材を通じて、「こんなソフトが日本にもあったら」と、心から思いました。
 詳しくは9月下旬発売のDairy PROFESSIONAL Vol.3で!
 そうそう、この原稿を書いているとき、その昔、自作PCを組んでCPUのベンチマークテストをしたことを思い出しました。同じことを思い出された方も、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

暑中お見舞い申し上げます

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都府県では連日猛暑日が続き、人にも牛にも厳しい夏ですね。心より暑中お見舞い申し上げます。
さて、写真はウィスコンシン州のクロスベンチレーション(横断換気)牛舎の入気側を写したものです。向かって右奥(見えないですが)の側面には、たくさんのファンが設置され、陰圧で換気するトンネル換気牛舎です。
この牛舎の入気側には、クーリングパッドと呼ばれる設備が設置され、細かいフィンに水が流れ、陰圧で空気が抜かれる際に気化熱で導入空気を冷却するものです。牛舎内は外気温よりも低く、よどむことなく流れる空気が牛のヒートストレスを低減させます。実際に、取材時の外気温は約30℃でしたが、舎内は寒く感じられるくらいで、その効果は絶大です。

※ただし、この設備がその効果を発揮するには、低湿度であることが条件のようで、高温多湿の都府県では、かえって舎内環境が悪化することも考えられます。

モチベーションアップ

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Dairy Japan9月号の取材で訪れた那須塩原市のI牧場。取材の2日前にTMRミキサーを新調したばかりでした。真新しいTMRミキサーはカッティング性能もミキシング性能も抜群。TMR調製のためミキサーを回す牧場長の様子も、とても嬉しそうでした。
「ルーサンの茎なんかもスパッとカットされているし、何より調製にかかる時間が短くなって気持ちも良い」と満足げな牧場長。調製されたTMRの出来を真剣に確認する姿がとても印象的でした。
真新しい機械は、モチベーションアップにつながりますね。