指定団体制度の維持を訴える
2016 年 6 月 1 日
中央酪農会議は6月1日の牛乳の日、都内で記者説明会を開いた。会見に先立ち迫田潔専務理事は、「牛乳の日にちなみ、生産者に酪農の現状や生乳の安定供給のために指定団体などが果たしている役割を再認識してほしい」と趣旨を説明した。
日々の需給調整に指定団体は不可欠
東京大学大学院の矢坂雅充准教授は「日本のミルクサプライチェーンにおける指定団体制度の役割」を講演し、指定団体制度の維持を訴えた。
矢坂潤教諭は「不足払い制度発足から50年経つが、そのなかで酪農政策として最も実機能を果たしてきたものが指定団体制度。指定団体は、設立当時は深刻な乳価紛争が続き、乳業から自立した酪農生産者の農協組織が必要だった。こうした生乳販売に特化した農協組織は世界でも珍しいケース」と指定団体の歴史を紹介した。
さらに、「生乳は腐敗しやすい特性があり、また水分も多いので流通コストもかかる。このため、需給がアンバランスになったとしても、在庫として持ち続けることはできない。日々の需給調整が必要になる。余ったときは乳製品に加工して在庫しなければならない。指定団体が日々、これらの需給調整をしているから安心して生産できる」と指定団体の機能を解説した。
規制改革会議の指定団体制度改革のうちアウトサイダーへの補給金交付などについて、「不需要期に道外販売が困難になった際、乳業メーカーに加工委託すると補給金が交付されるとすれば、アウトサーダーにとって最低保障乳価ともなりうる」としたうえで、「アウトサイダーへの補給金交付は道外への生乳販売をいっそう促し、ホクレンや全農の需給調整機能を低減させることにもなりかねない。こうしたことからアウトサーダーへの補給金交付はイコールフィッティングを保障するものであるという提案は極めて形式的な根拠に過ぎず、それらがもたらす影響を無視した無責任な提案である」と述べた。
指定団体があるから安心して搾れる
愛知県刈谷市の清水牧場・清水ほづみさんは、酪農家の立場として指定団体制度の維持を訴えた。清水さんは、「指定団体は、私達のできない生乳の販売をし、毎日売り切ってくれる大切な組織。販売をきちんとしてくれるから搾乳時間を作れ、今の酪農ができている。日々の管理など当たり前のことができるのは、指定団体に守られていると考えている。だから、毎日、安心・安全な牛乳を生産することができる」と指定団体制度の必要性を訴えた。
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