性選別精液(Sort90)の受胎率アップ!:家畜改良事業団
2014 年 6 月 24 日
一般社団法人家畜改良事業団は、新しく開発したストロー充填技術※1(二層式新ストロー:特許申請中)を性選別精液(Sort90)にも適用し、従来型ストローに比べて大幅に受胎率が向上することを実証した。
近年、ホルスタイン種の受胎率が低下しており、家畜改良事業団は、このような状況を打開すべく試験研究を重ねてきた。この新ストロー充填技術は、雌雄の産み分け処理をしていない精液を用いて未経産牛から経産牛まで人工授精し、受胎率は従来型ストローと比較して約6%高いことが確認されていたものであり、その最新技術を平成22年度から性選別精液にも導入してきた。
家畜改良事業団は、平成19年7月から26年2月までのホルスタイン種における受胎モニタリングの成績をまとめた結果、未経産牛、経産牛ともに、従来型ストローと比較して二層式新ストローの受胎率がそれぞれ46.7→52.7%、32.5→38.9%と、約6%向上することを確認した。二層式新ストローのSort90は経産牛においても、性選別していない通常の凍結精液を用いた場合の受胎率と遜色のないレベルにある。
家畜改良事業団では、この結果を踏まえ、今後、二層式新ストローを使った性選別精液について、ホルスタイン種に加え、黒毛和種のSort90の供給も充実させていく予定。
【解説】
※1:最新のストロー充填技術(二層式新ストロー)
ストロー内で凍結された牛精液は、液体窒素内(-196℃)で保管され、雌牛が発情した時に融解して人工授精に用いられている。
本技術は、ストロー内に精液の入った層と精液を含まない希釈液の層を設けた二層構成にした点と希釈液の改良がポイント。精子を凍結保存するときには、凍害保護物質を精子が死滅しないようにするために添加するが、凍結精液を融解した後には、その保護物質が逆に精子にダメージを与えていると言われている。凍害保護物質の影響を少なくすることが、ひとつのポイントであり、さらに、希釈液の中には精子のエネルギー源となる糖が含まれている。
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