震災時、牛乳供給は15日後にほぼ回復
2014 年 5 月 8 日
日本乳業協会は5月8日、震災時における乳業の対応について最終報告をまとめ、発表した。これは東日本大震災を振り返り、首都直下型地震が発生した場合に乳業が製品の安定的な供給体制を構築するうえで必要なことや、震災時に向けて準備しておくべきことなどをまとめたもの。
日本乳業協会では平成24年4月までに乳業界の災害対応の中長期的課題を、「乳業工場の防災機能の強化」「乳業工場の再配置・補完体制の検討」「育児用調製粉乳の災害時対応体制のあり方」の三つに整理した。そして、平成24年4月以降、首都直下地震を対象として「工場稼働分科会」「共通包材分科会」「粉ミルク備蓄分科会」の3部会を設置し、それぞれの対応を検討してきた(1都8県、10社28工場)。今回発表した最終報告書は、これらの検討を整理・まとめたもの。
「工場稼働分科会」では、上下水道やガス、電気、物流などのインフラが通常時と同様であると仮定した場合、牛乳類は震災発生後15日で通常時の93%まで、30日目には100%生産が回復するとまとめた。同様にプレーンタイプのはっ酵乳の生産は30日目までに89%、粉ミルクは30日目までに100%回復するとした。
「共通包材分科会」では、震災時に包材メーカーの生産力や在庫数量から各メーカー共通の包材を使うことで包材の流通を確保する必要性について検討してきた。その結果、共通包材を作らずとも、各メーカーが製造品目を絞り込むことで対応可能であることがわかった。このため、各乳業は量販などと絞り込み品目を事前に決め、同様に包材メーカーとも優先包材を決めておくことなどの対応が必要だとしている。
「粉ミルク備蓄分科会」では、震災後の粉ミルク備蓄量の過不足が焦点となった。分科会の調べで、各乳業では東日本大震災以降、粉ミルクの在庫倉庫の改良や改善を行ない、さらに在庫量を積み増したことから、通常時においても1.4カ月ぶんの在庫を確保しているがわかった。さらに物流在庫や家庭内在庫を加味すると2カ月ぶん以上の在庫があると想定されることから、安定供給の観点から問題はないと判断した。ただし、将来的には国費に頼る食料備蓄と業界の自助努力部分との統合を課題としている。
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