超音波(エコー)でこんなこともわかる 北海道しゃくなげ会
2014 年 2 月 15 日
北海道しゃくなげ会(事務局/ZENOAQ 日本全薬工業(株) 北海道営業所)は2月14日、札幌市で総会および研修会を開催した。
全道から獣医師をはじめ関係機関などから約250名が参加した。
今回の研修会テーマは「これからの個体診療を考える-画像診断と外科的アプローチ-」。
田口清教授(酪農学園大学獣医学群)は、「これからの個体診療を考える。大動物の画像と外科」と題した基調講演で、個体と集団の獣医療の在り方に触れた後、繁殖領域で普及しているポータブルの超音波(エコー)画像診断装置を用いた個体診療における、診断、治療、予防の近況を、多数の症例スライドで紹介した。
第四胃疾患では診断、蹄病では治療、ダウナー牛では予防が、正確かつ十分に可能であることを解説した。
その後、臨床現場からの報告として、以下5名の獣医師が講演した(敬称略)。
「乳牛の感染性蹄関節炎の超音波検査」中村聡志(オホーツクNOSAI)
「携帯型超音波画像診断装置を用いた股関節脱臼・股関節亜脱臼の診断方法」末永龍太(道南NOSAI)
「牛の感染性関節炎における関節切開術の治療経過と予後」木村邦彦(釧路地区NOSAI)
「第四胃左方変位(LDA)を発症した乳牛へのユトレヒト変法を用いた整復手術の紹介およびポータブルエコー診断装置を用いたLDA診断」森田稔(上川北NOSAI)
「次世代の診断ツール『サーモグラフィー』の牛臨床への応用の可能性」山村拓(十勝NOSAI)
ZENOAQコーナーでは、後藤篤志獣医師(ZENOAQ 学術部)が「カーフサポートエナジー」を紹介した。
総合司会を務めた小岩政照教授(酪農学園大学獣医学群)は、2012年度の北海道NOSAI加入成乳牛における死廃状況を報告した。
死廃頭数は4万1753頭、頭数被害率6.7%、被害額94億円。
運動器病の頭数被害率は24%(23億円)と最も高く、その内訳は、脱臼(39%)、関節炎(26%)、骨折(3%)の順。
運動器病は適正な治療処置とケアが求められる疾病であり、早期における正確な診断と病勢評価が予後を左右すると語った。
TrackBack URL :
Comments (0)