認知症とミルクの効用:メディアミルクセミナー開催
2013 年 10 月 9 日
一般社団法人Jミルクは、10月8日、都内で、第34回メディアミルクセミナーを開催した。
今回は「急増する認知症の予防:食事の重要性とミルクの効用」と題して、九州大学大学院医学研究院の清原 裕教授が講師として招かれ、追跡調査による認知症の発生状況報告と牛乳・乳製品の摂取による改善効果に関する講演された。
追跡調査のモデル地区である福岡県久山町では、1961年から50年にもわたり生活習慣病の追跡調査が行なわれており、生活レベルが日本の典型的平均レベルで、偏りがほとんどない。この町での65歳以上の高齢者を対象に調査してきた結果、認知症、なかでも頻度が高くなっているアルツハイマー病(AD)の有病率は時代と共に年々増加傾向にあり、血管性認知症(VaD)は1998年まで減少傾向であったが、2005年に増加傾向に転じていることがわかった。
また60歳以上の高齢者対象の75g経口糖負荷試験によって判定した結果、糖尿病はADおよびVaDの共通した危険因子であり、とくにADとの関連が強い傾向にあり、その要因として国民レベル(2人に1人の割合)で糖尿病が増加していることが挙げられる。現在、日本全国の認知症高齢者は500万人を超えており、今後高齢社が増え続ける30年間で倍の1000万人以上の認知症高齢者が出現することになるだろうといわれている。一方栄養調査を60~79歳の高齢者の食事パターンが認知症に与える影響について検討したところ、牛乳・乳製品、大図製品や豆腐、緑黄色野菜、淡色野菜、藻類の高摂取と、米の低摂取などの食事パターンが、ADおよびVaDを優位に低下させる結果となった。牛乳・乳製品はとくに有意で、摂取すればするほど発症率のリスクを低下させる傾向にあることがわかった。これには乳中のカルシウム、マグネシウムが大きく関係しているのではないかということであった。
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