カビ毒汚染に関する調査報告:オルテック
2013 年 9 月 24 日
オルテック社は、9月24日、日本国内におけるサイレージ等のカビ毒汚染に関する37+プログラムによる調査の報告を発表した。
「37+プログラム」とは、主に粗飼料に含まれるカビ毒の量や種類を判別・測定してトータルリスクを明らかにし、カビ毒汚染の実情を正確に理解したうえで確実に問題に対処・軽減するためのツールである。
この度日本において同社の「37+プログラム」を用い、2012年後半と2013年前半に日本国内で生産現場から採集された複数のサイレージのカビ毒汚染状況を調査した。
同社の調査報告は以下のとおりである。
集められた検体は合計で30。この内、最も多かったのはコーンサイレージで14検体、続いてグラスサイレージが11検体と、この2種類が全検体中の8割以上を占め、クロップサイレージ(米穀)が3検体、TMRが1検体、ティーサイレージ(茶葉)が1検体であった。
また、北海道で採集された検体が最も多く、合計19検体(コーンサイレージ8検体、グラスサイレージ11検体)、関東が合計9検体(コーンサイレージ6検体、クロップサイレージ(米穀)が3検体)と、2番目に多かった。
汚染の割合としては4?6種のカビ毒汚染が見つかった検体が最も多く、全体の37%を占め、続いて10種以上、および1?3種のカビ毒による汚染が同率で23%であった。汚染の全くなかった検体はなく、30全ての検体が1種類以上のカビ毒に汚染されていることが明らかになった。
確認されたカビ毒の種類としては、コーンサイレージ14検体のすべてがフモニシン系のカビ毒に汚染されており、9割以上の検体が併せてトリコテセンB系のカビ毒に汚染されていた。ゼアラレノン系カビ毒の汚染も6割弱の検体で確認されている。
グラスサイレージも11検体のすべてがフモニシン系、7割以上がトリコテセンB系、5割以上がその他ペニシリウム系のカビ毒に汚染されていた。
クロップサイレージについては、3検体のすべてがフモニシン系、約7割がトリコテセンA系、トリコテセンB系、その他アスペルギルス系のカビ毒に汚染されていた。
比較的小規模に行なわれた2011年産粗飼料の同類の試験結果と比較すると、コーンサイレージは昨年に比べてフモニシン系のカビ毒汚染が著しく高まっており、平均汚染濃度は1万477ppbであった。これに対してグラスサイレージはトリコテセンB系、およびフモニシンの汚染濃度がそれぞれ下がっていたが、いずれも安全とされる濃度ではなかった。
結論として、今回試験対象となった30検体において、最も多くの検体に混入し、さらに汚染濃度も高かったのは、フモニシンである。フモニシンは神経脂質の退化を引き起こして毒性を示し、馬の白質脳症の代表的な原因である。さらに心機能を阻害して、とくに豚の場合は肺水腫の原因となるとされているほか、子牛に長期間フモニシンを給与すると、血清ASTおよびGGT活性の上昇や、肝臓の病変が発生することも確認されている。
カビ毒は複数が同時に存在すると相乗的にその影響が拡大することが知られているため、それぞれのカビ毒濃度に基づいて、カビ毒別に危険かそうでないかを判断することは避けなければならない。総合的なリスクを客観的に把握し、それに全体的に対応することが求められる。
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